はじめに
すでに施術師である者に追加で憑依霊を「外に出す」ケース
主要な関係者
異例ずくめのカヤンバ
(調査日誌より関連する記述を転記1)
1989/12/13(Wed, jumma) チャリと彼女のカヤンバの打ち合せ、現地で炊事などの手助けをする女の子を提供してもらうため「ヒツジの場所」村の彼女の「子供」2のところへいく。その際キラボ4を待っている人々を見かける。チャリの知りあい(mulamu5)だそうだ。
1989/12/14(Thu, kpwaluka) 午後2時にMurina&Chariの小屋で待ち合わせ。ジムニーの後部に11人と鶏4匹、ヤギ1匹を詰め込んで出発。Mtaa6の交易場のあたりで昨日のキラボにいた当人に出会う。口と首筋が腫れ上がって口もきけない。....そこから先は街道(といっても凸凹穴ぼこだらけのダートロード)を離れて、さらに奥地に入る。初めての場所なので道の状況を心配していたが、ムリナたちがbarabara7だというので、半信半疑ながらなんとかなるかと走る。が案の定、道と呼べるような代物ではなく、すぐに単なるweruni8になり、そこを無理して進んだものの、ついに小川にぶつかってEnd。途中通ったJoho wa Mwagombeさんの屋敷までもどって、そこに車を置かせてもらい、そこから「すぐ」だという目的地まで、歩いて40分(遠いぞ)。ようやくMwamoko9のNyamawi氏(Murinaのbaba muvyere10にあたる)の屋敷に到着。瓢箪子供の作成など。
1989/12/15(Fri, kurimaphiri) 今日は、昼間にkuzuza11とku-phula mizigo72をやって、その後夜通しkayamba84を打ったあと、明日の早朝 ku-lavya nze(Shera, malaika)88という日程だったが、肝心のmuganga89の一人(女性)が来ず、なにも出来ない。ku-phula mizigo, kulavya nzeは男女一人ずつのmugangaが必要。午後2時にやっとやって来るが、なんの準備もできていないというので、結局翌日に延期。ndongaとushangaの準備をちんたら始める。16:00なんだか適当な感じでkuzuzaをやって、夜中の11時頃にようやく徹夜のカヤンバ開始。
1989/12/16(Sat, kpwisha) 今日中に帰れるか、だんだん心配になったが、昼前に始まったku-phula mizigoそのものは、なかなかの見もの。ku-lavya nze自体は、話に聞いていたほどのものではない。帰りの車の中ではBekpwekpwe たち、酒が入っていたためか全員上機嫌。車の中でカヤンバの大合唱になる。つられてこちらも愉快になる。道を歩いている人が何事かと(おそらくは怯えて)あわててブッシュに逃げ込むのがおかしいと言ってチャリが笑う。当たり前だ。ジープの中からカヤンバが聞えてくるのを聞けば誰だって肝をつぶす。なんとか全員を送り届けて、その足でモンバサに。Mwamokoを出たのが15時すぎ、キジヤモンゾに着いたのが17時、リコーニには19時前、めちゃ飛ばした。いつもは慎重な運転なのだが、皆のハイテンションが伝染していたのか、ちょっと危険運転の部類?ゆうべ1時間ほど仮眠しただけなのに、不思議に元気。
はじめに 11月の「月のカヤンバ」の後になって、この「月のカヤンバ」がその1週間後に予定されていた(実際には12月15日開催と先延ばしになった)、憑依霊ディゴ人、シェラ、ライカについてのチャリの「外に出すンゴマ」を、彼女がもっているすべての憑依霊たちに周知するためのカヤンバであったと聞かされた。そして私もその「外に出すンゴマ」に参加していいよと言われた。施術師就任の「外に出す」ンゴマについては、いろいろ話に聞いて想像をたくましくしていたが、未経験だったので、大喜び。ちょっと不便な土地でやるので、そこまで行くのが問題というので、じゃあ、モンバサでレンタカー調達してきますと、前のめりな私。
すでに施術師である者に追加で憑依霊を外に出すケース 聞かされていた話とは随分違ったのだが、すでにムルングについて「外に出され」ている施術師の場合、それ以外の憑依霊を外に出す際には、隠された瓢箪子供を見つけるテストや、占いのテストなどはない。という訳で外に出すプロセスそのものは、たいしてドラマティックではない。それぞれの憑依霊の草木を、自力で見つけ出し、首尾よく見つけると、主宰する施術師たちによってそれを正式に授与されるプロセスは、2度目以降の「外に出す」ンゴマでも必ず実施される。
同じ瓢箪子供を共有する憑依霊ディゴ人、シェラ、ライカについては一度のンゴマで同時に外に出すことができる。ただしライカ(およびシェラ)を「外に出す」ためには、まずライカやシェラに奪われている(かもしれない)キブリ(chivuri12)を嗅ぎ出(kuzuza)して取り戻す必要があり、さらにシェラを「外に出す」ためには「重荷を下ろす」(kuphula mizigo72)も行わねばならないため、全体は二日がかりの大掛かりな施術となる。
私にとっては、この「重荷を下ろす」施術というのも未経験。という訳で実施の2週間ほど前にそれについて質問したのだが、無知ゆえのトンチンカンな質問で、肝心の施術についてはわからないまま当日を迎えることになった。
さらに当日知ったことなのだが、この日に同時にギリアマ系のお酒の大好きな老人の憑依霊デナ(dena66)の瓢箪子供も与えられた(現物は後日に完成)
主要な人物
施術師 男性: Nyamawi wa Magongo(ムリナ氏のbaba10 muvyere) 女性: Mwaka
ムウェレ: Chari wa Malau
補助者たち: Nyamawi の「子供たち」およびチャリの「子供たち」
観客: Nyamawi氏の屋敷の人々
異例ずくめのカヤンバ 女性施術師の到着が遅れたため、当初のスケジュールは変更となった。当初は1.「嗅ぎ出し(ku-zuza)」2.「重荷下ろし(kuphula mizigo)」3.「徹夜のカヤンバ」4.「憑依霊を外に出す(瓢箪子供の授与、草木折り取り試験)」という順序で行う予定だった所を、「徹夜のカヤンバ」を「嗅ぎ出し」の後に行い、翌日、「重荷下ろし」と「憑依霊を外に出す」を連続して行うという順序に変更された。おまけに今回の「重荷下ろし」も「嗅ぎ出し(kuzuza11)」もともに、ある意味で異例ずくめだった。私のような初心者でも、すぐ気づいて、えっと思ったのは「嗅ぎ出し」のやり方。しかし「重荷下ろし」の方も後にムリナとチャリがこぼしていたように、普通の手順とは随分違っていたらしい。その点は、最後の考察で少し触れたい。
フィールドノート記載のメモの転記+録音データとの紐づけ90
14:20 Murina出発前に唱えごと ムリナのmakokoteri(DB1460-1463) (ドゥルマ語テキストへは日本語訳のパラグラフ先頭の数字(データ番号)をクリックするとジャンプできます)
16:00 Nyamawiの屋敷に到着
Mtaa の妖術使いの話(浜本注:カヤンバとは無関係なので再録は省略)
ndonga91作りなど
ndonga を作る際に乾燥した瓢箪から掻き出された中身(mioyo92)は、遠くに投げ捨てなければならない。鶏などにつつかれるのはよくないから。 ku-finywa93 「防御」: ku-zuza11 の後、患者を ku-tsodza83 するのに用いる。laika13 が二度と患者の chivuri12 を奪うことが無いように。 ku-zuza の呪医は kuzuza に使用する mwana wa ndonga95 に加えて ndonga ya ku-finywa をもっていなければならない。
女性施術師99を待ちながら
kuzuzaとkuphula mizigoは翌日に延期(女性施術師が到着しないため) 14:00 女性施術師到着 too late ndonga, matungo100作りの続きなど
突然のkuzuza
15:00 小屋の裏でなにかやっている気配があると思ったら、kuzuzaの準備 チャリは体調が少し悪そう ニャマウィ氏、ムリナたちに説明(説得?)する ニャマウィの説明(DB1464-1469)
16:00 kuzuza を Nyamawi の屋敷内でやってしまう!カヤンバも演奏されずまたmuzuka24 へも川や池にもいかない。屋敷の北東の外れに chinu102 を設置。二束の mikangaga103 を地面に植える。チャリは屋敷の方を向いて椅子に座る。
主宰施術師による makokoteri ニャマウィのmakokoteri(DB1471-1473)
makokoteri のあと muganga104 ともう一人99が mulungu の黒い布105をチャリの頭上に広げ、そこに muhaso27、黒及び白の k'uk'u106 を入れ、mavuo43 を注ぎかける。
チャリはそれだけで golomokpwa107 してしまう。何者?大騒ぎ。水、水。 Murina、駆けつけて水をぶっかけ、「アラビア語」で唱えごと 「アラビア語」「ガンダ語」の応酬。結局来ていたのはジンジャ導師か 憑依状態のチャリとニャマウィたちの交渉(DB1473-1479)
黒い鶏が chinu の手前(A)で屠殺され、chinuとその背後に座っているチャリの頭を越えて、その背後(B)に投げ捨てられる。
次にチャリの背後(B)で白い鶏が屠殺され、今度はチャリの背後からチャリの頭と chinu を越えて(A)の方向に投げ捨てられる。
白い鶏が屋敷の方向を向いて死んだためムリナはあまりよくない徴だと憂慮している。 これで kuzuza 終了。これでいいのか! 鶏を屠って投げる(DB1480-1481)
kutsodza83省略。チャリはまだ憑依状態。 Nyamawi唱えごと、ジンジャ帰る kuzuza終了、ジンジャ導師を送る唱えごと(DB1481-1486)
17:00 人々は雑談したり酒を飲んだりしながら ushanga109 などの準備。二人の若者がuringo110 などを作りにいく。別の若者たちは屋敷であすチャリが背負う muzigo73 を入れる mahundu112 を若いヤシの葉で編んだりしている。
mwanamulungu から始まる。 続いて憑依霊アラブ人の歌 aganga taireni の歌は歌詞は同じなのだが、チャリたちが連れてきたカヤンバ奏者と Mwamoko のカヤンバ奏者とではメロディやリズムが違う。後者のは私がシャンビーニで聞いたものと同じ。
チャリと来たカヤンバ奏者は現地の奏者と張合うが圧倒される。 途中からチャリ自らが歌うべき歌を先導し始める。 nungu[^nungu]、突然憑依して、ちょっと踊って、話してすぐ去る。 ヤマアラシ出現(DB 1498, 1502)
musambalaの後に、場違いにmwalimu jinja114出現 (DB 1502-1513)ジンジャ導師との交渉 長々と居座る。施術師たち相手するが結構手こずる
jinjaようやく立ち去り、
sanzua115 mukpwaphi119 mugala120
しばらく平穏(?)に進行 gojama48 mwakulala121 pungahewa131
チャリまたgolomokpwa107 pungahewa? chiyuga aganga? 土を食べたがる 霊去る、チャリも引っ込む (DB 1526-1528)食をめぐる交渉
チャリは白いカンズと白い布を頭にターバンのように巻いて再登場。 自分から先導してjabale132の歌を歌いだす。現地の奏者たち知らない。 ムリナ教える。 (DB 1529-1531)ジャバレ導師とのやりとり mwalimu jabale では現地の呪医 Nyamawi 自身が golomokpwaしてしまう! ムリナは自分の描いた絵を彼に見せながらアラビア語らしきもので kukokotera137。 Nyamawi 絵を見せられてうれしそう。大げさなジェスチャー。
チャリgolomokpwa、彼らを無視して勝手にjinja114を歌い出す。
カヤンバ演奏続くが、ムリナたちはそれとは関係なくアラビア語らしきもので語り合い ムリナ最後はスワヒリ語で唱えごとをしめくくる (DB 1536-1537)ムリナの唱えごと
murisa1383 unknown1 unknown2 masai1391 unknown3 unknown4 unknown5 muduruma1284
ここまで、チャリよく踊るが no maneno142
dena666 掛け合い。dena、ヤシ酒を所望 (DB 1555-1560)デナとのやりとり dena去る mudigo791すぐ中断 (DB 1560)憑依霊ディゴ人の歌1 nyari672 mwavitswa1432
イスラム系の霊を巡ってちょっと議論 (DB 1568)日本語訳
02:30 makolo utsiku145 しかし出されたのが uchi146 だったのでテント147で仮眠をとることに。 (私はお腹がすいていたので chai148 と何かパンのようなものが欲しかった)
憑依状態のチャリ、呪医たちとやりとり (DB 1570-1589)日本語訳 mudigo791 変に仮眠をとったのがよくなかったのか、眠くてたまらない
04:00 再びテントにダウン。 05:30 目をさますとカヤンバはすでに終了して人々はchai と mahamuri3 を食べている!! あああ、あちゃあ。 [というわけで、最後どんな風に終わったのか、全く不明]
(ウェブ化に際しての注:「嗅ぎ出し」もそうだが、「重荷下ろし」においては全過程を通じてカヤンバ演奏がなされており、私はその外側にいるために演奏の輪のなかでの施術師と患者のやり取りや、唱えごとなどはほとんど録音しても聞き取れない状態である。なんとか聞き取れるのは、多くがカヤンバが演奏停止している間の、人々の間の雑談的なやりとりや、楽屋裏的な打ち合わせで、残念ながら施術の内容の理解を与えるものにはなっていない。)
8:00 ku-phula mizigo の準備が調い、カヤンバ開始。
Nyamawi の屋敷の中庭(muhalani)に chinu102 が据えられる。
チャリは chinu の前に座らされカヤンバが打たれる。 (DB 1598)出発の促し mwanamulungu mudigo shera と続く。
チャリは chinuのmavuo43を浴びるように言われる。
(DB 1598)重荷をつけて出発
チャリはすぐに golomokpwa し、男女の呪医に mizigo73 を背負って出発するように命じられる。
ヤシの葉で編んだ篭 mahundu112 の中に、水の入ったビンや石が入れてある。
これを両肩に一つずつ掛け、さらに頭から前後に二つ、合計4つのmahundu を掛ける。
頭の上には chikaphu151 をおかれる。
いかにも不愉快そうにチャリは歩き出す。 二人の呪医が鞭(細い木の枝)をもって続く。もしチャリが立ち止まると鞭打つためである。 カヤンバがその後に続く。
曲はひたすら ichiliku (shera) である。
(DB 1598)ウリンゴ
水辺まで歩くのかと思っていたが、屋敷のすぐ外に設置してある chinu(ziya)42 と uringo110 の場所につく。これは手抜きだ。
(DB 1603)重荷を下ろす チャリは mizigo73 を下ろしてもらい、ziya の前の uringo に腰を掛けさせられる。 uringo の下に nyungu40 が置かれて kufukiza152。
次いで ziya の mavuo を頭からかけられる。
赤い雄鶏を身体の各部に擦りつけるようにして二回まわし、屠殺。
続いて黒い山羊を同じように回し、屠殺。
黒山羊の血をコップにとってチャリに飲ませる。 (DB 1605)動物供犠(黒山羊)
続いて mizigo の中身をすべて空ける。チャリの隣にムリナを座らせる。
(DB 1607)ムリナも並んで座る
二人の頭上で「重荷」の一つココナツの核を割って中の液体を振りまく
ndonga の内容物をチャリとその隣に座っているムリナに塗り、mavuo43 を二人に振
りかける。
(DB 1607)水をこぼすなっ 水を入れた chibakuli153 をチャリの頭にのせ、「こぼさぬよう。こぼすのは女じゃない。」などと命令。しかしチャリは golomokpwa しているためか身体を揺すってこぼしてしまう。鞭で威しながらじっとしているよう命令。
その後嫌がる(?)チャリに chikaphu151 と mundu154 をもたせ、立上がらせる。 (DB 1607)薪取りに行くぞ
鞭で威されチャリは言われたとおり進む。
mundu で kuni155 を切らされる。
(DB 1609)薪伐り
次いで、mutsunga156 を摘まされる。
kuni と mutsunga を chikaphu にいれて屋敷に行くように言われる。
チャリは意識が正常じゃないのか少しぼんやりして言われたことがわからないように見える。鞭で威されてふらふら歩き出す。方向が定まらないように見える。
カヤンバ奏者たちが後に続いて行く。
(DB 1610)小屋の中でカヤンバ 屋敷に着くと、Nyamawi の小屋に入らされ、火を起こし、mutsunga を火にかけるよう命じられる。
次いで再び外に連れ出され、一握りの matsere157 を chinu102 に入れてそれを kuphonda158 するよう言われる。
それが済むとそれを lungo159 で篩い分け。
再び小屋の中に入り、lalwa160 でついたトウモロコシを今度は粉にする。 それでワリを作る。
できた一握りのワリとムツンガを Bekpwekpwe が一口食べる。
再び muhala161 の chinu102 でカヤンバが続行され、kukokotera されて終わり。
(DB1611-1614)出発前のやりとり 10:30 ku-lavya nze88 12:00 までに終わらせねばならない(午前中にすべてを終了せねばならないとされている)というので慌ただしく始められる。
男女それぞれの呪医は ndonga の中に自分の muhaso27 を入れ、nyuchi162 を注いで chidemu163 で栓をし、カヤンバを始める。
自分の ndonga91 と今できたばかりの ndonga をチャリにもたせ、その匂いを嗅がせる。
チャリは golomokpwa するが、weru8 に行くように言われてもぼんやりしている。
ムリナが呪医に道を示すように言い、呪医がチャリの前にたって進み始める。
チャリは自分で mihi31 を見つけねばならない筈なのだが、結局 Nyamawi が問題のmuhi のところに来る度、それとなく立ち止まったりして暗示している。いんちき?
