(from diary 1989/12/19)1
8:00 再びChariのところへ。今日、kuphendula2があると言うので、先にキナンゴで買い物を済ませて9:00に再び戻る。ちょうどmburuga40が始まるところだったので録音。その後Murinaのndalani41でfyulamoyo47のkuphendulaを見る。
占いの客は中年(?)女性で、二人の青年と一人の少女とともに来訪。 ごく普通に占いが始まるが、最初の案件が終了後、「おまけ」の占いを要望。チャリはそれを拒むが、結局はヒントだけ出すということで了承。こちらの方が相談者にとって目当ての案件であったことがわかる。
この占いの中心問題は妖術であることが判明するが、前半でライカについての対処が詳細に指示されているので、憑依霊ライカに関する占いとして読むにも適している
病気で実家に戻っている婚出した娘の病気に関する占い。病気の原因は相談者自身がもっている憑依霊で、それについての一連の処方が述べられた
対処すべき主な憑依霊
ライカ(laika), 憑依霊ドゥルマ人他(muduruma etc.)
行うべき施術
屋内と戸外のキザ(chiza cha nyumbani na konze27) ンガタ(ngata22) クズザ(kuzuza) 憑依霊を分けるンゴマ(kugavya nyama)
婚出した娘が嫁ぎ先で憑依霊に対処できるように、母親のもっている憑依霊を「分ける」ためのンゴマが必要だとされた
こちらが本命の案件: 屋敷内の不和、とりわけ職を得た息子たちが何ヶ月も家に帰ってこない件。彼らがこの屋敷の主たる現金収入源なので、それがないと病気の娘の指示された治療も困難。
対処すべき問題
フュラモヨ(fyulamoyo47)
相談者夫妻が結婚した当時に掛けられた妖術が再び戻ってきた、さらに新たな妖術の攻撃が加わった。
行うべき施術
ムズカ(muzuka10)での祈願
妖術使いが奪いムズカに置いた犠牲者の豊穣性を取り戻す フュラモヨの妖術返し(クブェンドゥラ(kuphendula2)
逆毛の鶏(雌雄問わず)、黒い雌鶏、白い雄鶏
占いのドゥルマ語原文 (各パラグラフの冒頭の数字をクリックすると対応するドゥルマ語テキストに飛びます)
1211 (チャリの占いはギリアマ語で始まる)
Chari(C): さて、ご傾聴くださいと申しましょう48。 クライアント(P): ムルングの。 C: (小声で)さて、祖霊(k'oma49)に祈りましょう。今、祖霊と...(聞き取れない)。あなたはキマコ(chimako58)をもっています。キマコといってもたくさんあります。二本脚のキマコ(占いの対象が人間だという意味)もあります。四本脚のキマコ(占いの対象が家畜などの動物だという意味)もあります。私は人間のキマコを与えられたわ。四本脚のキマコは与えられませんでした。 P: タイレ48よ。 C: 炉(figa59)ね。炉、女性ですね。 P: タイレよ。
1212 (ギリアマ語の単語がところどころに混じる)
Chari(C): ちょっと、私に嘘をついてるの、あんた。それとも本当?(占い mburuga に対して問うている)。その炉が、女性がね、妖術を掛けられたって驚いているんだってさ。さらに炉、女性だけど、炉にもいろいろあるのよ。自分で話ができる炉(大人の女性)と、背中に背負われている小さな炉もある。 背中に背負われている小さな炉、っていうのは赤ん坊のことでしょ。でも私は炉そのもの(成人女性)を与えられたのよ。合ってる? P: そのとおりよ。 (チャリ、占い歌を3曲立て続けに歌う) 歌1 nasirima mama 歌2 nariwa ni mbega 歌3 nichemule
Chari(C): (独り言のように)いいえ、嘘よ。...(Pに向かって)ご傾聴くださいと言いましょう。 P: ムルングの。 C: 炉が、女性が、苦しんでいます。 P: そのとおりよ。 C: (人の手を借りて)起こしてもらわないといけないほど、とは申しませんよ。この頭痛について私、(占いを司る憑依霊に)教えてもらったんだけど。それとも、(頭痛は)実際にあるのかしら? P: 実際にあります。 C: 占いを打ってもらっている彼女本人は、別のところにいるのね。だって、私はあなた自身を探したんだけど、あなたは見えませんでした。私は、占いを打ってもらっている者は、今、家にいると見えたんだけど、間違いかしら? P: そのとおりです。 C: あなたの子供ね。それもあなた自身が産んだ60。 P: はい。
Chari(C): 少女かい? P: ここにいるあの子くらいのね。 C: じゃあ、(憑依霊によって)どうして