チャリが木を折りとり、それにつづいて呪医も木を折りとって、その都度白い鶏のケヅメを切取り、uchi146 を地面にたらして kuhatsa164 する。
よく聞き取れないが、この muhi をチャリにやることを同意すると言っているようだ。
ついで川のほとりまで進み、そのそばの木で同様のことが行われ今度は黒い鶏が用いられる。これが一番大事な muhi らしい。
帰り道、Nyamawi はチャリが指摘し損なった何種類かの木をチャリに示し、それを折りとるよう促す。
mudzi170 に帰るとカヤンバを一しきり打ち、もう何もせずに、Nyamawiがこれで済んだと宣言する。11:30
この後、支払いに関して若干もめ(いつものこと)、食事。
15:00 食事終了後、帰途につく。
節の先頭の数字をクリックすると、ドゥルマ語本文に飛びます。和訳中の歌のタイトル(リンクとなっているもの)をクリックすると、該当する歌の歌詞に飛びます。
解説: ムァモコではチャリは内陸系の憑依霊(nyama wa bara135)であるディゴ人、シェラ、ライカの施術師となる施術を受ける予定になっている。一方チャリには強力なイスラム系(海岸系)の憑依霊(nyama wa pwani171)である世界導師その他がおり、イスラム系の憑依霊は内陸系の憑依霊がもちいる草木(mihi31)や薬(muhaso27)の使用を嫌う霊たちである。そのため、前もって彼らに今日からの施術には内陸系の草木や薬が用いられることを告げ、それが彼ら海岸系の霊に対する攻撃ではないこと、したがって、それに腹をたててチャリに様々な苦しみをもたらさないことをお願いしている。
1460 (ムリナの出発前の唱えごと)
Murina(Mu): 私は傾聴を求めます。ご傾聴ください。さらにしっかりご傾聴ください、匠の皆さま。このような時間にお話しするつもりはございませんでした。間違いを犯す者はいつも一人です、皆さま。そうじゃないですか?だから、申し上げます。私たちは出発いたします。仕事のために参ります。私たちは語り合わねばなりません。私たちは理解し合わねばなりません。でも、私は私の過ちをすでに認めております。何の理由ででしょうか?私たちが旅をしたことです、愚か者です。お知らせし合うことなしに。そして貴い方々のなかには、土地の薬(草木)を用いられない方がいらっしゃいます。その方々が用いるのは、輝く水と最終の水です。 世界導師(ilimu dunia133)の仲間の皆さま、さて、このように私は申し上げます。あれらシェラども(mashera71)の仲間たち、あれらドレスを着た発狂者の仲間たちのために割く時間がございます。あれら(憑依霊)ディゴ人(wadigo79)たちのために割く時間がございます。ライカども(malaika13)の仲間たちのために割く時間がございます。風の小人たちです。
Murina(Mu): 私はあなたジャバレ132の王に申し上げます。クルシ172のライオン、あなたマラルア173。ジャンバ174、ヘビたちの長、サンゴ礁(or 断崖)に御座す方に申し上げます。私はマスカット(Maskati175)のアラブ人に、ロハニ(marohani177)の皆さまに申し上げます。私はバルーチ人(bulushi178)、ムサジ(musaji179)に申し上げます。私はコーラン導師(korani ilimu180)に申し上げます。私はメッカ(makka)のスディアニ導師(mwalimu sudiani30)、メッカを彷徨する者に申し上げます。私はペンバ島(Pemba181)の舷外浮材付きの丸木舟(ngarawa182)のアラブ人に申し上げます。私はソマリアのアラブ人に申し上げます。 再び私は貴方がたにご挨拶(ninawashaulila183)いたします。しっかりご傾聴ください、高貴な皆さま。私は高貴な皆さま方にしっかりご挨拶いたします。匠の皆さま全員に私はご挨拶いたします。ご傾聴ください。そしてご傾聴くださいの言葉は人を打ち倒す言葉ではございません、高貴な皆さま。 この瞬間よりは、私どもが、ライカどもの仲間たち、憑依霊ディゴ人の仲間たちの仕事のなかにおりますことを、どうかお知りおきください。私の匠の皆さま、皆さまにしっかりご挨拶いたします。チャキチャキ(Chakichaki184)の皆さま、ヴンバ(Vumba185)。皆さま方全員に、私はご挨拶いたします。イディティ(iditi186)の皆さま全員に、私はご挨拶いたします。
Murina(Mu): メッカのスディアニの方々、メッカを徘徊する者。世界導師の方々、ジャバレ王、天空に御座します大地の長。私はあなたジャンバ王、サンゴ礁、世界の隅々に御座します蛇たちの長。そして7と70、全能の神と、サララーフ・アラリ・ワ・サラーフ(Murina's Arabic187)、預言者と、全能の神のお慈悲を、私に開いてください。今日の日のために私たちを祝福してください。アマン。 私はこの者にこの日を与えます。それが全能の神のもとまで続きますように。御本人が私たちを、私たちの日にお連れになりますように。全能の神と預言者における良き平安のために。サルラーヒ・ワラ・アサラーフ187、平安を。 それゆえ、匠の皆さま、しっかりご傾聴ください。あなた方が草木(の薬液)を浴びているのを見て、ビラーリ・ファキーニ187とおっしゃいませんように。こんなものがいったいどこからやって来たのかと。 (以下、書き起こし不可能なアラビア語的ななにかがしばらく続く) 私の隣人たちよ、各人、別々に、ともに続きましょう。優しさをもって、仕事を続けましょう。平安のうちに仕事を続けましょう。平安のうちに仕事を続けましょう。平安のうちに仕事をつづけましょう。
Murina(Mu): 兄弟や近隣として結び合うことを、平安に。 ですから、彼女(チャリ)に、痒みを注ぎ込むことは、なしです。彼女を焼くことも、なしです。彼女の分別をばらばらにするのも、なしです。彼女の血を失わせるのも、なし。彼女の心臓を破裂させるのも、なし。ラー・ラー・ハウラ187。全能の神において、燃やすこと、私は貴方がたに申します。 再び、しっかりシャウリラーニ(shaulilani183)。行って、彼女にそれらの草木を浴びさせてください。それらは歯を削っている(内陸部の)連中188の草木です。今日は、まさに彼らの時間、私たちが彼らと共にもつ時間なのです。私たちに、彼らに仕事を与えさせてください。ラー・ハウラ・ワ・サラーム187。私の兄弟たちよ、私の兄弟たちよ、御主人様、御主人様。間違いを犯す者は常に一人です。私の兄弟たちよ、ご傾聴ください。高貴な方々よ、しっかりご傾聴ください。平安に。私の兄弟たちよ、皆さまにご傾聴くださいと申します。 ヴンヴ(Vumvu)189の方々、ご傾聴ください。シャケ(Shake190)の方々、ご傾聴ください。ミドドーニ191の方々、ご傾聴ください。山々の方々、ご傾聴ください。光の中に御座します方々192、ご傾聴ください。世界導師の仲間の方々、ご傾聴ください。シャイルーラ183。平安。 (その後、ムリナは書き起こし不可能なアラビア語的な何かをしばらく発話したのちに、唱えごとを終えた)
解説: 急遽クズザだけを一足先に実施することになった。クズザに先立ち、主宰する施術師ニャマウィ氏(ムリナの父の兄弟にあたり、彼にとってムリナは「息子」ということになる)が説明をする。ムリナとチャリは一言も口を挟まず(挟もうとしたが制止された)最後まで神妙にその話を聞いている。一読しても、何がポイントなのかわからないだろうが、ニャマウィ氏のかなり型破りな「癒やしの術」観が示されている。 もし、チャリたちが近くに住んでいたら、クズザの患者を融通できるというのは良いが、嗅ぎ出しに行く際にどこを回ればよいかも教えてあげられるのに、などと言う。いや、嗅ぎ出しは自分の持つ憑依霊に導かれてキブリを奪った憑依霊の棲み処まで案内されるはずでは!! 患者にはどんな風に説明してやれば良いかも教えてあげるとか、その他いろいろ職業上の「秘密」をバラしていく。憑依霊の棲み処の洞窟は、まあ怖いところだ。でもそこに行きたくなければ、この場で(屋敷内で)こんな風にあんなふうにすれば良いって教えてあげるよ。極めつけは、瓢箪子供だって実際には徹夜のカヤンバとかで大勢の前で授与する必要はない、すぐにでも作ってその場で渡したっていいという暴露。あと第一弟子を作って、彼にいろいろ教えて、やってもらうことが大切ってこと。 唯一、ニャマウィ氏が拘るのは「外に出す」こと。つまり憑依霊の草木を与えられた瓢箪で憑依霊に導かれて自分で見つけ出すこと。こればかりはチートはなし。(フィールド・ノートでの私の感想からもわかるように、チャリは残念ながら自力ではすべての草木は見つけられていないように見える) ムリナとチャリが彼の説明にどれだけ納得したのかは、この場ではわからないが、後日の批判的なコメントから察すると、二人はニャマウィ氏とは多くの点で異なる立場にいるようだ。
Nyamawi(Ny): お前の妻は何をしたがっていた?ライカとイキリク(ichiliku74)とディゴ人の瓢箪を与えてもらうことさ。その後は、(今は彼女は)嗅ぎ出し(kuzuza11)していないけれど、今からは彼女は嗅ぎ出しをするだろう。本当のところ、もしお前さんたちの住んでいるところが遠くじゃなかったらね、もしこの辺りだったらね、そしてこの友(チャリのこと)と私の今の状態だと、(チャリの)最初の旅(初めての彼女による嗅ぎ出しの仕事)は、ここに来てやり始めてもらうところなんだがね。彼女のところに、嗅ぎ出しをしてもらいたがっている患者が頼みにやって来たり、あるいは、私の所に病人の依頼が来て、私が「私はその施術をしに行きませんよ。だって、私にはこの人という私の弟子(mwanamadzi2)がいますからね。」と言うことになるよ。私は、この人(チャリ)を訪ねる。彼女に嗅ぎ出しをやらせたいからね。その前にちょっと(教えておくことが)あるのは、わかってるさ。ああ、こうしたことをお前に話してやっているのは、お前が私の息子だからだよ。そうじゃなきゃ、こんなこと他人には話さないよ。お前が私の息子だから話してやってるんだよ。お前の施術を仕上げなさい、お前の施術をね。
Nyamawi(Ny): さらに私が、この人のことを知り、そもそも彼女が現にこの仕事をしているとわかれば、尋ねられたら答えるのは簡単だろうよ、私にとって。私はお前に、ヤギと黒い鶏と白い鶏をもっておいでと言ったね。ここに一緒に腰を下ろして、弟子(mwanamadzi)もなしで。お前自身がお前の弟子を連れてくる。お前の妻といっしょに出歩いてくれる弟子ね。私はすぐに、例のヒマの油の瓢箪(mwana wa ndonga95)と、もう一つの粉の(薬の)瓢箪(ndonga ya kufinywa93)をあげるよ。私はお前に、お前の妻とともに、独立を与えるよ。(嗅ぎ出しの際に)どの道を辿っていくかも、彼女のためにお膳立てしてあげるよ。お前たちが近くに住んでいれば、そしてこの人のように(ライカなどに)捕らえられ、嗅ぎ出しが必要な人がいれば、お前たちにこの人がしかじかこんなふうに嗅ぎ出しを必要としているよと話してあげるよ。そして私は... さて、私はこの人がどんなふうに(嗅ぎ出しを)遂行するかを見てあげるよ。私自身は、後ろから、この瓢箪をもってね。それが済んだら、彼女にその瓢箪をあげて、言うんだ。さあ、お行きなさい。行って仕事をなさいと。
Nyamawi(Ny): 病人には、しかじかのことを話してあげなさい。そしてこの瓢箪。これ、これはイキリクの瓢箪、こちらはお前を守る瓢箪。(イキリクの瓢箪は)あちら(嗅ぎ出しで訪れる場所)にもって行く。このもうひとつのお前を守る瓢箪、こちらの。一つはそちら(嗅ぎ出しに出発する屋敷)に残しておく。これはお前を守る瓢箪。さて、唱えごとだ。だって、お前あちらで(霊たちに)語るだろう、私がお前に話してやったことがそれだ。私はそんなふうにはお前に話さなかったかい?それとも何がしたい?お前。息子よ、お前、大丈夫かいお前。 何も言うな。お前は、お前がここに来た目的のことをすればよい。そのあとでお前は座って、明日だろうか、用事が終わったら、さて施術師たちはそこで何をする?お前は、その間に起きた不思議な業について話されるだろう。それともお前は、嘘をついてもらおうとやって来たのかい。ああ、もしお前が私の息子じゃなかったら、私はお前を騙しもしたろうに、そして立ち去っただろうに。だって、すべてのことは、すぐさまできることなんだから。私は、すべてのことを今すぐにできる。瓢箪を今すぐに調える。薬も即座に炒める193。できるんだよ。なあ、お前、私はお前に嘘をつくだろう。それともお前はなにを望んでいるんだい?
Nyamawi(Ny): お前はお前を救ってくれることをしてほしいと願っているんだろう、それとも何をしてほしいと言うんだい?ああ、黙ってなさい。じっとおとなしくしてなさい。今はね、おとなしく。お前のあの妻、自分の頭をもっているからね。自分でわかっているよ。そもそも、たとえ遠い所にいても、彼女は自分で(嗅ぎ出しの目的地に)たどり着くだろうよ。でももし彼女が近くに住んでいたら、私としてはもう何の心配もないだろうに、もし近くにいれば。もし嗅ぎ出しを求める病人がやって来ても、私が私の子供(施術上の、つまりチャリのこと)を呼んで、我が子を彼女の所に行かせるだろうに。 さて、ンゴマはこれだ。これはブッシュへ向かう(憑依霊の草木を見つけるために)ンゴマだ。しかも私はお前に(どの草木か)教えないよ。お前はむこうで教えてもらうんだよ。お前はお前の憑依霊自身によって(そこまで)連れて行かれるんだ。さあ、そちらにお前は向かう。私は後ろにいる。私はこの瓢箪を手にしている。お前がそちらに着くと、私は行って、そこで私が行うべき唱えごとをする。 その後で、私はお前にお前の立派な瓢箪を与える。さあ、お前の弟子を手に入れなさい。もしかしてお前の夫、彼が弟子かも。お前は洞窟のなかに入って、出てきて、しかじか、しかじかと述べる。
Nyamawi(Ny): お前が洞窟で奮闘していると、洞窟から突風が吹き出してくる。(そんなとき)お前はこんなふうに、こんなふうに、こんなふうにする。ああ、うんざりして、もうそこには行かない、ここで戻してしまいたい。そんなときには、こんなふうに、こんなふうにしなさい。その後で、こんなふうにしなさい。さあ、そうすれば、病人は治るよ。 お前はンガタ(ngata36)を結びに行く。こんなふうに、こんなふうに、こんなふうにしなさい。そうじゃないかい?そいつは大勢で取りに行く瓢箪じゃない。「外に出される(kulaviwa nze88)」ことが、大勢がいるところでやること。(施術上の)子供たち(anamadzi2)がいるところで。でも、その瓢箪は大勢で取りに行くものじゃない。それに必要なのは、お前本人とお前の妻、施術師とお前自身がいちばん頼りにしている弟子だ。というのも、そいつはすべて知っているだろうから。そのときには、そいつは全部知っているだろう。施術師が洞窟の中に入れば、彼(一番弟子)はそのあとに続く用意ができている。静かに(大騒ぎせずに)ね。
Nyamawi(Ny): なあ、若造よ、お前。もしお前が私たちのキメラが産んだ子供じゃなかったら、私はお前に言ったことだろうよ。「今日、私に200シリングと、白い鶏と黒い鶏をよこしなさい。買っておいで。そしたら私が調えに来てやろう。それこそお前が望むとおりにな。」そのすべては大勢の人々に知ってもらわねばならない。あなたの弟子(mwanamadzi2)を見つけておいで。そしてお前の妻と、お前本人。本物の弟子というのはね、もしお前が、自分が私が不在だと知っていても、「この者(弟子)が私の妻といっしょに行って、どんな嗅ぎ出しもやります。」「ああ、問題ありません。その方と一緒に来てください。」その弟子にはな、2本、ツォガ194を施してやる。そしてお前はそいつ(その一番弟子)に言うだろう。「もし何かしかじかの問題が起きたと気づいたら、こんなふうにしなさい」ってな。その弟子こそ、お前のムコバ(mukoba82)のなかにいる美丈夫じゃないかい?弟子全員がそうじゃない。あの連中は、いわば歌(あるいはカヤンバ)の弟子たちだ、彼らは。実際、彼らは毎日ついてきたりしないだろう。さて、以上が私の秘密。他の人々には話さない。さあ、私の話は終わり。後で私を困らせなさい(質問があればどうぞ)。あんた、ところであんたは病気じゃないね。 Chari(C): 私が今病気じゃないって?私の今の状態が病気じゃないとでも?いったい私、何に殺されてるっていうの?
解説: 「外に出す」施術本体の前に、シェラやライカたちによって(ほぼ確実に)奪われている可能性があるチャリのキブリ(chivuri12)を嗅ぎ出して、チャリに戻しておく必要がある。私がすでに聞き知っていたところでは、「嗅ぎ出し」はカヤンバを打ってもらって自ら憑依状態になった施術師が、自らのもつライカやシェラに導かれて、キブリを奪った霊の棲み処まで行き、キブリを持ち帰るという作業で、施術師を先頭に何人もの人々が、炎天下ほとんど駆け足で遠方の川の深みや、洞窟まで往復するという過酷な施術である。 が、なんとニャマウィ氏は、屋敷から一歩も出ずに(というよりもその場から一切動かずに)キブリ戻しをやってしまった。少なくとも私は、そんなクズザを見たのは初めて。でも人々は特にそれを問題にしているようには見えなかった。それが必ずしも不可能ではないことは、後日知ることになった。詳しくは別項を参照のこと。 この屋敷内で完結してしまった「嗅ぎ出し」での特記事項は、なんといっても、その途中でチャリが彼女の持霊のジンジャ導師に憑依され、大暴れしてしまったことだ。手こずるニャマウィ氏。この当時の理解では、ジンジャ導師114は、ガンダ人であると同時に、世界導師133の別名とも考えられていた。そのアイデンティティには若干の曖昧さがつきまとっている。「ガンダ語」をしゃべると、周りの人々は誰も理解できないが、ドゥルマ語で交渉可能。ニャマウィとの交渉が埒が明かないのを見てか、ムリナが彼の「アラビア語」で参戦。水をぶっかけて少し沈静化する。 さて、「嗅ぎ出し」によって患者のキブリを患者に戻した後は、それが再び奪われないように患者を防御(kufinya93)する必要がある。がニャマウィ氏は気が進まない。というのもジンジャ導師に手を焼いたため。ジンジャ導師はイスラム系の憑依霊の側面をもっており、イスラム系の霊は自分がとり憑いている身体に、非イスラムのドゥルマが用いる黒い薬(muhaso)を処方されることを嫌悪する。そのため前もって、イスラム系の霊たちにその了解をとっておかねばならないからである。ムリナは身体にカミソリの傷を入れずにチャリ本人に薬を皮膚に塗り込ませようと提案して、この問題をとりあえず回避した。
1470 (ニャマウィ氏、キザ(chiza41)の薬液を作る。搗き臼の水の中で草木を揉み潰しながら)
Nyamawi(Ny): いやいや。単に施術上のしきたりだよ。もし人が示してもらうとすれば、草木を示して欲しいみたいなことだよ。私はね、もしあんたに話してあげるとしたら、本当のことを話してあげるよ。あんたには、ライカたちは全然いないよ。 (ニャマウィ氏、水中で草木を揉みながら、弟子を叱る) Ny: おーい、水だ、早くもってこいよ。 Ny: 単に施術上のしきたりだよ。彼女の裏手に立ちなさい。彼女の後ろに立ちなさい。どうして、お前たちそんなに遅れるんだい。 Man(mwanamadzi of Nyamawi(M1)): (昔の)女性は背が高かったよ。まるで男みたいに。 Ny: なんてこと!(水を)プーマ(Puma 地名)まで汲みに行ったとでも言うのかい?あんた、上を向いて。あんた奥さんの筋肉を捻じ曲げてるよ。ああ、あなた方は背の高い女性たちを娶ったんですね。同胞たちは小柄な女たちを娶ったのに。あなた方は背の高い女たちを娶った。 (ニャマウィ氏、唱えごと開始)
1471 (ニャマウィ氏の、キザに対する唱えごと)
Nyamawi(Ny): おだやかに、おだやかに、おだやかに、睡蓮子神(mwana195 matoro196)、ナゲキバト子神(mwana ngiya197)、ムユンゴ子神(mwana muyungo198)、さあ。おだやかに、ムチェチェコ子神(mwana muchecheko)、海の長(mukubwa wa bahari)よ。あなたククソ(kukuso199)よ、ゴミを飛ばし去り(ukukusaye vidudu)、石場に送りつけ、海岸部に運び去る者よ。ああ、あなたはチャリを海岸に運びつけた。今、チャリがここ池(ziya42)に降り立ちますように願います。こちらには、あちら(海岸部)に属する男たちがいます。メリガナ(merigana200)の仲間たちよ、皆さま、争いをおやめください、争いをおやめください、争いをおやめください。 (唱えごと中断) Ny: お椀持ってった奴はどこに行ったんだい?あいつらだらだらしてる。水を持ってそこに立って。このキザ(chiza41)のところにも。あの水だよ。この薬液の水を汲んで、掛けてやって。震えないで。薬液の水だよ、これは。お椀もってこいよ。水がなくなったら注ぎ足して。汲みなさいよ。そして掛けて。ぶっかけて、でもゆっくりとね。 (唱えごと再開) Ny: おだやかに、おだやかに、おだやかに、睡蓮子神、ムユンゴ子神、おだやかに。おだやかに、あなたキリク(chiliku74)、けしかけ掻き立てる者(mutu wa muchocho)よ、稲光(umeme)の者、刃(upanga)の者よ202。
1472 (ニャマウィ氏の唱えごと続き)
Nyamawi(Ny): もう争いはありません。もう争いはありません。海、海に、海に、海に。彼女にしっかり力をお戻しください。この者が愚かな者となることは、もうなし。この者がやせ衰えた者となることも、もうなし。この者の分別を揺り動かすことも、なし。今はもうなし。おだやかに。 (唱えごと中断) Ny: あなた、汲みなさいよ。汲みなさい。震えないで。汲みなさい。 Man: 汲みなさい、葉っぱが入ってても汲みなさい。だって(この薬液は)この後は、使いません。 Ny: これ(この薬液)は、この後は、おしまいです。もう使いません。新たに別のが作られますから(字義通りには、揉み潰されますから)。 (唱えごと再開) Ny: おだやかに、おだやかに。彼女を離してください、睡蓮子神、彼女を離してください。池はこれです。人の心臓が破裂することは、なし。人がどうするのが、なしですか?人の身体が燃えることは、なし。もしかつて身体が燃えていたのは、あなたのせいでしたら、マレラ子神(mwana marera203)、ムユンボ子神(mwana muyumbo204)、あなた睡蓮子神、あなたカンエンガヤツリ子神(mwana mukangaga103)、あなたイキリク(ichiliku)、あなたディゴ人子神(mwana digo)。
1473 (ニャマウィ氏の唱えごとの続き)
Nyamawi(Ny): マンゲラの大きな池に、どうぞ降りていらしてください。いらっしゃい205、いらっしゃい、いらっしゃい。首尾よく、池にお降りください。争いはありません。おだやかに。 (唱えごと中断、チャリの挙動があやしい) Ny: どうして中に入れるんだ?自分に浴びせかける? (唱えごと再開) (チャリにキザの薬液を浴びせかけながら) Ny: おだやかに。彼女を離してください。彼女を離してください。彼女を離してください。彼女を離してください。おだやかに。彼女を離してください。 (チャリにキザの薬液を浴びせかけながら) Ny: おだやかに。あなたムクンバ子神。もう争いは、なし。彼女を離してください。 (ニャマウィ、瓢箪の口をチャリの耳に当て、強く息を吹きかける) Ny: ぷっ。 (チャリ、完全に憑依状態に) Ny: あばれないで、あばれないで、あばれないで、争いは、なしです。あばれないで。ぷっ。私は、あなたから逃げ出したりしませんよ。たとえ、あなたに人喰いの憑依霊が戻ってきたとしても。一緒に食べましょう。そして終わりにしましょう。大騒ぎをもたらす言い合いに過ぎません。 (チャリ、喋りだす)
Chari(C): ホーフィ、ホーフィ...(繰り返し大きなため息)。水が欲しいよ。 Nyamawi(Ny): ああ、あなた、あなたは水が欲しいのですか。立ち去りなさい。私が呼んでいたのは、あなたじゃないのです。そもそも、あなたは何を求めてここに来られたのですか。みんなここで仕事があるのに。ねえ、今何を求めて来られたのですか? C: ホーフィ、ホーフィ、ホーフィ... Ny: あなたは水が欲しい。ここには何を求めて来られたのですか?ああ、呼ばれたのはあなたじゃないのに。呼ばれたのは別の方です。あなたは何を求めて来られたのですか?そもそも私はあなたを呼んでいないのに。私はあなたを呼びませんでした。私はあなたを呼びませんでした。 C: あああ、えええ、あああ、えええ。 Ny: あなたは呼んでいません。あなたは呼んでいません。さあ、何をしに来られたのですか?私はあなたを呼ばなかったのに。 C: (理解不能な言葉を喋っている) Ny: (スワヒリ語で)いいえ、いいえ。(ドゥルマ語で)私は全然、あなたを呼んだりしていません。そのような話を私にしないでください。私はあなたをまったく呼んでいませんから。さあ、もしいらっしゃったのなら、(薬液を)お浴びください。バチャバチャしてください。そして家にお帰りください。
Nyamawi(Ny): バチャバチャして、家にお帰りください、あなた。 Chari(C): 私は水が欲しいぞ、おい。 Ny: あなたは水が欲しい。さてあなたは誰からもらうつもりですか。この水(薬液)はあなたのものじゃない。 C: 私は水が欲しいんだってば。身体が燃えるよ。 Ny: では、これ、これ、これ、これを浴びてください。全部無くなるまで浴びてください。そうすればあなたに...ちょっと、ちょっと聞いて下さいよ。あなたに「いらっしゃいませ」と言えるようになります。私たちはあなたをほっておきます。あなたに「いらっしゃいませ」が言えるようになるまで。私たちは「いらっしゃいませ」205と言いたいのです。人はいらっしゃいませを言われると、静かに静かにやって来るものです。なのにあなたは今、水を欲しがっている。そして私たちは水を差し出しました。どうしてあなたは争いを起こそうとなさるのですか。ええ? C: 喉が渇いたよ。 Ny: ああ、もし喉が渇いているのでしたら...(屠られた鶏を指して、弟子に向かって)ああ、お前そいつは放っておいた方がいい。自然に死んでしまったよ。放っておくがいい。 Man: でも、まだ生きてますよ。
Nyamawi(Ny): 私たちはあなたに「いらっしゃいませ」をいたしました。あなたは、あなたは... Chari(C): ねえ、私、今やって来たんだけど。 Ny: 今、着いた?何をしに来たのですか?呼ばれたのはあなたじゃないんですが。私たちが呼んだのは、おわかりですか... C: ねえ、私もご一緒させてもらうよ206。 Ny: あなた、ご一緒すると。ひどい仕方で、ご一緒するんですね。あなたは喧嘩しながらご一緒すると。さて、どうご一緒するっていうんだい、あなた。なんでご一緒しようなんて。 C: 身体が燃えるんだよ。 Ny: 私たちはあなたに差し上げますよ。っていうか、差し上げたでしょ?もう水は差し上げたでしょう?ええ?水を差し上げませんでしたか? C: もう飲み終えたよ。 Ny: さて、飲み終えたのなら、放っておいてください。別の水を注いであげましょう。 (女性たちに向かって) お前たち。どうした?水を持ってくるのが遅いぞ、お前たち。
Nyamawi(Ny): さて、あなたはあちらのキリマンジャロから、何を求めてやって来られたのですか。さて、今、あなたは何を求めて、いらっしゃったのですか。呼ばれたのはあなたじゃないのに。さて、さて、さて。人々はイキリクと憑依霊ディゴ人とライカたちの問題に取り組んでいます。さて、あなたは何を求めて、おいでになったのですか。ここにあなたの仕事があるのですか。 Chari(C): 私もライカだよ。 Ny: あなた、あなたもライカだと。じゃあなぜあなたはそんなに怒っておられる?なにゆえに怒っておられる? C: 私は話すことができない。脇腹が締め付けられている。 Ny: ゆっくりお話しください。ねえ、あなたは怒っている。さて、怒っていて、どうやってお話できるというのでしょう。どうやってお話できるというのでしょう。あなたは怒っているのに。ゆっくりとおいでください。だって、私はご要望どおり水を差し上げたでしょう。水のご要望を拒みませんでした。今も、あなたはもう大量の水を手にお入れになる。あなたは手に入れるでしょう。あなたは水を与えられます。私共は、水にはケチケチいたしません。ここ私たちのところでは。水が流れているほどですから。私どもの土地では水は流れているのです。 (ムリナ氏、やってきてチャリの頭に水をぶっかけ、「アラビア語」で唱えごとを始める) Murina(Mu): ヤー、ズルー...(以下書き起こし不能な「アラビア語」の唱えごと) (女性たちに) もっと水をもってこい。
Nyamawi(Ny): さあ、どんな気分ですか? Chari(C): おいしいよ。 Ny: おいしいと。ではどうしてご相伴にあずかるのに、怒りながらなんですか。私たちはふつうお相伴には機嫌よくあずかるものですよ。さて、あなたはご相伴にあずかるのに、怒りながら。いったいどうしてですか。私たちはあなたを池に入れて差し上げました。それを望まれていたのでしょう。あなたは長声(njerenjere207)をあげるためにいらっしゃったのではない。で、「けっこうだ」とおっしゃる。あなたは怒りながらお出でになる。身体が燃えると言って。身体が燃える。私はあなたにお浴びするようにと池を差し上げましたよね。 C: ねえ、あなた方は私を治療するんだね。 Ny: さて、さて今。 C: ねえ、今この病気は去っていくよ。 Ny: そう、その病気が去っていくと? C: はい。 Ny: ああ、それが立ち去りますように。それこそ私どもが望んでいることです。
Nyamawi(Ny): そしてあなた、もしあなたに要求があるなら、今すぐあなたは踊ります。今すぐあなたは踊り、心ゆくまで(薬液を)浴びます。さあ、今や、ここには争いはありません。競い合いもありません。競い合いもありません。水を追加して!(チャリの)弟子さんたち(anamadzi2)、あんたたち、あんたらの病人と一緒にやって来て、なんで今そんな端っこの方でじっとしてるんだい。 Chari(C): (意味不明の言葉(例の「ガンダ語」)で喋り始める。) (追加の水、到着) Ny: あんた、そいつ(ジンジャ導師)は放っておけ。ときどき、私はそいつのことが嫌いになってしまう。そいつは、施術の邪魔をするんだ、そいつは。 Murina(Mu): ああ、あんた。きちんと対処しないと、そいつはあんたの邪魔になるよ。 Ny: ああ、そいつが邪魔をしませんように。私たちが喧嘩しませんように。 Mu: ちょっと待って。まずは、私がこいつにお願いしてみよう。 (ムリナ氏、「アラビア語」で唱えごと、「アラビア語」と「ガンダ語」の応酬(いずれも書き起こし不可能)。しばらくの後、チャリは静まる) Mu: こうしないと、あんた、大変な目にあうよ。
Nyamawi(Ny): (Murinaに向かって)お前さん、この奥さんとどこで結婚したんだよ?別れればよかったのに。(チャリに)なあ、お前さん、なんとあんたの娘も、こんな感じかい。私はあんたの娘は好かんよ。なんとあんた、こんな感じ。私はあんたの娘は好きじゃない。 Woman: なんだい、彼女はその母親に似てくるんだよ。 (鶏を屠る。ついで占いのため鶏は放り投げられる) Ny: (弟子に)さあ、鶏を投げ捨てて。(ムリナに)あんたの奥さん、クツォザ(ku-tsodza83)して大丈夫、彼女?ああ、クツォザは止めとこう。(チャリに向かって)お母さん、ええ。大丈夫? Chari(C): 私は元気そのものよ。 Ny: あなた、元気そのものなんですね。あの人、ライカ(laika13)との争いを終わらせましょう。行って、あの人との争いを鎮め、仲直りしましょう。あなたがここ、私の家にいらっしゃれば、私たちの歓迎(karibu205)は、水による「いらっしゃい(karibu)」です。私たちの「いらっしゃい」は水の「いらっしゃい」です。
Chari(C): 眠たいよ、なあ。 Nyamawi(Ny): うう。ここでは寝ないで。 C: お前は私を殺そうとしている。もう立ち去らせてくれ。 Ny: (ムリナに向かって)この丸太にすわってくれ。あなたに指示をあたえたいんです。彼女にクツォザ83をして欲しい。ここに12本のツォガ83、こちらにも12本のツォガ、そして背中の真ん中にも12本。もし人々をクツォガするなら、こんなふうにすればよい。彼女のクツォザは、私がしないほうがいい。今晩の私の(主宰の)歌(wira86)を台無しにするから。 Murina(Mu): いやいや。彼女のことはかまわないで。薬を彼女に自分ですり込んでもらいます。 Ny: OK。鶏はもう回収した?ああ、じゃあ、急いで急いで。私はピング(pingu37)作りがしたい。ピングは2個必要なんだ。それに瓢箪の中身も少し。さあ、急いで、急いで。というのも、私は寝て、明日になってまた前の日の作業に戻るのはいやなんだ。いやなんだ。ああ、あんた、わかるだろう、あんた... Mu: ああ。彼女なら問題ないよ。
Nyamawi(Ny): 彼女は面倒だよ。もしお前が臆病者で、お前の頭の中に「おだやかに」を言わねばならない人(憑依霊のこと)がいる。お前はそいつ(憑依霊)を放置する。そしたらそいつは... Woman: もし施術師がダル(人名)だったら、彼ダルだったら、とっくにこの場から立ち去ってるね。 Ny: あなた、私の義理の母さん(mutsedza wangu208)、ダルは人のところに行ってこんな風に言ったそうだよ。「あなた方ニャマウィのところに行くのかい。あいつは役立たずだ。金も出さない」ってね。で大喧嘩だよ。彼らは私の所に治療を受けに来た。私は言ってやった。「あのダルって患者から逃げ出したんだよ。仲間に金も出し渋って。施術を投げ出して、逃げやがった。憑依霊から逃げたんだよ。」そちらで身を潜めてたってさ。あいつがそんなことを言うなんて。 Murina(Mu): ダルってどのダルさん? Ny: マカミーニのダルだよ。ああ、そもそもダルなら、この婦人(チャリのこと)には手も足もでないよ。薬を試しすらしないよ。
Woman: ああ、あいつは逃げ出すね。一目散に立ち去るね。人にはまるでちょっと小便でもしに行くみたいに見せかけて、なんとそのままドロン。 Chari(C): だめだ!私にどうしろと言うのだ。 Nyamawi(Ny): あなた、あなたは今は家に帰ってじっとしていてください。歌をお待ち下さい。あなたの家、山々のなかに行って、あなたの家、山々のなかでお休みください。あなたの家にゆっくりゆっくりとお帰りください。あなたの家にゆっくりゆっくりとお行きください。私たちは、つつがなきことがこの先ずっと続くことを願っています。私たちは仕事を欲しています。癒やしの術がこの先ずっと続きますように。曲がっているところは、あなた、そこをまっすぐにしてください。曲がっているところは、あなた、まっすぐに伸ばしてください。ここでは先に続いていくばかりです。あなたには小皿を差し上げます。私はここには歓迎とともに参りました。たくさんの係争とともに参ったわけではありません。私はあなたにただ「いらっしゃい」を申しました。 C: なあ、私も争いはないよ。 Ny: あなたには争いはない。ねえ、ではどうしてあなたはこちらにいらっしゃっるのですか?何をしにいらっしゃるのですか。何をしたかったのですか?
Chari(C): 少しばかり水が欲しかったのさ。 Nyamawi(Ny): 水が欲しかったと。差し上げましたよね。後でまた水は差し上げます。でも今は、ゆっくりゆっくりとお行きください。 Murina(Mu): 飲み水かい? C: なんだい、ほんの少しの水もないのかい。 Ny: ほんの少しの水209もありません。(水を求めに)人を遣らないと。すっかり忘れてました。あんた父の弟よ(baba mvaha210)、あんたすっかり忘れたね。 Mu: サトウキビ。 Ny: 違う。(チャリにむかって、唱えごと)私たちは、ローズウォーター(marashi211)でした。(ローズウォーターを買いに)人を遣りませんでした。ああ、ねえ、まったく遣りませんでした。ここにはありません。あなたのために買いにいってもらいます。明日、あなたに差し上げます。明日、差し上げます。ですから、喜びとともに、お行きください。この者(チャリ)を食べないでください。この者を食べないでください、この者を食べないでください、あなた、山々の人よ、あなた大きな岩の人よ。この者を食べないでください、あなたカンエンガヤツリ(mukangaga103)の人よ、あなた海の人よ、この者を食べないでください。
Nyamawi(Ny): 私たちは歓迎(karibu205)のみ、ここには争いは、なし。この者がつつがなくあれ、つつがなくあれ。この者が憑依が解け、つつがなくあることを欲します。まずは、明日、私はこの者に仕事を与えます。私はこの者が、あちらプーマ(地名)に行き、人(ライカ13に奪われた病人のキブリ12)を求めに行くよう望みます。明日、そして旅をするのはあなたですよ。あなたこそ旅人です。歌もあなたに差し上げます、そして旅をするのはあなたです。瓢箪も明日、あなたに差し上げます。その後、プーマにお行きください。旅人はあなたです。ここには争いはございません。この者(チャリ)も旅人ではないでしょうか。とはいえ、あなたがその前を行きます。あなたが行ってこの者の脇を締め付ける、とんでもない、だめです。もしあなたがそんなふうになさるなら、私たちは仲違いすることになります。私はあなたに上機嫌で仕事を差し上げます。あなたが立ち上がるなら、上機嫌で立ち上がってください。さあ、ゆっくり、ゆっくりとお行きなさい。別の問題を引き起こさないでください。ゆっくりゆっくりお行きなさい。 (人々に向かって)さあ、解散しましょう。この場の争いは終了しました。あちらに行きましょう。 Mwaka(female muganga, Mw): (チャリに向かって)まずは、あなたにとても大きな歌を差し上げましょう。もうすぐ、あなたは心ゆくまでお踊りください。解きほどいてください。この者の背中を折り壊さないでください。
1486 (チャリ、人々と握手を交わし始める)
Mwaka(Mw): 歌でしたら特大の歌を差し上げますよ。ご自身で踊って、ご満足ください。 Murina(Mu): さて、さあ、解きほどいてください。私はここでの仕事にあなたをお呼びいたしました。あなたは仕事を与えられます。私たちの家に帰って仕事をなさってください。 Hamamoto(H): さて、解きほどいてください、お母さん、解きほどいてください。 Mu: 私はこうして今、あなたに仕事を差し上げましょう。 (霊、各人と挨拶し握手を交わしながら去る。「嗅ぎ出し」は終了し、人々は樹の下に集まって酒を飲み始める。)
解説: 徹夜のカヤンバについては、特に読解の困難はないと思われるが、簡単な解説を付け加えておきたい。こちらのカヤンバでもチャリの霊ジンジャ導師が暴れまわる。予定していた歌のリストにないのに、チャリが勝手に歌いだして呼び出してしまう(あるいは霊が勝手にやって来て自分で自分のための歌を歌いだす)ので、主宰の施術師としてはコントロールしようがない。このカヤンバでも開始後まもなくに一度、ニャマウィとムリナがニャマウィにとり憑いたジャバレ導師と交渉している間に、短時間だが一度、そしてマコロウツィク(makoloutsiku145)の後でも再び出現して、ジャバレ導師の際の出現を別にすれば、いずれも長く居座って施術師たちを手こずらせている。
それ以外にも、チャリは多くの霊において「踊る」以外に、ヤマアラシ、プンガヘワ、デナなどで、それぞれの霊として周囲と掛け合っている。プンガヘワは出現した直後はディゴ人らしくキャッサバなどを食べたがるが、すぐに土を欲するようになる。これはジンジャ導師に見られる振る舞いであり、霊のアイデンティティが少し混乱しているようにも思える。デナにおいては会話はギリアマ語中心で、酒好きの霊らしく振る舞い、前夜の残り物の固くなった練粥を肴にほしがるなど、いかにもそれらしい。
ジンジャ導師は、数多くの別名、別アイデンティティがからんでいる(それは例えば世界導師やジャバレ導師と同一人物とされたり、それらとは区別されたり、不安定である)が、チャリの占い活動を担う霊である点では、この当時はゆらぎはなかった。したがって、このカヤンバにおいても、人々はジンジャ導師から彼らが抱えている問題についての情報を取り出そうと、繰り返し問いかけている。ここで焦点になっていた問題は、月のカヤンバにおいてもそうだったように、チャリに何年も子供が生まれないという問題である。妊娠は何度もし、腹の中に子供は来るのだが、すべて消えて無くなってしまうと人々は言っており、それが誰のせいであるのかをジンジャ導師に明かしてもらおうとしている。ジンジャ導師は「私ではない」と繰り返すばかりで、なかなか答えをかえさない。それでも人々は執拗に問を繰り返す。最後(私が最終的にダウンしてしまうまで)には、腹の中に子供が来ても、それは食べられてしまうのだ、ということが明かされ、子供を食べる霊の正体として、ゴジャマ、スディアニ導師、ペンバ人の名が上げられる。この問題は、その後チャリ・ムリナの夫婦と彼らの周囲の人々を巻き込む深刻なトラブルへと発展していくことになる。
1498 (ムルング子神の歌) ムルング子神の歌1 ムルング子神の歌2 ムルング子神の歌3ここまでリズムは ku-suka212 ムルング子神の歌4ここからリズムは ku-tsanganya213 (4の途中からチャリ立ち上がって踊り、歌に唱和する) ムルング子神の歌5 この途中からリズムは ku-bit'a214 ムルング子神の歌6 ムルング子神の歌7 (チャリ、自ら先導してムルング子神の歌8に切り替える) ムルング子神の歌8 ムルング子神の歌9
Nyamawi(Ny): アラブ人(の歌)を打ちなさい。なんで止まってるんだい。アラブ人を打ちなさい。休むんじゃないよ。 憑依霊アラブ人の歌1 憑依霊アラブ人の歌2 憑依霊アラブ人の歌3
(チャリ、歌をとめて、自分から別の歌を歌いだす。「ヤマアラシの歌」参照 DB6010
Chari(C): 泣いている ヤマアラシ(nungu[^nungu])、エエ うろついている ヤマアラシ 施術師は争いから逃げ出した うろついている ヤマアラシ 施術師の皆さん タイレ(taire215)
Woman: ねえ、あんたたち彼女に尋ねたらどう? あんたたち施術師さん Man: だって、この(憑依霊の)歌、歌わないはずだったもの。彼女(チャリ)なにかに到来されちゃったんだよ。
Nyamawi(Ny): 自分で報告しなさいよ。 Chari(C): ただ来ただけさ。 Ny: やって来たって、なんでですか。あなた、もし到着したのなら、報告してくださいよ。私たち、もし来たなら約束したでしょう?報告してくださいよ。 C: ええ?今こんな時間に? Ny: そう、報告する時間は、まさに今ですよ。 C: 私は見物に来ただけなんだよ。
(カヤンバ奏者たち、手筈通りキツィンバカジの演奏に入る。全4曲。1,2のみ書き起こし) 憑依霊キツィンバカジの歌1 憑依霊キツィンバカジの歌2
(続いて憑依霊サンバラ人、全3曲、書き起こしは最初の2曲のみ) 憑依霊サンバラ人の歌1 憑依霊サンバラ人の歌2
(チャリ、サンバラ人の3曲目で自分で手を上げて曲の演奏を止め、自分から別の歌を歌いだす。当地の奏者たちは曲を知らない。ここまで霞んでいたチャリの弟子たち、ここぞとばかりにフォローする) 憑依霊ジンジャ導師の歌1 (2曲目は、当地の奏者たちも加わり全員で合唱) 憑依霊ジンジャ導師の歌2
Ny: さあ、お前さん話し合いです、お前さん話し合いです、お前さん話し合いです。夜が開けてしまいます。夜が開けてしまいます。 C: 私は水が欲しいんだよ、あんた。喉が渇いたんだよ、あんた。 Ny: この人に水をあげて、この人に水をあげて、この人に水をあげて。
Chari(C): やれやれ。水は飲んだよ、もう結構。 Nyamawi(Ny): じゃあ、あなた、話し合いです、お前さん。さっさと私にあなたの言いたいことを話してください、お前さん。さあ、皆さん、黙って、黙って。 Murina(Mu): 私たちは癒やしの場に参りました。私たちは祖霊に、癒やしの術を私たちが(外に)出せるよう祈りたいと願っています。さらにお互いに話し合うことは良いことです、私の友よ。 C: 私には言いたいことなんかないよ、私には。 Mu: 言いたいことがないですって? C: (聞き取れない) Ny: 体調が最悪(vorovoro216)ですって?さて、どんな風に最悪なんでしょうか、あなた? C: (チャリ、「ガンダ語」(と言われてはいたが、いずれにせよ、誰にも理解できない言葉)で少し喋る) Ny: なぜ気分が最悪なんでしょう。はー、これは歌(wira86)です。癒やしの術の歌の場なんですよ。 C: ヘエエエ、ウェー、ホーフィ(ため息)。私は挨拶しているんだよ。私が争いの種をもっているなんていわないでほしいよ、まったく。 Ny: はいはい、私もあなたが挨拶してくれるよう願います。だって争い事じゃなんですから、あなた。だって私はあなたを歌にお呼びしたんですよ、来て踊っていただこうと。何かここで気になることがあれば、おっしゃってください、お前さん。
Nyamawi(Ny): そして本人も(病気が)治りますように。そして明日、癒やしの術が順調でありますように。それ(その癒やしの術)を出し、仲間たちに道を譲ってください。彼らが自分たちの順番を手に入れ、満足できるようにさせてやってください。これこそ私があなたをお呼びした理由なのです、お前さん。 Chari(C): (「ガンダ語」でまくしたてる) (この間、カセットテープ交換) Murina(Mu): ンドゥレンゲは病気なんです、ご主人。(施術上の子供の一人に向かって)あなた、あなた、こちらにおいでなさい、あなた。 Ny: あああ、ねえ、あなた、私にお話しください。でも私には理解できない言葉もあります。さあ、ご覧なさい、あなたが私にお話になったことの、あるものは私には理解できません。 C: いいかい、へえ。 Ny: ええ。 C: 私は挨拶しにやって来たんだ、そしてお前に子供を連れてきてやったんだよ。あんたこいつのことを知らない。この子供はゼンゲだよ。あんたこの子を知ってるかい。
Nyamawi(Ny): いいえ、知りません。 Chari(C): (再び「ガンダ語」を喋りだす) Ny: お前さん、(私が知っている人は)あなたが家においてきた人でしょう。あなた、彼女を家に残してきたんじゃないですか?そして私に見せるために(連れてきた)別の人が、この人じゃないんですか? (人々爆笑) Ny: 私に紹介してくれたこの人から治してください。で、家にいるあの人、ンドゥレンゲでしたっけ、も治りますように。私はもう少しで(彼女を)娶るところでしたのに、あなたは彼女を押しつぶしている。もしあなたが彼女を押しつぶすとしたら、私はどうすればいいんでしょう? C: (「ガンダ語」を喋り続けたのち、いつのまにか変なドゥルマ語に)マセラだっけ、だって私たちディゴ人、わたしたちのディゴの土地ではンゴマがあり、だってそれは知識だよ。だってディゴ人、だってセラ。お前、あいつセラのこと知ってるかい。 Ny: (笑いながら)セラ、それはシェラですよ、あなた。 C: お前、セラのこと知らないのかい、お前。セラは、来ること、そしてお前たちの仕事を与えられること。ディゴ人もね。 Ny: そう、ディゴ人にも仕事がね。 C: というわけで、私はここに来ること、挨拶すること、以上。 Ny: はい、それは結構なことです。 C: 私は、友だちが仕事を与えられるのを見ると、嬉しくなるんだよ。ねえ、あんた。 Ny: あなたは、仕事をしている仲間を見ると喜びを感じるのですか?それなら、彼らの邪魔をしないでくださいよ、彼らの邪魔をしないでくださいよ。 C: そもそも、もし私があいつらを邪魔するつもりだったら、あんた、あんたが人を見ることはないだろう(憑依霊は誰も来なくなるだろうよ)。(ムウェレ)は身体を固くしているだけさ。あんた仕事をもらうこともないし、受け取ることもないよ。でも私はここに笑い、泣くためにやって来たんだよ。 (チャリ再びガンダ語)
Nyamawi(Ny): さて、さて、もしお前さんがそうだとすれば、それは結構なことです。もしお前さんがあれらあなたの仲間たちのために道を譲ってくださるのなら。あれらあなたの仲間たちに彼らの仕事をさせるためにね。なぜなら、あなたがおっしゃったとおり、もし私が仕事をし、私の後に友人がいてくれるなら、私は気分上々です。はい、私もとっても上々の気分です。 Chari(C): 私はとっくに満足してるよ、あんた。 Ny: あなた様はとっくに満足しておられる。じゃあ、このあとあなたの仲間たちを通してやって、あなたは彼らを見ててください。 C: 私は、あんた、大きな布(nguo217)も買ってもらった。キルー(chiluu218)も与えられたよ、あんた。マリンダ(marinda219)もいっぱいもらったよ。 Ny: ではでは、あなたの仲間たちに道を譲って、先に進ませてやってよ、お前さん。キトゥク(vituku220)を彼らにも着させてやってよ。 People around: (笑い) Murina(Mu): あなたも、そうしたマリンダを買ってもらえますよ。でも仕事は、ひとつひとつ辿っていくものです。この仕事を終えたら、そしたら私たちはマリンダを買うことになるでしょう、御主人様。
ジンジャ導師、上機嫌で周りの人も大笑い
Nyamawi(Ny): もしかして、あなたは私に、嘘をついているとか。あなたは持っていないとか。 Chari(C): 私は喜びを感じてるよ。嬉しいんだよ、あんた。 Ny: 私はあなた様に大人しくしていてくださいと申します。もしそうなのでしたら、あなたは買ってもらえますよ。 C: (「ガンダ語」) Ny: さて、今あなたは私にこうおっしゃった。もし布を買うことでしたら、布を買ってくれるまでは、あなたは彼に子供を与えないと?そうだったら、あなた様。そうだったら、私もあなたに申し上げます。... C: 私じゃないよ。 Ny: あなたじゃない?じゃあ、なんでさっきあんた、私におっしゃったのですか。彼がたくさん布を買ったら、私も布がたくさんになる、なぜなら彼が買ってくれるだろうからと。あなた今は私に嘘をついている。 C: ちがうよ、私じゃないよ、もう。 Ny: さて、では誰なんですか。 C: 私は悲しいよ、私は。(再び「ガンダ語」に)
Chari(C): 私はキルーは手に入れた、そしてたくさんの布もね、あんた。だから喜んでいるんだよ。(再び「ガンダ語」に)歩いていても、喜びを感じる。(肩をいからせ胸を張って歩き回る仕草。人々爆笑) Nyamawi(Ny): (笑いながら)なるほど、争いは携えていないとね、あなた様。あなた様、そういうわけで、あなたはキルーを手に入れたと。では、もし、あなたがその(キルー)を与えられたのだとしたら、私にほんの少し教えてくださいませんかね、私がちょっとばかり理解できるように。 C: あんたに場所はあげるよ。あんたに何を示したらいいんだい?あんたは何を求めてるんだい? Ny: 私は子供が欲しいんですよ。 C: 自分の脚をもって産まれてくる子供のことかい? Ny: 脚をもった子供ですよ、あなた。 C: そいつなら自分からやって来るよ、あんた。そのうち指も見えてくるよ。 (People around: laughter) Ny: そのキルー、誰に運ばれることになるんでしょうか、そのキルーは? C: ただこんな風にやって来るよ。今、今すぐにでも被っちゃうよ。 Ny: それを運んでくるのは誰ですか?そのキルーですよ。
Chari(C): 子供はやってくるよ、あんた。 Nyamawi(Ny): いつですか? C: 今やってくるよ。あんたも、その子がよちよち歩きするのを見るだろうよ。その子はここに来るよ。 Ny: なるほど、でも私に嘘をついてないですか、あなた様。私が思うに、争いのもとは、それらのマリンダですよね、それが問題。私はあなたのために見つけてきますよ。今はまずは、合意し合いましょう。私は... C: 私はここにやって来て、私の仕事は喜ぶことだよ。そもそも、私はいつもやって来るたびに、最悪な体調でやって来てるんだよ。でも今日は喜びを感じてるのさ。だって嬉しいんだから。友人が仕事を与えられる。ディゴ人だったけ? Ny: シェラとディゴ人が仕事を与えられます。 C: 仕事が与えられるんだね。私も本当に本当に心地よく感じるよ。さて、私は立ち去るかね。 Ny: では、お立ち去りください。さあ、機嫌よくお行きなさい。
Chari(C): (ジンジャ導師の歌を歌い始める) ジンジャ導師の歌2 Zenge(Ze): どうかお解きほどきください。だって私も今や長老(mutumia222)なんですから、私ゼンゲも。 Nyamawi(Ny): そしてこの者自身も、健康でありますように。あの子供、あの子供ともどもに健康でありますように。争いを持ったまま、行かないでください。どうして、この人(チャリのこと)、畑仕事それ自体、(畑を)耕しに行けば、たった一回だけ、夜が明けると、もう二度と畑仕事ができない。病人そのものなのです。あなた。 C: 畑仕事?あんたは畑仕事がしたいのかい、あんた。私なら、もう耕しに耕し続けるさ。私は畑仕事するよ。どんどん耕し続けるよ。 Ny: あんたが?ほんとですか? C: 私は畑仕事するよ。耕し続けるさ。
Nyamawi(Ny): それに癒やしの術も。 Chari(C): (突然スワヒリ語で)だめだ。私は畑仕事とワリ(wari223)を食べたいだけ、以上。あ、それと睡眠な。 Ny: 畑仕事と癒やしの術ですよ。 C: なんてこと!私はワリは食べるまい。そもそも、今から、私はワリを食べないだろうよ。お前は私に畑仕事をしろと言った。私は今日から食べるのを辞めるよ。 Ny: ああ、ちがいますよ、あなた。では畑には行かないでください。行かないで。 Mwaka(Woman muganga, Mw): 子供たちには何を食べさせるつもりだい? C: (またスワヒリ語で)へー、私はバナナを食べるね。 Mw: ドゥルマの子供がバナナで養われるなんて? Man: ウガンダでは、ねえ、ガンダ人たちはバナナを食べるんですよ。 Murina(Mu): 家にはバナナの木は2本だけ。お前さん、何を食べようっていうのですか? C: (チャリ、「ガンダ語」を喋りだす。途中から即興の「ガンダ語」の歌に変わる。)
即興の「ガンダ語」ソング、ムリナ氏の発言がかぶる
1512 (歌の途中でムリナが語る)
Murina(Mu): あなたは分別がない、もうまるで、ヘー。歌って、ねえ、そして解きほどく。さらに仕事、これこそ私がとりわけ欲しているものです。農耕は、いっしょに耕しましょう、そしていっしょにバナナを食べましょう。 Chari(C): 私は立ち去るよ。 Nyamawi(Ny): それでは、上機嫌で立ち去ってください。上機嫌で去ってください。上機嫌で行ってください。癒やしの術、癒やしの術。お金が家に入ってこない。 Mwaka(Mw): それでは、上機嫌で、そして解きほどくこと、解きほどくこと。さて、あなたこそ、面倒を起こす人なのですね。 Ny: あんたこそ、面倒を引き起こす人です。お金が家にたっぷりありますように。 Mw: 仕事、仕事。私たちはお金を欲しているのです。 Mu: さて、さて解きほどいてください。 Zenge: 解きほどいてください、解きほどいてください、私は私の弟(妹)224が欲しい。私ゼンゲは。だって、私はもう長老(妻帯者)なんですから。解きほどいてください。お母さん、解きほどいてください。私は私の弟(妹)がほしいのです。 Mw: その子に、ムコバ(mukoba82)の手助けをさせてください。もう来ないでください。 Ny: 水が欲しいのですか?
Chari(C): ああ。飲ませてくれ。私は立ち去るよ。 Nyamawi(Ny): はい、結構です。 C: 私はあなたを困らせたね。もうあなたは私を憎んでるね。 Ny: いいえ。あなたをまったく憎んでなどいませんよ、私の友よ。第一、あなたは私に良いお話をしてくださった。憎んでなどいませんよ。あなたは私に良いお話をしてくださった。憎んでなどいませんよ。(人々にむかって大声で)ンゴマを前に!
(カヤンバ演奏再開) (サンズアの歌) 憑依霊サンズアの歌 (録音中断).... (録音再開、以下は書き起こし可能だった部分のみ) 憑依霊クァビ人の歌1 憑依霊クァビ人の歌2 憑依霊クァビ人の歌3 憑依霊ガラ人の歌 憑依霊ゴジャマの歌1 憑依霊ゴジャマの歌2 憑依霊ムヮクララの歌 憑依霊プンガヘワの歌1 憑依霊プンガヘワの歌2 憑依霊プンガヘワの歌3
1526 (カヤンバ演奏プンガヘワまたは憑依霊ディゴ人?)
肩を揺すって踊れ、お母さん、私の兄弟姉妹(mwenehu225) 肩を揺すって踊れ、お母さん、私の兄弟姉妹
Chari(C): 私はワリ(wari223)は食べないわ。 Men: 何を食べるんだい? C: キャッサバ(manga226)が欲しいの。お腹すいたわ、あんた。 Murina(Mu): 何を食べたいって?何が欲しいんだい? C: なに、あなた私が食べるものが何か知らないの、あんた? Mu: ああ、あなたときどき私を怒らせるね、あなた。 C: ちがう、私は欲しいの... Mu: よし、待ってな、あなたに持ってきてあげましょう。 C: 私はお腹が空いたのよ、あんた。
(キユガ・アガンガ(chiyuga aganga227の歌、書き起こされず) 参考(キユガ・アガンガの歌)
Chari(C): ねえ、あの人(ムリナのこと)行っちゃったわ、食べ物持ってる人。 Zenge(Z): あなたのために手に入れに行ったんですよ。私は燃えてます(痛い目に会っている)よ。燃えてます、つまり火がついている。彼は本当に空腹(nzala)なんですよ。 (ムリナ、カップに土を入れて戻って来る) C: なに、少ないじゃない。 Z: ちょっとでも、あなたには十分ですよ。この空腹には。 C: なんでよ、おしっこ臭いじゃない。なに、おまけに石が。全然だめ! Murina(Mu): でも、あっちにはなかったん... C: あんた、行ってわざと石をとってきたんでしょう。私は、もういらないわ、もう。 Mu: それなら、私ももう、ここまでだよ。そもそも私は土を食べる人は嫌いなんだよ。 C: ああ、もう結構。 Mu: ほら、こんな風に、もう喧嘩になちゃったじゃないか。私はあんたに与えた。あんたが空腹で死なないようにとね。 C: だって石が、あんた。私は歯がないのに。歯が一本折れちゃったよ。
Murina(Mu): じゃあ、もう一度探しに行くよ。でもあんたはまた石だらけって言うんだろうね。 Chari(C): (チャリ再び自ら歌い出す) (おそらくプンガヘワ(pungahewa131)の歌) スカート(karinda219)を揺すって踊れ、我が子よ スカートを揺すって踊れ、ヘー (歌しばらく続くが、書き起こされたのはこの2行のみ) 参考:プンガヘワの歌(DB 5241)
Nyamawi(Ny): あなた、もう立ち去りなさい。休みなさい。あなたの仲間たちに譲ってください。あなたには与えられますので、お食べください。そう、とっても良いお食事を食べますよ。だって、ここで揺すっておられると、お腹がパンパンになりますよ。 C: もう満腹だわ。もういらない。 Ny: さて、私だって満腹です。 C: お前、食べなかったじゃないか。 Ny: たくさん食べましたとも C: ホーフィ(大きなため息)。さて、もう行くよ。 Mu: はいはい、さらに、つつがなきことを。
Chari(C): いいえ。あなたこそ、つつがなきことを。 Murina(Mu): 私は昔からずっと健康さ。
(チャリ、白い長衣とターバン姿で現れ、ジャバレ導師(mwalimu jabale132)の歌を歌いだす。が、誰も歌を知らずついてこれないので、ムリナが教え始める)
Chari&Murina: 入っていいですか、ジャバレ導師、入っていいですか、エー 入っていいですか、ジャバレ導師、入っていいですか 私を呼ぶのは誰じゃ 扉を開けるのは、わしじゃ ジャバレ王、ジャバレの子供 今日は導師 おいでください、主よ、サルタンよ Mu: さあさあ、お歌いなさいな。私は本を見に行きます。なぜなら彼は本を探しに行ったからです。 KayambaPlayer1: あなた、長老、この歌が済んでから行ってください。歌がまだ私たちの耳に入りこんでいないのです。
KayambaPlayer2: どうしてあなた方はこの歌を秘密みたいになさるんですか。(チャリの)弟子(anamadzi2)はあなた方なのに、歌を歌わない。 (あらためて歌い始める) ジャバレ導師の歌1 ジャバレ導師の歌2 ジャバレ導師の歌3
(ニャマウィ氏、ゴロモクヮ(golomokpwa[^goromokpwa])する。ウウ、ウウと唸り呻く。ムリナ、憑依霊を描いたスケッチブックを持ってきて彼が描いたジャバレ導師の絵などを見せながら、「アラブ語」で唱えごと(内容は誰にも理解不能、書き起こし不能))。
Murina(Mu): ...書き起こし不能...
(ジャバレの曲が演奏される中、続いてチャリもゴロモクヮ、自ら先導してジンジャ導師の歌、続いてカリマンジャロの歌を歌い始める。チャリの弟子たちそれに続く。) ジンジャ導師の歌2 カリマンジャロの歌
(一方、この間も、ムリナはニャマウィ氏に対する唱えごとを続けている)。
Mu: (一瞬スワヒリ語に戻る)完全なる平安を、また7と70(の扉)をお開きください。私、匠はお金を欲しております。私に仕事を出させて(nitoe kazi228)ください。私、匠は、お金がほしいのです。70と7つの扉を開けてください。さらに、全能の神のために平安の扉を開いてください。(再び理解不能な「アラブ語」に戻る)
(チャリ、特に誰かと問答を始めることもなく、ひとしきり踊って沈静化。ムリナの唱えごとが続く中、カヤンバ奏者たちはジャンバ導師(mwalimu jamba174)の演奏を始めるが、開始後ほどなく、停止)
Kayamba Players: (口々に)(ジャンバは彼女の中には)いないよ。
1536 (ムリナ、ニャマウィ=ジャバレ導師に対してドゥルマ語で締めくくりの唱えごとをする。)
Murina(Mu): さて、どうか完全に解きほどいてください。私はつつがなきことを欲します。つつがなきことと、蓄財こそ私の望むことです。さらにあらゆる方面を解きほどいてください。南を解きほどいてください。北を解きほどいてください。西を解きほどいてください。東を解きほどいてください。解きほどいて、良き風がやって来ますように。幸運の風です。熱い風は来ることなし。私の必要なものはお金です。2ヶ月でとてもたくさんのお金が手に入りますように。私はやって来て、あなたにあなたの子供(瓢箪子供)を差し上げましょう。私はやって来て、あなたにあなたの本(憑依霊の絵が描かれた)を差し上げましょう。すべての物事を私はお書きいたします。私はお金を待っております。なぜなら、なぜあなたはお金をお稼ぎにならないのでしょうか。あらゆることが準備出来ています。あらゆることを私は書きました。今は、本人の約束の日時を待っております。なぜなら、彼から約束の日時をいただけば、私はやってまいります。 (ここからほぼスワヒリ語のみの唱えごとに) Mu: なぜあなたは私、匠に光をくださらないのでしょうか。さて、全能の神のお機会をお差し出しください。そして全能の神の慈悲をお差し出しください。仕事なら、あなた方は問題なくお手に入れられます。あなたの隣人は私です。あなたの兄弟は私です。あなたの友人は、私です。
1537 (ムリナのスワヒリ語の唱えごと続く)
Murina(Mu): 私には兄弟はおりません。私の兄弟はあなたです。平安のうちに、全能の神において、それを知らしめたまえ。私の友よ、私はあなたに告げ、あなたに乞い願わねばなりません。シャイフ(族長)の皆さま、高貴なる皆さま、そしてモスクの導師の皆さま全て。私は皆さまに申し上げます、貴紳の皆さま、チャキチャキ184の皆さま、ヴンヴ189の、そして水の農園(konde la maji)の皆さま。血の池の方々。皆さますべて、私はご傾聴願います229。ご傾聴ください、そして重ねて、完全にご傾聴ください、貴紳の皆さま。どうかあなた方の仲間のこの立場を御覧ください。そして首尾上々にお通り過ぎください。そしてそのままでお進みください。とっても上々に。重ねて、上々に(今日の施術の進行を)お進めください。重ねて完全に上々にお進めください。7と70の扉に向かって。そして平安に、重ねて、おとなしくしていてください(ugurame230この動詞はドゥルマ語の動詞)。完全に、おとなしくしていてください。仕事を御覧ください。あなたの母に仕事をお与えになってください。彼らシェラども、田舎者ども(akina mushonga meno231)のための(仕事)です。でも、私に急ぎお金を手に入れさせてください。私はお金が必要です。メニコロショ、ミニコロショをいっぱいにしてください232。お金こそ、まさに仕事をもたらしてくれるものです、お父さん。血を眠らせないでください。
1555 (murisa, masai, muduruma と演奏が続く。チャリはよく踊るが、言葉は述べない。) murisa(放牧者)の歌1 murisa(放牧者)の歌2 murisa(放牧者)の歌3 不明な霊の歌1 不明な霊の歌2 憑依霊マサイ人の歌 不明な霊の歌3 不明な霊の歌4 不明な霊の歌5 憑依霊ドゥルマ人の歌1 憑依霊ドゥルマ人の歌2 憑依霊ドゥルマ人の歌3 憑依霊ドゥルマ人の歌4
デナの歌1 デナの歌2 デナの歌3 デナの歌4 (dena 4曲目のあと、golomokpwaしたチャリとNyamawiらとのやりとり)
Nyamawi(Ny): 私たちはあなたをお呼びしました、お父さん。歌(wira86)ですよ、癒やしの術と。デナご自身は、そう私に子供(瓢箪子供)だけを彼女に与えさせてください。ライカたち(malaika13)とイキリク(ichiliku74)といっしょにです。私はあなたを同様にお呼びしたまでです。喧嘩ではけっしてありません。 Chari(C): それで同じくわしも呼ばれているというんじゃな。来て... Ny: あなたは長老と呼ばれています。(あれら主賓となる他の霊たちを)歓待してやってください。歓待してやってください、この場に、それだけです。そして癒やしの術の不思議を。 C: なあ、で踊っている奴、歓待を受ける奴は、食事にと歓待されるのかい、それともそいつを歓待するのは... Ny: いや、とんでもないお父さん。まずは、彼らは歌で歓待されるのですよ、お父さん。まずは歌です。(弟子に向かって)この方にキパーリャ(chiparya233)を差し上げて。 C: カボコ(kaboko234)を。
1556 (ムリナ氏、ギリアマ語でチャリに語りかける。チャリもギリアマ語で応じる。)
Murina(Mu): あれらの長老たちにも、あなたはお与えになった。...とても良いことをなさいました。あなたも今すぐに頂けますよ。 Chari(C): 今度は何を?さっきの(酒)、飲んだら、後ですごく死にそうな気がしたぞ。 Mu: かたまり(kagande235)があればいいだけじゃないんですか。違いますか?あなたにも差し上げましょうか。 C: わしゃ、知らんよ。 Mu: 大丈夫ですよ。 C: 何もかも、乞いもとめてばかりせにゃならんとは。 Mu: 私たちは知ってます。長老が来ると、彼はワリの一かたまり(kagande)と彼専用のムボコ(mboko234)を与えられるってことを。さあ、あなたはというと、心がすぐ先走ってしまう。私はあれやこれやが与えられていないなどとおっしゃる。あなたにも差し上げますよ。(女たちに向かって)ワリ(wari223)を持ってきて。一かたまり。 Nyamawi(Ny): ワリの一かたまり(donje236)。冷めたワリ(upholwe237)の一かたまり。 男(man): これ、冷たいね。おかず(mutsunga156)についてこの人は何か言ってる? Mu: このままじゃだめなのかい?
Nyamawi(Ny): おかずは何だい?とっても美味しいよ。 Chari(C): ところで、(キパーリャ233を)何に置けばいい? Murina(Mu): あなたは置く場所を求めている。置く場所。ねえ、手に持っているのじゃだめですか。手の中に握っていてください。まずは味わってください。 C: でもこれ、ただなのかい? Ny: それはとってもヤシ酒ですよ。(浜本注: ニャマウィ氏のギリアマ語、ちょっと変) C: たくさん飲むことになるかな? Ny: それはベシディ・ンダロさんのヤシ酒ですよ。ベシディ・ンダロさん自身が抽出しました。もう極上です。極上です。これは、あんたベカゾさんのお酒ですよ。あなたはベカゾさんからいただいたのですよ。 C: いやいや。彼は、なあ...ところで、なあ、あんたたち...したいのかい? Ny: なんですって? C: OK、OK。 Mu: あなた、腹が減っているのに、少しで満足する人なのですか、それとも?
Chari(C): その手の悪口が、わしを殺すんじゃぞ。 Murina(Mu): もしもう満腹されたのでしたら、布を買って差し上げることも、お知りおきください。あなたがお望みなのは、ヤンバ(yamba238)でしょうか、それとも長老の腰に巻きつける布でしょうか。 Nyamawi(Ny): あなたは布も与えられますよ、お父さん。 C: ムコバ(mukoba82)がないんじゃが。 Ny: ムコバも手に入りますよ、あなた。 C: わしは服を着てないが。 Mu: あなたにはすべて与えられるでしょう、あなたが欲しいものは。 C: こいつベカダマ(Bekadama239)じゃが、カダマはまだ娶られとらんし、わしは子供を産んどらんぞ、なあ... Ny: 娶られますよ、娶られますよ、カダマはもちろん娶られますよ。娶られますよ。 C: わしは欲しいんじゃ...わしは欲しいんじゃ...
Nyamawi(Ny): あなた何が欲しいのですか?友よ、あなた。牛乳を差し上げますよ、はい。(女性たちに向かって)牛乳はどんな感じ?ない? Chari(C): ほんのちょっとでいいぞ。もしないなら、それまでじゃ。私は帰るよ。 Ny: あなたには差し上げますよ、我が友よ。あなたはとっても信じがたい心(roho ya chino240)の持ち主ですね、あなた。
(カヤンバ演奏再開、デナの歌5、しかしすぐに中断) デナの歌5
C: わしは布も欲しいなあ。 Ny: あなたは布が欲しい? C: (カヤンバ奏者たちに向かって)なあなあ、しっかり(カヤンバを)打ちなさいな。あんたたち、わしに歌ってほしいと?ここにいる一人前の長老であるわしに、お前さんたちは...
(カヤンバ演奏再開、デナの歌6、ついでチャリの先導でヤマアラシ(nungu)の歌) デナの歌6 ヤマアラシの歌(Chari版) (チャリ演奏を制止)
Kayamba Player: (ギリアマ語で)終わったの? C: 終わったよ。 Ny: 落ち着いて、落ち着いて、つかんでください。つかんでください、お父さん。
Chari(C): わしは最後にあのお父さん、ベカダマを見送ろうとしとったんじゃ。 Nyamawi(Ny): あなたは彼ベカダマを見送ろうとしていた? C: そうじゃ。わしは彼に尋ねる... Ny: あなたは彼ベカダマを見送ろうとしていた。
(カヤンバ奏者たち、ディゴ人(mudigo79)の歌を演奏始めるが、すぐにニャマウィによって制止される) 憑依霊ディゴ人の歌1
Ny: 今、(ディゴ人のための)ビーズ飾りを制作中なんだ。今、引いているところで、その後ビーズ飾りを...それとあれらのピング(pingu37)も調えているところ、あちらで調えているところだ。別の霊の曲を打ってくれ。 Kayamba Player1(KP1): それらの課題(mambo)がまだだと? Ny: まったくまだだよ。 KP1: 急がせてくれよ。
(続いてニャリ(nyari67)の歌) ニャリの歌1 ニャリの歌2 (続いてムァヴィツヮ(mwavitswa143)の歌) ムァヴィツヮの歌1 ムァヴィツヮの歌2
1568 (ニャマウィ、イスラム系の憑依霊の曲を打つよう指示するが、チャリの弟子(mwanamadzi2)は拒む。議論になりかけるが、その途中から録音)
KayambaPlayer2(KP2): 彼は、そいつ(その霊)は除外しろと言われたんですよ。 Nyamawi(Ny): (なぜかスワヒリ語のみで語る。)私はその霊のために歌うつもりだよ、長老さん、私とあなたでその霊のために歌って、その霊が上機嫌であるようにしましょうよ。 KP2: イスラム教徒(の霊)たちすべてを、打つなと言われているんですよ。 Murina(Mu): わたしは、その霊の問題を熟知してます。人は一瞬で(そいつに)血を飲まれてしまうんですよ。見ていて、同情を覚えてしまうほどね、あなた。 Ny: 彼女(チャリ)が、それとも私が? Mu: 彼女ですよ、(血を)飲まれてしまいます。 (ムリナ、歌い出す) あれらのウシたち、お母さん あれらのウシたち 布をマエガ結び241に結びなさい Chari(C): (叫ぶ)ムルキ(Muruki)よ、ムルキよ、ムルキよ! KP2: ムルキ?
Kayamba Player1(KP1): 誰だい? Kayamba Player2(KP2): もしかして、ルキ(Luki)だったり。 (憑依霊ルキ(luki144)の歌) ルキの歌1 ルキの歌2
Nyamawi(Ny): ムビリキモを急いで、ムビリキモを急いで KP1: ムビリキモを打ってくださいな。 (憑依霊ムビリキモ(mbilichimo69)の歌) ムビリキモの歌1 ムビリキモの歌2 ムビリキモの歌3
(この後、makoloutsiku[^makoloutsiku]の休憩に入る) (ビーズ飾りの作業についてのちょっとした議論)
KP1: 仕事、もっと急いで頑張らせてくださいよ、お父さん。夜が明けちゃうよ。 Ny: そうなんだよ。昨日の作業、お前もわかるだろう。さて、あんた方は、その仕事を自分たちがやりましょうと言ったね、あんた方。あんた方は今尋ねている。「お父さん、ビーズ飾りはもう済んだのですか」と。じゃあ、あっち(ビーズ飾りの作業)へお行きなさい。 KP1: でも、ここでも仕事(酒を飲む)があるじゃないですか。 Ny: さて、よく聞きなさいよ。弟子たち、前へ。ビーズ飾りの作成者も前へ。 KP1: あなた、おっしゃったでしょ。これらのビーズはもうビーズ飾りには使いませんって。 Ny: そう。私はビーズ飾りが完成したって聞いたから。おまえ、行って確認したのかい? KP1: 行って、確認しましたよ。 Nyamawi(Ny): なんだ、じゃあ終わりだ。お前が行って見てきたのなら、済んだってことだ。 Kayamba Player2(KP2): 終わったって言ったのは誰? KP1: 私があちらに行ってきた。終わってたよ。
1570 (カヤンバ再開。仮眠中で気づかず、慌てて起き出すと憑依状態のチャリが人々とやりとりしていた) (この間に録音された歌の一部、何の歌なのかは確認できず) (chorus)
祖霊、ハッカ飴みたい 計画を待て Chari(C): 私はもう帰りますよ。 Nyamawi(Ny): さて、あなたはもう立ち去ってしまわれる。 C: なんだい、あんたたちのところじゃ、別れを告げ合わないのかい? Ny: いえいえ、別れを告げ合いますよ。 C: 今、あんたたち、私に立ち去ってしまえって行ったよね。ああ、私は立ち去るよ、私は。 Ny: 今、私は言葉を一つ手に入れておりますよ。 C: さて、いったいどんな言葉を手に入れると? Ny: はい、私が手に入れたのはこれです。 C: さあ、話してちょうだいな。 Ny: 以前、約束しましたよね。夜が明けたら、私の問題について話してやろうと。そうしないとでも。「私はお前の問題について話に来てやろう」そうおっしゃいませんでしたか、あなた。 C: ああ、もう話してあげたよ。 Ny: いやいや、あなたは何を話してくださったというのですか?
Chari(C): もう話してあげたじゃないか、あんた。私に話し続けさせたいだけ。私にただ話し続けろと。 Nyamawi(Ny): ただ話してくださいよ。それも本当の言葉をね。 C: 私が話してあげたことはね。私は挨拶をしに来たんだってこと。でももう満足したってこと。そう言っただろう、私は。以上だよ。私には他には何の言いたいこともない。 Ny: ところで、あなたのお仲間たちにお話しする言葉も、みんなお元気でね、ですか? C: 私は、お前に別れを言いに来たんだよ。 Ny: じゃあ、私に別れを告げるって、何を話してくれるつもりだい。お元気で、かい? C: さて、いったい何をお前に話してあげればいいんだい?私は、友人たちが、癒やしの術を手に入れるのをどんな風に終わらせるか見に来たんだよ。私はとっくに与えられているからね。 Ny: あなたはずっと以前に癒やしの術を与えられた。今はあなたの仲間たちを見るためにこちらにいらしたと。
Chari(C): 癒やしの術はとっくに与えられたよ。布(nguo217)もとっくにもらったよ。羽飾りの冠(chiluu)もとっくにもらったよ。私は、癒やしの術は昔にもらい済みなんだよ、あんた。 Nyamawi(Ny): おまえさん、そこがお前さんの争いの場所なんだ、そこが。布を与えられたってところ、だってお前さん布がないことがわかってるのに。今、そう言ったばかり。その布、あんたは与えられるだろうよ、その布は。 C: 私は、ちっとも困ってないよ、あんた。私は全然困ってない。(チャリ、「ガンダ語」を喋りだす) Ny: それがあんたの策略だ、それが。 C: でも今日は争いは... Ny: 争いはないと。でもそれがあんたの策略だよ、それが。はい、はい。あんた、あんたときたら、へー。あんたは、私を困らせるだろう、あんたは。だって、それらの言葉(問題について)私たちが約束しても、そして互いに握手しあっても、あんたは突然あんたの余計な問題を持ち出してくる。あんたが今喋った言葉も、ねえ、すでに私に嘘をついているんだ、それらは。 C: ちがう!(チャリ、「ガンダ語」を喋りだす)
Nyamawi(Ny): それこそ争いそのもの。あんた、あんた、それこそ争いそのものだよ。聞きなさいよ、私、私に話させろよ。あんた、あんた、腹の中に子供がいる。これが争いの種だ。あんたは子供を背負うことができない。これこそ争いだ。さて今、子供が手に入ったら、私はあんたに布を買ってあげます。さらに、あんたのリンダ(rinda219)も差し上げます。履物も差し上げます。あなたは子供をくださればよい。その子は別の人に置いてもらいましょう。その子供をください。よく耳を傾けてください、でも仲直りいたしましょう。その子供をください。でもその子供は別の人に背負ってもらいましょう。あなたは今のままでいられます。 Chari(C): ところで私はもう子供をあげたじゃないか、あんた。 Ny: さて、その子供をください。その子供は別の人が背負います。あなたが背負うことはありません。 C: その背負うってことについても、私はべつに拒まないよ、なあ。 Ny: ではでは?
Chari(C): 私じゃないんだが。 Nyamawi(Ny): 誰なんですか? C: それは...(「ガンダ語」を喋りだす。) Ny: キリマンジャロ(chirimanjaro244)かい。そいつが、何だって?そいつが争いの主なのかい。では、そいつはどんな問題をかかえているんだ?そいつキリマンジャロは。さて、そのキリマンジャロが何を欲しがっているんだい。本だったら、もうもっている。他の問題だとしても、調えてもらえるよ。さて、今そいつは何を争っているんだい、そいつキリマンジャロは。 C: 私は争いはないよ、ええ。私があんたにドゥルマ語で話したら、あんたも理解するだろう?さて、私には欲しいものはない。仕事はもう手に入れた。布も買ってもらった。さて、私にはなんの心配もない。
Nyamawi(Ny): 争いはその布だよ、あんた。その布を買いに行ったら、問題は終わる。 Chari(C): 私には争いはないよ、あんた。ああ、私には争いはない。 Ny: じゃあ、どうしてあんたはしゃべると、ポイントを逸らそう逸らそうとするんだよ?問題の場所に降りておいでよ。 C: ええ?私がどうして何かを欲しがっていると?私は何もくれと言ってないよ。私が悪意をもってやって来たとでも?私がドゥルマ語で喋ったら、あんたたちは理解しないのかい? Ny: 理解しますよ。たとえあなたが別の言語で喋っても、私たちは理解しますよ。 C: でも私はずっと話し続けてるじゃないか。毎日話してばかり、毎日話してばかりだよ。もう二度と話しませんよ。 Murina(Mu): まずそいつに厄介を起こしているやつについて話してくれるよう、尋ねてみてください。だって話されることはすべて聞きますから。でも私の心中に、心地よいものはなにもない。
Nyamawi(Ny): ほら、今話されたのがわかるかい?あんたが話すことはすべてきちんと理解されている。でも彼は快くはない。困らせている張本人は誰なんだ? Chari(C): 私があんたをどんな風に困らせているっていうんだい? Ny: ここに子供がやって来ないようにと困らせている奴は、どいつなんだ? C: 子供たちはいなくなってしまったんだよ、だろ? Ny: 何のせいでいなくなってしまったんだい? C: 食べられていなくなっちゃたんだよ。 Ny: 子供たちは食べ尽くされたのかい?で今私たちは、いまだに乞い願っているだが、それについては、あんたは何を言いますか? Murina(Mu): その食べている奴は誰だ?もしかして、ここでも見た野生の大猫(憑依霊のこと)だろうか、ここに来た。そいつか、どうだ?もしそいつだったら、朝になったら、そいつと対決してやる。
Chari(C): そいつは遠くにいるよ。あんた。人を食らう張本人は。 Nyamawi(Ny): そいつはゴジャマ(gojama48)かい? C: もう私は言いましたよ。 Ny: もしそいつがゴジャマなんだったら、私にそう言ってくれ。朝になったらそいつと対決してやる。 C: 私はあんたらに言うよ。私はここの者ではない。私は私の家の者だ。そもそもまずもって私はワリ(wari223)は食べない。人々はワリを食べない者を見ると、こいつは病気にほとほと参っていると言う。あいつはワリを食べない、病気にうんざりしているんだ、と。私はね、バナナを食べる者なんだよ。 Ny: 私はね、そんなことを尋ねているんじゃないよ。私が尋ねているのは... C: 私じゃないって。 Ny: さあ、それなら、あの...を食べているやつは誰なのか、話してくださいよ。 C: 私はあんたらに言っているよ。あいつら、でかく鋭い爪(madzikombe)をもった奴らだよ。でかく鋭い爪をした奴らだよ。 Ny: とすると、あのゴジャマこそが、人を食らっている者、あるいは...
Chari(C): なに?ゴジャマに仲間がいないとでも? Nyamawi(Ny): それともその仲間は誰だ?その仲間はマウィヤ(mawiya46)ですか? Murina(Mu): ジネ・ツィンバ(jine tsimba246)だ! Ny: それともジネ・ツィンバ? Mu: そうだよ、あいつだ、あいつこそ鋭い爪をもった奴だ。 C: そいつは最近やって来た。 Ny: ジネ・ツィンバが? C: そう。今年で300年目だ。 Ny: なあ、あんただって生まれてからまだ100年にはならない。70年にも達してない。そもそも、でもあんたはそいつは300歳だなんていう。ところで、そいつが面倒を引き起こしている張本人なのかい? C: そいつは食ったんだよ、あんた。そいつは食ったんだよ、あんた。そいつはたくさんの子供を食べた。
Nyamawi(Ny): さてさて、じゃあ、わたしたちは論じましょう。問題を論じましょう。そのジネ・ツィンバ、あなたはそいつのピング(pingu37)は手に入れましたか? Chari(C): とんでもない。 Ny: 彼女がジネ・ツィンバのピングをもっているのを見たことがありません。私も。首の後ろ側に爪を身につけるんですが、あなたがそれを着けているのを見たことがありません。 C: 彼女は見せてもらったことがあるだけさ。 Ny: さて、では、普通、そいつはどんな争い(要求)を求めているのでしょう。そいつの争いはどんな物ですか。そいつはご馳走を欲していて、それを上々に得たいのでしょうか。 C: 昔の問題については、私は二度と話しませんよ。 Ny: 言ってくださいよ。だって私は当事者ではありませんでした。もしかしたら、あなたがそのことについて話されたのは、あなたの家でだったのでしょう。でも今や、私も、こうして当事者なんです。あなたがそれをお話しくだされば、私もしっかり理解いたします。私の心の中に上々に。そうすれば、私が調えて差し上げられるんじゃないですか。 C: なんだか寒気を感じるよ。私はもう立ち去りますよ、私は。
Nyamawi(Ny): だめだめ!立ち去らないで、立ち去らないで。太陽はすぐそこです。ジネ・ツィンバと、ゴジャマ?困らせている他の連中についても話してくださいよ、そいつらのことを知りたいのです。 Chari(C): あんたに話せと?私が叩かれたりしないかい? Ny: あんたが誰に叩かれるっていうんです? C: ここでは私独りっきりなんだよ。 Ny: 私が仲裁してあげますよ、もしあなたが叩かれるなら、私があなたを守ってあげますよ。 C: じゃあ、ジネ・ツィンバ.. Ny: ジネ・ツィンバ、それと?スディアニ導師(mwalimu sudiani30)ですか? Mwaka(Mw): それと憑依霊ペンバ人(mupemba247)。 Ny: ジネ・ツィンバが子供を嫌う奴ですね?そしてペンバ人と導師も子供を嫌う奴らなんですか?ところでペンバ人ですが、何を要求しているのですか? C: あああ、私が知るもんですか。 Ny: ああ、言ってくださいよ、あんた。ゆっくり小出しに話してくれるだけだったじゃないですか。今それらを踊ってくださるのですか248、あなた。
Chari(C): ああ、私は他人が何を好んで食べるかなんて、話せないよ。(ここからスワヒリ語)私に、そいつがやって来たらそいつにはそいつの食べ物を与えてやってくれと話せとでも、私は何を手に入れることになるのかね。 Nyamawi(Ny): (ドゥルマ語で返答)そいつが食べ物を手に入れたら、あんたにもあんたのを差し上げることになりますよ。 C: やだね。そいつらが自分で言うだろうよ。そいつら本人にそんな風に言いなさいな。 Ny: でも、ジネ・ツィンバとスディアニとペンバ人なんですね、欲しがっている奴らは。 C: (スワヒリ語で)獰猛な奴らだよ、あんた。私は鋭い爪でつかまれるのは御免だね、もう。 Ny: 彼らは爪でつかまれるのが嫌なのかい。 Murina(Mu): あいつらが本気で襲いかかるだろうって249言ってるんだよ。 C: で、あんたは彼らに何をしてやったんだい? Ny: (スワヒリ語で)ちょっと待て、私は私たちお互いで理解し合いたい。でも私はわたしたちお互いで理解し合いたい。そいつペンバ人は何を欲しがっているんだ?ペンバ人には何がいるんだ?ペンバ人は立ち去りたいのか、それとも仕事がほしいのか? C: (スワヒリ語で)ペンバ人は少し以前にやって来た。ペンバ人は少し以前にやって来た。そいつは仕事が欲しいと言った。ペンバ人は少し以前にやって来て、お盆(chano250)が欲しいと言った。そいつはご馳走(karamu251)を欲しがっている。
1587 (以下のやり取りはすべてスワヒリ語による)
Nyamawi(Ny): そいつには本(chuo252)を与えるんじゃないかい?お盆(chano)を与えるんじゃないかい?与えるんじゃないかい?ペンバ人を書いてやるんじゃないかい? Chari(C): それらは、私のじゃないよ。 Ny: あなたのじゃない。じゃ誰の? C: ペンバ人のものだよ。 Ny: 人は友だち関係253をもちあうものです。今、もしペンバ人その人なら、私たちは友だち関係をもち合いましょう。 C: (ドゥルマ語に戻す)たぶん彼は(共通の合意、共通の知識を)得たんじゃないか?私は知らんけど。得たんだと思うよ。 Ny:(スワヒリ語で)さて、私たちはその、とりわけ獰猛なペンバ人に尋ねたい。彼がなにを欲しがっているのか。彼は人を食べたいのですか? C: (ドゥルマ語で)彼は(共通の合意、知識を)得た。でも私は忘れちゃったよ。 Ny: (スワヒリ語で)私はあなたにお尋ねします。私はお互いに共通の知識をもちたいのです。ペンバ人は人を食べたいのでしょうか。彼は私のような人でも食べることができるのでしょうか。
Chari(C): (ドゥルマ語で)人を食べるってことでは、人に惚れ求めた初めからだよ。お前を求めたら、そいつはお前を手に入れるだろう。お前を求めたら、そいつはお前を手に入れるだろう。もう何年もだよ。 Nyamawi(Ny): (スワヒリ語で)でもそれは格闘(張り合い)ですよ。だって、あなた(憑依霊)は「あなたはしかじかの品を手に入れ続けますよ」と言われ、でも後で騙されたとわかる。そうじゃないですか。あなたは騙されたってことじゃ。 C: (ドゥルマ語で)さてね、だって私は他人のことは話すつもりはないよ。 Ny: (ドゥルマ語で)あなた、何を話しにいらっしゃったんですか、あなた。 C: (ドゥルマ語で)ああ、忘れちゃったよ。私はご馳走を食べるよ。 Ny: (スワヒリ語で)お聞きなさいよ。私はこれからペンバ人にこういたします。ペンバ人のために鍋(chungu40)を置いて差し上げます。そしてペンバ人をゆっくりゆっくりとお招きします。さて、ペンバ人にお会いしたら、お互いに耳を傾けあいます。ペンバ人にお盆(chano250)を食べていただきます。もしペンバ人がお盆を食べることが出来なければ、私は彼といっしょに海に参ります。あなたは私が彼と行くことに同意なさいますか? C: (ドゥルマ語で)私は、私じゃないってあんたに言ったでしょうが。あんた、もし惚れられるのがいやだったら、そこ(海)で閉め出して(ku-sindika255除霊して)しまいに行こうと?私だけが独りきりで残ることになるじゃないか。
Nyamawi(Ny): (ドゥルマ語で)私はペンバ人を閉め出しはしないでしょう、でも、互いに合意したいのです。 Chari(C): (ドゥルマ語で)そもそも、結構なことだよ。他の連中を取り除くのは、結構なことだよ。 Ny: (スワヒリ語で)他の奴らをどんどん取り除いても、ないです.... C: (スワヒリ語で)そいつら取り除いちゃいな。あんたがそいつらを取り除いてくれたら、私はたくさん財が手に入るよ。 Ny: (スワヒリ語で)あんたは私を騙したいのかい、あんた。「落ち着きなさい」だけ手に入れなさい。 C: (ドゥルマ語で)ほんの少しの飲み水さえ、ないのかい。 Ny: (スワヒリ語)それはごめんなさい。(人々にドゥルマ語で)この人に水を差し上げて、この人に水を差し上げて。 Murina(Mu): (ギリアマ語で)ローズウォーター(marashi211)がないんですよ、ご主人。 Ny: (スワヒリ語で)ローズウォーターはありません。ローズウォーターは昨日...今日は手に入りませんでした。 C: その様子じゃ、この仕事は私の仕事じゃないんだな。 (カヤンバ再開、憑依霊ディゴ人の歌2) 憑依霊ディゴ人の歌2 C: 子供を食べる連中についてお前に話してあげるよ。 Ny: あんた、もうそいつは放っておきましょう。完全に放っておきましょう、そいつは。
Murina(Mu): そうじゃなくて、まずは一休みを。 Nyamawi(Ny): そいつは放っておきましょう、(そいつが要求する品々を)手に入れて、それからそいつのために調えてやりましょう。というのもこの女性は難儀を抱えています。おまけに奴ら憑依霊、奴らは人間を食べる憑依霊たちです。この婦人を扇いでやり256ます。というのも、もしかしたら女の子を手に入れる(その結果として彼女が娘を産むかもしれない)ことになるかも、だから。そしたら、私がやって来て、色々そこで交渉(婚資の交渉)し、その女の子に私のサトウキビを耕してもらえるように。彼女は難儀を抱えています。だってあんた、農作業するのが嫌いなんだから。あんたの娘も、もし娶られたら、耕すのが嫌いでしょう。 Chari(C): 水を頂戴な。もう去ります。 Ny: この人に水をあげてください。 C: 私になにを耕せって? Ny: いえいえ。あなたのことじゃないです。あんたは耕しちゃだめ。 Zenge: 私たちは男児がほしい。男の子たちこそあなたが手に入れようとする者です。お母さん、男の子供を産んでください。ゼンゲの仲間たちは年老いました。 (04:00 頃、この弛緩した雰囲気に負けて(?)、私は再度シェルターで休憩に入り、そのまま眠ってしまう。次に目が覚めると、カヤンバはすでに終了し、人々は朝食を食べていた。) [END of tape 5]
1598 (カヤンバ演奏開始。一連のmulungu(一つを除き書き起こし省略)、mudigo1,2、shera1-5) ムルング子神の歌 憑依霊ディゴ人の歌1 憑依霊ディゴ人の歌2 シェラの歌1 シェラの歌2 シェラの歌3 シェラの歌4 シェラの歌5
Mwaka(female muganga(Mw)): 急いで、急いで、あなた。急いで、あなた。さあ行きましょう、あなた。 Nyamawi(Ny): カヤンバ、カヤンバ! カヤンバを打ちなさい! Murina(Mu): おい、男衆、カヤンバを打ちなって! Kayamba Player(不特定): あなたたちが発酵を進ませすぎた酒258は、あなたたち自身が飲むことになるってね。演奏者たちは逃げちゃったよ、もう少数しか打ち手はいない。 (Nyamawi氏、Chariにキザの薬液を浴びて、出発するよう促す) Ny: 我が子よ、(薬液を)浴びなさい。行きましょう。浴びなさい。行きましょう。こんな風に上々の状態で。 (カヤンバの演奏が切れ目なく続く中荷物を背負わせて出発する)
シェラの歌6 シェラの歌3 シェラの歌3+ シェラの歌7 シェラの歌8
Zenge(Z): ヤギだ、ヤギだ、ヤギだ。 Nyamawi(Ny): 私たちはここ池に、あなたを置きに参りました。あなたは、あなたの家にお行きください。この者を一緒に伴わないでください。この者はこの場にお置きください。あなたはあなたの家にお行きください。あなたの家にお行きください。...(以下聞き取れず) (シェラの歌8 chorus) もしも疲れたら言ってください 仲間たちを無駄に困らせないで
Nyamawi(Ny): ...行って耕しなさい...そうして杵で搗いて、臼で挽き、薪を採りに行き...二度と...はなし。...(以下、聞き取れない) Mwaka(female muganga(Mw)): よし、よし、よし、よし。解きほどいて、解きほどいて、解きほどいて。お静まりください、お静まりください、お静まりください。
(シェラの歌9 chorus) 施術師 ヘー 終わらせなさい おしゃべり(人の噂を触れ回ること)はなしにしましょう さあ、終わらせなさい おしゃべりはなしにしましょう [END of tape 6]
Nyamawi(Ny): 癒やしの術なんですよ。もし癒やしの術じゃなかったら、..もし癒やしの術じゃなかったら、あんたはそれこそひどい目にあっているところだろうね。しっかり鞭をくらうことだろうね。(カヤンバ奏者たちに)あなた方、もし癒やしの術の仕事をするのなら、そう、そこから収入を得なくても良いみたいなやり方ではだめですよ。あちらに行くのは、まだ大仕事です。やるなら、しっかりおやりなさい。あなた方、ぐったりですか? Kayamba Player(不特定KP): 俺たち、もうぐったりだよ。
(ヤギをチャリの身体にこすりつけながら、唱えごと)
Mwaka(Mw): 頭痛はなし、なし。めまいもなし。背中の痛みもなし。胸の苦痛もなし。腕の痛みもなし。脚の痛みもなし。解きほどけ、解きほどけ。 Ny: ここ背中の痛み、ここから去りますように。ここを去りますように、背中。女性は薪の束(を頭に載せて運ぶもの)。女性は水の入った容器(を運ぶもの)。女性は杵で搗き、臼で挽く。それでこそ女性。ここ背中の痛み、ここより去れ。怠惰な娘は、なし。なぜなら私は他人の婚資を食べてしまったからだ259。もしお前が怠惰なら、私の仕事は鞭だ。怠惰は、なし。さあ、行って耕せ。行って耕せ。
Nyamawi(Ny): でも、この人を傍らに...(荷物を)下ろしてあげて。このバケツの水は、彼が浴びるのかな。 Mwaka(Mw): そう、浴びます。 Ny: さあ、お母さん(Mwaka)、持って行って。下ろしておいて。 Murina(Mu): まだこの(バケツの水)使い切ってないですよ、ここの。 ..........interval.......... Ny: 水がこぼれるね。なあ、もしあんたが水をこぼしたら、あんたは「女じゃない」って言われること、心得ておきなさい。もし水をこぼしたらね。 Mw: あんたね、もしその水をこぼしたら、そう、「あんたは全く女じゃない、少しも」って言われちゃうよ。ここで。
Ny: この水の容器をもっていって、私の娘(チャリ)(の荷物を)下ろしてあげて。さあ、もっていって下ろしてあげて。あの水を下ろしてやるんだよ。持って行って、この容器を。来て、持って行って。
Mu: さあ、薪を集めに行こう。薪を集めに行こう。(屋敷に)戻ったら、粉も挽かないとね。
Nyamawi(Ny): どれでもいいから伐って。伐って、伐って。 Mwaka(Mw): 伐ってって言ってんだよ。伐っちゃえばいいだけ。 Kayamba Player(不特定KP): あんたらご婦人たち。唱和するのも嫌なのかい。ご婦人たち疲れ切ってるよ。じゃあ、もういいよ。 Ny: ここで伐って、ここで伐って。伐りなさいよ、もう。伐りなさい。 Mw: 伐ってしまって、家に行きましょう。 Ny: この山刀はだめだね。切れない。 Chari(C): (ディゴ語で)私は伐ってるってば。でも伐ることができないわ。
(憑依霊ディゴ人の歌?) (chorus)
あなた方の仲間、ウェー、苦しんでいます、施術師たちを困らせる ムルングはすべてご存知 ムルングには難儀がある ムルングはすべてご存知 (この曲が演奏される中、チャリは屋敷に向かってゆっくり歩き始める)
Nyamawi(Ny): 皆さんもう進んでますよ。 Kayamba Player(不特定): 俺のカヤンバは? Ny: ほら、あんたのカヤンバ。 Mwaka(Mw): 一列にお進みくださいな。あの人、あの人が先頭で。演奏しながら進みなさいな。
Ny: カヤンバは小屋の中で。カヤンバは小屋の中で。震えてないで。さあ、大音量で。 Mw: 小屋の中で、小屋の中で。 Kayamba Player(不特定1): そして牛乳をおかずにワリ(wari223)! Kayamba Player(不特定2): でもシマ(=ワリ)は、ただのキリャンゴナ(chiryangona260)でしょ。 Murina(Mu): さっさとカヤンバ打ちなさいよ、ってば。 Kayamba Players: ♪カヤンバは痛めつける、何を痛めつけるの? 指を痛めつける♪(カヤンバの曲に合わせながら替え歌を歌っている) [End of the tape 7]
1611 憑依霊の草木をつかむ試練(mutsanzoni261)
Murina(Mu): ところで、病人(mukongo=muwele165)は、憑依霊によって(その草木を)教えてもらうんだよね。いつもはあなたが草木を教えていたの? Nyamawi(Ny): 普通は、教えたりしてないよ。 Mu: (病人は)(霊で)一杯に満たされている。酩酊している。あなたは教えたりしない。 Man(不特定1): ところで、あの一つ(の草木)(その霊にとっていちばん大切な草木[^muhi wa mwisho])は彼女が自分自身で行って見つけるのですか、それとも? Mu: 一番(の草木)のことだね。一番に、クハツァ164してあげるやつ。あなたが来て、彼女に草木を示してやらないとね。 Man(不特定2): ねえ、あの人にヤシ酒を瓶に注いでおくように、言っておいてください。それとも彼はヤシ酒で教えないのですか? Ny: 草木をかい? Man(不特定2): はい。 Ny: ヤシ酒で教えないなんてことが、どうして? Man(不特定2): じゃあ、ンデグヮにきちんとするように言っておいてください。 Ny: でも、彼はいつ踊ったというんだ?まずは先に進んでリードする者じゃないと。
Man(不特定1): 彼は、自分でクハツァしたがっているんです、彼。 Man(不特定2): 遅れちゃうよ。ほら、ヤシ酒。ヤシ酒のための瓶ですよ、チョンジョロさん。ほぼヤシ酒1リットルです。いっぱいに入れてください。私たちはあちらムツァンゾーニ(mutsanzoni261)に向かいます。あなた方、文句がおありですが、まあひとまずそのままにしましょう。 Man(不特定3): それでいいですよ。まず彼女に揺れて(ゴロモクァして)もらいましょう。 Man(不特定1): 彼女、今すぐにでも揺れるよ。 Nyamawi(Ny): あいつ(ジンジャ導師)には立ち去るように言ってくれよ。私は言ったんだけど、そいつとは喧嘩になっちゃうんだよ。そいつには立ち去ってもらおう。そいつがいると、必ず私たちは喧嘩になる。 Man(不特定1): ところでこれ(ビーズ飾りのための、ビーズを通す紐)、きつく縛り過ぎないように。彼女が水を被ったら、それはもうめちゃくちゃきつくなる。 Ny: だめだめ。解けばいいよ。そもそも縛らないほうがいい。 Man(不特定1): だって、行った先で、水をかぶったら、その紐がアキレス腱のあたりを締め付けて、彼女はびっこをひくことになるよ。
Man(不特定2): まだ終わっていないビーズ飾りがある。制作者の方々、どうしてビーズがまだ余ってるんですか。 Man(不特定3): どれの話ですか? Man(不特定1): あれです。どうしてまだたどり着いてないんですか? Nyamawi(Ny): そこのそいつなら、もう一度きちんと作り直しますよ。 Man(不特定3): ああ、さて、要するに(完成しているものは)身につける(結びつける)。身に付けなかったものは、つまり置いておくと。後日、結びつけに来ると。この結びつけるときに、増やす。今は置いておくと。 Man(不特定2): で、被り物キシング(chisingu263)は彼女はすでにもっている? Man(不特定1): 昔からもっている彼女自身のものだよ。キシングは制作しませんでした。イキリク(ichiliku74)のキシングは制作しませんでした。さてさて、皆さん、歌いましょうよ。どの憑依霊の歌ですか? Woman(不特定): 蜂蜜の奴だそうだよ264。
Murina(Mu): 私が歌に熟練していたら、休まずに歌うだろうね。 Man(不特定4): この人、嘘ばっかり。歌に熟練していたら、休まずに歌うだろうだってさ。歌のための口をもっている者には、歌ってもらえばいいだけのこと。でもあの連中は、(歌い)やめちゃったね。あんたたち、あっちでなにをしているのですか。 Man(不特定1): どいつらのこと?ムルングのせいだろ(たまたまだろ)。 Man(不特定3): ああ、あいつらヤギの皮を剥いでるガキどものことだろ。 Nyamawi(Ny): ガキどもは、腸を取り出してるだけ。それと肝臓ね。小鍋(chisufuria265)を渡して、彼らに炒めさせよう。(食事が用意されるまで)ここで彼らは待たせておこう。 Man(不特定2): 腸は女たちに渡すようおっしゃってなかったですか。あなたがた。私はもうグェグェ(カヤンバを演奏する様)しません。休みます。私はあちらでカヤンバを打ちましたから。 (カヤンバ演奏開始) ムルング子神の歌1 ziyani mwanamulungu wee, ziyani mayoo.... ムルング子神の歌8 Nende kpwa mayo, nikalole anangu asena....
Nyamawi(Ny): さあ、あんた、日が暮れちゃうよ。急いで、あんた、急いで、あんた。 ムルング子神の歌5 kunalia ngoma ko ziyani, kuna mwana nyoka yunapiga hodi.... ムルング子神の歌11(参考) vunzarere, vunzarere, kuna nyoka mubomu... (チャリを先頭に出発。その後ろに二人の施術師が瓢箪を手にして続く)
1489 (ムルング子神(mwanamulungu97)1 ku-suka) (solo)
ムルング子神、我が子、お母さん 池に雨がやって来た 私はあなたを畏れます、お母さん 池にビーズ飾り(marero101)があります (solo 以上を数回リピート) (chorus 以上を数回リピート) (solo) 池にムルング子神、ウェー、池にお母さん お母さんに「お静かに(pore266)」と言われました、ウェー 癒やしの術の池に踏み込んでおいでと 皆さまおだやかに、ヴリ(vuri267)の雨が落ちて 私の身体を痛めつけました、ウェー 池にムルング子神 カンエンガヤツリ(mukangaga103)が池に蔓延っています (solo この部分を数回リピート) (chorus) 池にムルング子神、ウェー、池にお母さん お母さんに「お静かに(pore266)」と言われました、ウェー 癒やしの術の池に踏み込んでおいでと (chorus 以上を数回リピート) (soloに戻る)
1490 (ムルング子神2)
さあ行きましょう、さあ行きましょう、ねえ ムルング子神、その人、エエエ
(ここまで複数回繰り返し。繰り返しには歌い手によるアドリブ的変化がつけられることもある。 例えば
急いで、急いで ムルング子神、さあ行きましょう、ウェー)
私は大きな森と呼ばれています そう、チェチェムの池(主がいる) 主のいる池は、足を踏み入れられません 足を踏み入れるのは施術師 さあ行きましょう、さあ行きましょう、ねえ ムルング子神、さあ行きましょう、ウェー 池に足を踏み入れに
1491 (ムルング子神3)
ホー、目覚めなさい、長い髪の皆さま 目覚めなさい、長い髪の皆さま 皆さま方、もし眠ったら、お目覚めなさい 眠りすぎてはだめです あなた方は癒やしの術に慣れている お母さん、お目覚めなさい、ムルング、おだやかに
1492 (ムルング子神4 ku-tsanganya) (solo)
ホワー、ムルング子神、お母さん ムルング子神 アー、ホヤ、お母さん、私の癒やし手 お母さん、ムルング子神、アー、ホヤ 私の癒やし手 (chorus) お母さん、ムルング子神、ホヤ 私の癒やし手
1493 (ムルング子神5) (solo)
池で太鼓が鳴っている 太鼓が鳴っている (以上2回繰り返し) 子供のヘビがいて、入って良いか求めている(ku-piga hodi269)270 池で太鼓が鳴っている (chorus) 子供のヘビがいて、入って良いか求めている 池で太鼓が鳴っている
1494 (ムルング子神6)
お母さん、ムルング子神 いじめられたわ、あなたお母さん いじめられたわ、あなたお母さん 私はムルングに祈ります いじめられたわ、お母さん、 私は子供を乞うています 私はムルングに祈ります
1495 (ムルング子神7)
今、蝿追いハタキ、お母さん 私の蝿追いハタキ、私はひどい仕打ちを受けました、ホワー 私の蝿追いハタキ 蝿追いハタキが欲しいわ、私の施術師の皆さん 施術師の蝿追いハタキが欲しいわ 大きな歌声
1496 (ムルング子神8)
ホー 私の子供たちに会いに行かせて、ムァチェ(Mwache272地名) 私はどうしたらいいの 子供たちに会いに行かせて 子供たちに会いに行かせて、ムァチェ 子供たちに会いに行かせて
1597ほぼ同じ (ムルング子神8)
ムァチェ、私の子供たちに会いに行かせて 皆さん、私はどうしたらいいの 子供たちに会いに行かせて 子供たちに会いに行かせて、ムァチェ 子供たちに会いに行かせて
1497 (ムルング子神9 ku-bit'a)
ムルング子神 私の子供たち、池を打ちなさい(274) 食べたら、思い出したら、思い出して 池を打ちなさい
1499 (憑依霊アラブ人の歌) (アラブ人1 kusuka)
ヨー、ヨー、ご傾聴ください エエ、匠の皆さん、ご傾聴ください 癒やし手の皆さん、ご傾聴ください 私は祈ります、祖霊に そして慈悲深いムルングに エエ、癒やし手の皆さん、ご傾聴ください
あなたは心を刺激した(怒らせた) あなたは私の心を刺激した(怒らせた) 私は困難に食べられています あなたは私の心を刺激した(怒らせた)
エエエ、お母さん、私は池からやって来ました 施術では太鼓が、ウェー 私の行き先は、池です
1500 (キツィンバカジの歌)
(キツィンバカジ1) (独唱)
私はランギ(rangi275)についていくわ。私はお仕事がある。ウェー、ムイェムイェ276 私にはお仕事がいっぱい 行って大きな池に足を踏み入れなくちゃ、神さま!ウェー、ムイェムイェ 私にはお仕事がいっぱい (コーラス) 私はランギについていきます、さあランギよ、お母さん 私にはお仕事がいっぱい、ヘー、ムイェムイェ 行って大きな池に足を踏み入れなくちゃ、ヘー、ムイェムイェ 私にはお仕事がいっぱい
キツィンバカジ、ヘー、ホー お母さん、ヘー 私は慣れています 道をとき解いて、私を通して ムルング子神のキツィンバカジ 私は何に食べられているの、ヘー、ウェーお母さん、ウェー我が子よ 道をとき解いて、私を通して
1501 (憑依霊サンバラ人(musambala113)の歌)
サンバラ、エエ、行きましょう、ウェー、私はサンバラに呼ばれています、ウェー あなたは癒やしの術を馬鹿にした 私は、お母さん、サンバラに呼ばれています、ウェー 癒やしの術を私は手放します、エー もし重荷(muzigo)なら、ディゴ人たち(adigo)といっしょに、あなたは立ち去るでしょう でもドゥルマ人(muduruma)はドゥル人たち(aduru)と立ち去るでしょう サンバラ人、なんで泣いているの サンバラの施術師は、ウェー 癒やしの術をバカにしてはなりません
施術師サンバラ、ヘー 私の蝿追いハタキは難儀です、ヘー ディゴ風の癒やしの術 癒やしの術を私は手放します お母さん、喧嘩 ハーハー、ホーウェー 私の蝿追いハタキは難儀です、ヘー ゴシップ好き(umbeya277)の癒やしの術 ディゴ風の癒やしの術は難儀です、ヘー 癒やしの術を私は手放します
1514 (サンズア(sanzua115)の歌) (solo, 繰り返す都度、微妙な変化を加える)
ハー ウェー 手立ては尽くした 我が子、男の子、ホーウェ ホーウェ、姉妹よ、手立てをどこに見出せばいいのだろうか 男の子、ホーワ (chorus) ハー ウェー 手立ては尽くした 我が子、男の子、ホーウェ ホーウェ、姉妹よ、手立てをどこに見出せばいいのだろうか 男の子、ホーワ
ションゴリオ、ションゴリオ ムクヮビ、エー、私は歌う 嗅ぎタバコでは、子供は養えない(3度繰り返し) 擦って粉にした嗅ぎタバコ 鼻で味わう嗅ぎタバコ 嗅ぎタバコ、ホー、ホー、ホワ 嗅ぎたばこでは、子供は養えない 縄を持っている ウシ、ウシ、眠る ハゲワシ、ウシのただ肉を食う、お母さん 私は驚いた 蝿追いハタキを握って、(嗅ぎタバコを)嗅いだ
1行目から7行目までソロと合唱で何度も繰り返し、その後8行目以下も同様に繰り返す。録音サンプルは1行目から7行目まで。
1516 (クヮビ人の歌2) (solo)
なんてこと、事件がある、ウェー さあ、争いは事件だよ、あなた さあ、ムァナジュマ(人名) カセジャ旦那、出来心(気の迷い)だよ、ウェー ホーワ、カセジャ旦那 本人は嫌い (chorus) 昨日、カセジャ旦那の評判を聞きました 出来心だよ、ウェー、ホーワ、カセジャ旦那 本人は嫌い
1517 (クヮビ人の歌3)
あなたお母さん ムルングには事件がある ハー 言われたの、行くようにって、ヘー 言われたの、行くように、あなたお祖母ちゃん、エー、カドゥンガタ(kadungata278) カドゥンガタ ベコザさんの屋敷にね カドゥンガタ
お母さん、私は尋ねます、あなたお母さん 私のガラ人の布
ゴジャマ、あなたこそ砦の主 お母さん、ゴジャマは荒蕪地(nyika279)の憑依霊よ 私は殺された 何に食べられたの、お父さんは? ゴジャマは荒蕪地の憑依霊
1520 (ゴジャマ2)
ゴジャマ導師、あなた、どうしたの? おいで、荷物をもって 荒蕪地へお行きなさい
1521 (ジネ・ツィンバ(jine tsimba246)の歌)
あなたは肉を食べる、お母さん 翼をもったライオン そいつは肉を食べる 翼をもったライオン、ウェー そいつは肉を食べる
私の池、私の池 私の池 私の名前はムヮクララ 私の池 惨めな人、お母さん
プンガヘワの不平の声、婚資が尽きた いいわ、我が子よ、槍と盾をとりなさい 私は、嫁探し、髪ぼうぼうの子に会いに来た さあ、ホーワ、婚資が尽きた いまは肩を上下に揺すって踊りなさい コロブス猿の毛皮を激しく揺らして踊りなさい スカート(karinda)を揺らして踊りなさい 運の悪い子供 コロブス猿の毛皮(mbega280)を揺らして踊りなさい スカートを揺らして踊りなさい
参考: プンガヘワの歌(DB5241) (solo)
プンガヘワ、私は婚資が尽きました、きょうだいよ(mwenehu225)、あなた 何の不平、ウェー 私は嫁探し、髪ぼうぼうの子に会いに来た ハランベー(harambee281)、お母さん、バラワ人子神 槍と盾を握りなさい スカート(karinda219)ごとに、コロブス猿の毛皮を激しく揺らして踊れ (chorus) きょうだいよ、プンガヘワの不平 お母さんの子供 そんな状態よ ウェー いつも長旅 ウェー ハランベー、お母さん、バラワ人子神 槍と盾を握りなさい スカート(karinda)ごとに、コロブス猿の毛皮を激しく揺らして踊れ
1524 (プンガヘワの歌2)
子供はあなた 雨を逃げてきた ギリアマの土地は貧しいわ、お母さん 仲間の皆さん、ムルング あなたは罪深いわ ごらん、ギリアマの土地は罪深いわ
1525 (プンガヘワの歌3)
嫉妬と太鼓は同じもの 嫉妬と太鼓は同じもの 私の美人妻は釣られているよ、あんた 嫉妬と太鼓 コロブス猿の毛皮を揺すって踊れ コロブス猿の毛皮を揺すって踊れ 肩を揺すって踊れ、あんた 我が子が食べられている コロブス猿の毛皮を揺すって踊るだけ お父さん、ハッカ飴、お父さん、ハッカ飴(peremende282) お母さん、あんたの物言いは喧嘩だよ お父さん、ハッカ飴
1530 (ジャバレ導師(mwalimu jabale132)の歌1)
入っていいですか、ジャバレ導師、入っていいですか、エー 入っていいですか、ジャバレ導師、入っていいですか 私を呼ぶのは誰じゃ 扉を開けるのは、わしじゃ ジャバレ王、ジャバレの子供 今日は導師 おいでください、主よ、サルタンよ
1532 (ジャバレ導師の歌2(憑依霊バラワ人か?))
ホー、私は食べられている、ウェー スルタンがいる、エー ホーワ、スルタンがいる ムバラワ導師です(mubarawa283)
1533 (ジャバレ導師の歌3)
尖らせろ、尖らせろ、アラブ人 尖らせろ、匠、ジャバレ
1534 (ジンジャ導師114の歌) (ジンジャ導師の歌1)
私は憑依霊を扇ぎます、ジンジャ導師です 我が子ジンジャは癒やし手です 我が子ジンジャは癒やし手です 私は海岸部にもいる、そして内陸部にもいる だが、今はここにいる 私自身、仕事をする 我が子ジンジャは癒やし手 今日、私に蝿追いハタキをください 私が祈れるように(or 妖術使いを捕らえるように118)
私はどうすればいいの? 未だに惨めで 難儀している、エエ 私は私の癒やしの術を乞い祈る、ウェー 私は惨め、お母さん、私は惨め、お母さん 眠っては、ムルングに祈ります 癒やしの術、私はどうすればいいの? 施術師は惨めで 私は難儀 私は私のムルングに祈ります、ウェー
喧嘩だよ、カリマンジャロ 喧嘩だよ、カリマンジャロ 私は母のもとに呼ばれた、私の棲み処は遠い 私は内陸部にもいる、海岸部にもいる、ウェー 喧嘩だよ、カリマンジャロ
やつらは放牧している、いったいどんな放牧をしてるんだ あのウシどもは なんと熟し始めたばかりのトウモロコシの実を食べやがった
1539 (ムリサ(放牧者)の歌2)
ムリサはお父さん ムリサ、ヤギとウシだよ ムヮムヴオ(mwamvuo285)だよ さあ、ムリサ ヤギとウシだよ、さあ
1540 (ムリサ(放牧者)の歌3)
あの子に野草のおかずをおあげなさい あの子に野草のおかずをおあげなさい 私のムリサは空腹でつらい あの子に野草のおかずをおあげなさい
1541 (同定できない憑依霊の歌1) (solo)
そして食べられる、私はひどい扱いを受けた おしゃべり噂話 ホー おしゃべり、ヘー おしゃべり お母さんは何をしないといけないの 噂話のおしゃべりを咀嚼するの、ホーワ (chorus) コロブス猿の毛皮を激しく揺すって踊れ あんたどうしたの、ムウェレ(muwele165)、さあ、何なの、兄弟 ホーワ、知らなかったわ、ホーワ
1542 (同定できない憑依霊の歌2) (solo)
私はいい女(chibamba286)マリアムを手に入れた 私の妻、いい女 (以下、聞き取れない) (chorus) なんてこと、(カヤンバか、鉄板を棒で擦る楽器 bambaが)寝ちゃった(音が出ない)、ウェー 打ってるのに、寝てる 子供のヘビがいる
お母さん、私たちは(コーランの)学校を守っています(警備している) バラワ人(mubarawa283)は帰ってゆく ムァンガ(mwanga52)の不平の声、私はやって来た 私は学校を守ります お父さんに言いつけられました。行ってウシの数を数えろと。 お母さんに言いつけられました。行って学校のために(木を)切れと そしてお父さんは切られませんでした、学校 お母さんに呼ばれました、ウェー 行って、アウトリガー付きの船にたまった水を飲んできなさいと
1544 (同定できない憑依霊の歌3)
...(聞き取れない)... 憑依霊は荒蕪地に戻る、変形された耳(maranza288)とともに ...(聞き取れない)... 歌を見にいらっしゃい その人に歌を差し上げて、ホー、本人に差し上げて 兄弟のいる方に、差し上げて お母さん、苦しいわ(痛いわ)、カヤンバを打っていただきたいわ
1545 (同定できない憑依霊の歌4)
難題を(議論を)ふっかけられました、ウェー 難題を(議論を)ふっかけられました、ウェー 難題を(議論を)ふっかけられました、私を見に来て 難題を(議論を)ふっかけられました、ウェー ...(以下、聞き取れない)
1546 (同定できない憑依霊の歌5) (solo)
見に行きます、見に行きます 皆さん癒やし手たちの業をごらんなさい お母さんはウシで娶られました 私は誰に娶られるでしょう? お母さん (chorus) お母さん、彼女は泣いている、なんと デデデ なんと デデデ 私は治療してもらえません
1547 (憑依霊ドゥルマ人の歌1:カルメンガラ(kalumeng'ala129)
お母さん、私はカルメンガラと呼ばれています 災難に巻き込まれてしまいました、私はカルメンガラと呼ばれています 外の問題も知っています 内の問題も知っています お母さん、私の名前はカルメンガラです もしお前が男なら、いらっしゃい289
1548 (憑依霊ドゥルマ人の歌2)
私の家は遠い、お母さん ムルングは私に慣れています ちょっと待って、お母さん、あなたに私のつつがなきことを報告します 私の家は遠い お母さん、私は家に行きます。私の家は遠い
1549 (憑依霊ドゥルマ人の歌3) (solo)
カヤンバを打って、私には聞こえます そう、ドゥルマ人は荒蕪地の住人 子供は何に泣いてるの 私の仲間よ、なんとまあ(嘆き悲しむさま、泣き声) 施術師よ、私にカヤンバを見に行かせて (chorus) 子供は何に泣いてるの 私の仲間よ、お祖母ちゃんに会いに行かせて 私の子供たちはどう娶られていくの お母さん、どうして悲しいの 子供は一人、あなたは私を当惑させた、エー 私は口をききません、お母さん
1550 (憑依霊ドゥルマ人の歌4)
私はお父さんとお母さんを捨てません 私はお父さんとお母さんを捨てません 嫁いでいく仕事はよくわかっています 私はお父さんとお母さんを捨てません
デナ・ムカンベ(dena mukambe290)エー、目撃された... (以下、聞き取れない)
1552 (デナの歌2)
運べ、運べ(somba296)、すでに始まった お母さんはデナをもっていきます 私のはコロブス猿の毛皮 今は私は丸太をもっていきます
1553 (デナの歌3) (solo)
もしもウシをもっていたら ウシの脚を叩いて 乳を飲み損なうのに (以上、2回繰り返し) カンベ(kambe)とギリアマ(Jiryama)を私はあてもなくさまよった (chorus) 触れて、触れて、お父さん、私の心に、触れて、触れて 私には私の挨拶がある 私には私の挨拶がある 私は困難を食べています
1554 (デナの歌4)
(彼or彼女は)ウシを食べない なんてこと、私はウシを食べに行く デナ・ムカンベ(dena mukambe290) 私はデナの布が欲しい、ヘー お母さん、私はデナとムカンベに食べられる
1561 (デナの歌5)
さあ、行きましょう、エー、我が子よ 憂いは捨てて(bwaga moyo297)、デナ・ムカンベ ヘー、憂いは捨てて
1562 (デナの歌6)
お母さん、よく調べてね、ウェー、人間ってのは 良い人にだって欠点はかならずある 荒蕪地(nyika279)では人は何を食べてるのかしら ギリアマ人はトンボ(ngaga298)と睡蓮を食べる 惨めよ、お母さん、惨めよ、お母さん あなた方の心臓は紅茶で焼けた 荒蕪地では何が食べられているの トンボと睡蓮が食べられています
1563 (憑依霊ディゴ人の歌1)
私は襲われた(憑依霊に)299、私は襲われた、ひどい目にあった コロブス猿の子供、私はここにいた なんと病人は燃えたら治療される なんと病人は燃えたら治療される 私は癒やしの術の祖霊に祈る 私が癒やしの術の祖霊に祈ったら 私はなんと襲われたのよ、お母さん、なんと襲われたのよ 病人は帰って治療してもらう
1591 (憑依霊ディゴ人の歌2)
なんてこと、あなた、しまり屋ね、なんてこと 私は池には行きません、お母さん 私は不具(kadua(fr. dua300, ka+は指小辞)) 目覚めなさい まだ目が覚めません あちこち彷徨 私はあなたに先回りします 私は荒蕪地の道を彷徨します 目覚めなさい まだ目が覚めません
1606 (憑依霊ディゴ人の歌3)
ディゴ人は輝いています301、ウェー ディゴ人は輝いています、ウェー エー、髪長女 なんてこと、アヘー、我が子らよ 私はあなたたちに癒やしの術を見せにやって来ました
1608 (憑依霊ディゴ人の歌4)
挨拶します、どうかお元気で お母さんにも伝えてね、ムワカさん、ウェー もしあなたがお元気なら、どうしますか どうしますか、ムワカさん、ウェー もしあなたが貧乏だったら、どうしますか
ハヤー エー 瓢箪 ホーウェー お母さん ウェー 睡蓮を増やして お母さん 瓢箪 私に上々の癒やしの術を買わせて
ニャリ、ハー、ホワー、ヘー、ニャリ ウシが鳴いている、ハー、ホワー ウシが鳴いている、ハー、ホワー 去勢牛が描かれた(ku-chorwa302) ニャリが描かれた ウシが鳴いている
1565 (ニャリの歌2)
ニャリは自分を捻じ曲げた 押さえつけろ、ニャリを ニャリを押さえつけろ ニャリは威張っている ニャリを押さえつけろ 押さえつけろ
1566 (ムヮヴィツワ(mwavitswa143)の歌1)
エー、お母さん、ムヮヴィツワ、エー 私が行くところは、当てもなくうろつきまわる場所 ...(以下、聞き取れない)
1567 (ムヮヴィツワの歌2) (solo)
あなたはやたらそわそわ、落ち着きがない 小さい子(年少者)よ、 私は騙されていました 私は癒やしの術のことは知りません 私は騙されました ムボゼ(女性の人名)は粉を挽く ムボゼよ、エー、ムラム(兄弟の配偶者の姉妹) ムボゼ (chorus) なんてこと、私はお母さんに尋ねます ムボゼよ、ムラム、ムボゼ
ネッタイハジロ、ネッタイハジロ303 ムカンガ(mukanga304)の池 今日、ルキが目撃されました ホーウェ、皆さん唸りましょう 癒やしの術の 仲間の皆さん、ムカンガ
1581 (ルキの歌2)
言い争い好き305 あなた方の仲間なら知ってるわ306 お母さんのムコバ(mukoba82)を着て(vala307) 私を背負って ...(以下、聞き取れない)
落ち着いてよ、落ち着いてよ ねえ、あなた方は私を貶めている、ホーワ 落ち着いてよ、ねえ 何に食べられてるの ホー
1583 (ムビリキモの歌2)
このカヤンバ、グランゼ(地名)からの 妻は騙されたよ、お母さん このカヤンバ、このカヤンバ なんとムビリキモ(mbilichimo69)がいる 私を心配させる ちょっと待て、店に行ってアラブ人の香料を買ってこよう ムビリキモの香料 私に不安を注ぎ込む お母さんの所に行かせてちょうだい、友よ 美しい女は騙されたよ、デデ(dede308)、このカヤンバ (chorus) お母さん、私は尋ねます。カヤンバどうやったらいいの? あなた騙されたのね、婚資はウシ カヤンバを誰にやってもらうのかしら
1584 (ムビリキモの歌3)
遠いよ 私は呼ばれています 遠いよ ムァルブァンバ(地名)は遠いよ そう、太陽がでているときには、道のりは 遠く感じるよ
そしてシェラ、人々はそれに触った、池で、そうね 私は、お母さま、あなたマレラ(marera203)に呼ばれました 降りてきて、あなたお母さま、池のお母さま 薬液の(草木)を採取して、薬液(の草木)を採取して 私に探してきて、ムヴモ(muvumo309)とムンダチ(mundachi310)を 大きな池 ウェー、施術の そして池にはウシがいる 私は、シェラ・モヨ311に呼ばれました。降りてきてください、頭(chitswa)と心臓(moyo)をつかまないでください さて、お母さま方、あなた方がそこからおいでになった場所は遠いです、ウェー 遠いです、お母さま、そうね 私を池に踏み入れさせて 私の仲間たちはシェラをもっています 私の仲間たちはシェラをもっています あなたの香料の瓶は14本 他の瓶はフュラモヨ(fyulamoyo312)の瓶です 私はあなた方を仲直りさせます、皆さん、頭と背中の真ん中(moyo wa nyuma)をつかまないでください
1593 (シェラの歌2)
どうです お母さんマレラ、行きましょう 私は心臓をつかみます イキリク父さんを待ちましょう 私は車で参ります
1594 (シェラの歌3) (solo)
ちょっと待って、私はさまよい歩いてきます 寄る辺ない(weche313)、シェラはまだ人に知られていません 寄る辺ない、シェラはまだ人に知られていません シェラは私に、腹(の病気)と身体の震えをもたらしました シェラってなに? 私を石女にしました (chorus) ハアア、オオオ、オオオ、お母さん 私はまだここにいて、あなたのお父さんを待ってます 私を扇いでもらいたいの ホー お母さん 私はまだここにいます 私はお母さんを池で待ってます
1595 (シェラの歌4) (solo)
彼女の姿が見えない 見えない お母さんの姿が見えない、姿が見えないわ、お母さん そうなの 姿が見えない 池には気狂い女の姿はない (chorus) お母さんの姿が見えないの、そう 池には彼女の姿はない 頭をつかんだのはお前だね 鼻をつかんだのはお前だね 脚をつかんだのはお前だね 池には彼女の姿はない
1596 (シェラの歌5)
お母さん、あなたは誰に調えてもらえるのですか 調えてもらえます、惨めな人(貧しい人)に 調えてもらえます、惨めな人に 施術師よ、コロブス猿の毛皮をはずせ 編み袋(mukoba82)を運べ ンゴマを池でだ、そうだ ホーワ、あなたは惨めな人に調えてもらいます
1599 (シェラの歌6) (solo)
お気の毒に 兄弟よ エエ お気の毒に 兄弟よ ええ 死はお金で避けたりはできません お気の毒に あなた 施術師を困らせないでね
1600 (シェラの歌3+) (solo)
ちょっと待って、私はさまよい歩いてきます 息子の嫁は男の所に行くでしょう 見ていない者を見に (chorus) ホー ホーワ 我が子を知ろうとやって来ました ハー ホーワ
1601 (シェラの歌7)
シェラの姿は見えません シェラの姿は見えません タンガ(地名、タンザニア海岸部の町)への道 癒やしの術を尋ねます シェラは目撃されました
1602 (シェラの歌8)
お母さん、私はここにやって来ました 池にはビーズ飾りがあります 闘いです お父さん、私は去ります ここ池には病人がいます (chorus) もしも疲れたら言ってください 仲間たちを無駄に困らせないで
1604 (シェラの歌9) (solo)
その婦人はどうです 私に子供をください あなたは泣くのに慣れてしまった ヘー 子供を生みなさい 私に子供をください 仕事といえば、おしゃべりです (chorus) 施術師 ヘー 終わらせなさい おしゃべり(人の噂を触れ回ること)は、なしにしましょう さあ、終わらせなさい おしゃべりは、なしにしましょう
6010 (ヤマアラシの歌) (ku-tsanganya)
施術師は逃げ出した 子供は今日、さまよい歩いている ウェー 施術師、そのとおり ヤマアラシ ウェー ヘー ヤマアラシ ウェー お母さん 施術師は逃げ出した 子供はさまよい歩いている ヤマアラシ うぇー 施術師 そのとおり
彼女の「月のカヤンバ」に続いて、チャリ自身が主人公(muwele)となる2度目のカヤンバの経験だったが、どちらにおいてもチャリがもっているジンジャ導師(mwalimu jinja114)が、カヤンバの流れもなにも無視して躍り出て、場をかき乱して大騒ぎになる。カヤンバを主宰するニャマウィ氏が最後(シェラの草木を折り取るテスト)には、もしジンジャが出てきたら、立ち去らせて欲しい、あいつが出てくると喧嘩になってしまうから、とまで言ったほどである。困ったやつだ。面白いけど。
チャリとムリナの夫妻とはまだ知り合って1ヶ月足らずなのだが、この2回のカヤンバのおかげで、二人の家庭が抱えている問題までいきなり共有する(憑依霊と人々とのやり取りを通じてだが)ことになった。徹夜のカヤンバの和訳に付した、説明でも述べたとおり。
しかし、ここでは今回のカヤンバでの、施術師ニャマウィ氏(およびムワカ氏?)の、いささか型破りな施術方法について考えてみたい。
徹夜のカヤンバを含む丸2日がかりの施術が終わった2日後、チャリとムリナの訪問を受けた。私たちの会話は、一昨日のムァモコでの施術についての反省会となった。録音の用意が出来ていなかったので以下はフィールドノートのメモ。
ndonga には本来、ムリナとチャリが自ら muhi を入れねばならない(夫婦二人で)。しかし当日は Nyamawi たち自身が入れてしまった。ムリナたちは帰宅してから ndonga の中身を捨てて、自分たちで入れなおした。その後 matumia314 を取り除いた。
瓢箪の中に最初に入れるべき最も大切なものは、瓢箪子供の「心臟」である。これは憑依霊の草木(今回の場合は、ライカ、シェラ、ディゴ人)のうち最も主要な草木2種類の根を削って作った木片(pande34)を指している。ここで muhi として言及されているのはこれ。
現地の muganga は ndonga に shera の赤い鶏の心臓を入れねばならないのにそれを怠った
これは「重荷下ろし」の際に、ウリンゴで屠られた赤い鶏(実際の色は茶色)の心臟である。これを糸でぐるぐるに縛って、瓢箪の中に入れねばならない。
ndonga にはもっと多くの muhaso を入れねばならないのに少ししか入れなかった。
ここでmuhaso「薬」として言及されているのは、憑依霊の草木を乾燥させて砕いたもの(これは「香料(mavumba)」と呼ばれる)および、同じく草木を土器片、鉄板などの上で炭になるまで炒め、黒い粉末にしたもの(これはムレヤ(mureya193)と呼ばれる)の2種である。これらは瓢箪子供の「腸、内蔵(uhumbo)」とされる。瓢箪子供にはさらに「血」が加えられる。ムルング子神や憑依霊ドゥルマ人の瓢箪子供の場合は「血」はヒマの油であるが、ライカ、シェラ、ディゴ人の瓢箪子供に「血」として入れられるのは蜂蜜である。ここでムリナとチャリが少ないと言っているのは、量の話と言うよりは草木の数のことである。
ku-phula mizigo の uringo110 は水の場所に置かれねばならない。また黒い山羊は水中で屠殺されねばならない。しかし当日はそうされなかった。
「重荷下ろし」のウリンゴ(uringo)は本来は池の中、川の中など水場に設置される。しかしムァモコではニャマウィ氏の屋敷をちょっと出たすぐの草原に設置されていた。
mihi を示す場面でも ndonga が不完全では、自分で見つけろと言われてもできない。にもかかわらずチャリが大切な木を自分で握ったので、人々は大いに驚いていた。
最後のライカ、シェラ、ディゴ人の草木の重要なものを自分で見つけ出すテスト(ニャマウィ氏が職業上の秘密をバラした際にも、これだけはチートなしとしたテスト)であるが、フィールドのメモにもあるように、チャリはなかなか自力で見つけられず、教えられているかのように見えることがしばしばだった。きちんと作られていない瓢箪しか渡されていなかったため、見つけられなくて当たり前というのがチャリの主張。普通は瓢箪から立ち上る匂いによってこれがその草木だとわかるはずだという。瓢箪子供が不完全なのに、いくつかの草木については憑依霊が頭の中で教えてくれたのでわかったという。
当時、ドゥルマにおける儀礼的性交マトゥミアの問題にこだわっていた私は、1の点をもう少し突っ込んで聞いてみることにした。テープレコーダーも用意して。するとチャリは、そもそも「心臟」を入れる前に、瓢箪の口を開くのも夫婦の作業であり、さもないとその瓢箪子供は自分のものではなくなってしまう危険があると言い出した。そこでその詳しい説明を聞くことにした。
授与される瓢箪子供の口は、チャリとムリナの夫婦によって穿たれねばならないのに、ニャマウィ氏は自分で瓢箪の口を穿ってしまっていた。 瓢箪子供の口を開く作業
それによって、瓢箪子供を「産む」手続きが失敗する可能性があった。私は瓢箪子供を産む手続きについてまだきちんと理解していなかったため、この日の会話はもっぱら、それに終止することになった。
この日は結局、「嗅ぎ出し」を屋敷内でやってしまったことについては、何の言及もなかったので、さらに後日(3日後)それも含めて確認のインタビューを行った(反省会第二弾)。 反省会(その2)
勢い込んで、さっそく「嗅ぎ出し」について、なぜ屋敷内で出来てしまったのか聞いたのだが、その答えは、私にはほとんどわけがわからないものだった。なんとか整理して、さらなる質問をしようとしていたのだが、ムリナ氏のムァモコでの施術批判は、すでに他の手続き面での不備(多くは一回目の反省会で言及済み)のもので、ついに「嗅ぎ出し」の謎は(当時の私にとっては)謎のまま残った。これについては「嗅ぎ出しのカヤンバ」を紹介するなかで、再検討したい。
この二回の反省会からわかることは、憑依霊に関する施術についての、ニャマウィ氏と(とりわけ)ムリナ氏の二人の間に見られるスタンスの相違である。ムリナ氏は施術の正しい段取りというものがあり、それは絶対に守られねばならない。ムリナ氏の目には、ニャマウィ氏とその相方、弟子たちの施術の方法は、あまりにもいいかげんで、正しい手続きを守っておらず、許しがたいものにすら映っている。
それに対してニャマウィ氏の場合「職業上の秘密の暴露」の語りにも見られるように、大事なのは病人が治ることで、細かい手順や手続きは、どうでもよいという感じなのだ。それらを「単に施術上のしきたりだ」と言い放ちすらする。彼が「息子」にこそっと教えたやりたいのは、「その後で、こんなふうにしなさい。さあ、そうすれば、病人は治るよ」 といった知識なのだ。憑依霊の瓢箪にしても、徹夜のカヤンバで大掛かりに出すのが通常のやり方だが、彼によると瓢箪なんて「すべてのことは、すぐさまできることなんだから。私は、すべてのことを今すぐにできる。瓢箪を今すぐに調える。薬も即座に炒める。できるんだよ。」と述べてはばからない。
ここまで極端ではないが、自らの生業としておこなう「癒やしの術(uganga32)」に対する施術師ごとの、さまざまなスタンスや「理論的解釈」の違いの存在は、その後の調査でもしばしば目にすることになった。
ニャマウィ氏による「外に出す」ンゴマには、多くの不満があったものの、ムリナたちはその欠陥は自分たちで修正可能だと考えていたようである。ただこれらの憑依霊に対する草木が正しく伝授されていないという点は、自分たちでは解決できない問題である。二回目の反省会の約10日後の12月29日に、二人は徒歩でムァモコに出発した。それは、ニャマウィ氏から「素面の状態で(matso mafu315)」で、きちんと草木についての知識を伝授される日だった。
この「外に出す(kulavya nze)」カヤンバによって、チャリは新たに、ライカ、シェラ、憑依霊ディゴ人に関する治療ができる施術師として、一歩そのキャリアを前に進めた。しかしこのことはチャリとムリナが直面しているさまざまな問題の解決にはならなかった。後に、二人はこのムァモコでの「外に出す」ンゴマは失敗だったと結論づける。そして1993年までに2度に渡ってライカ、シェラ、憑依霊ディゴ人に対する「外に出す」ンゴマを繰り返すことになる。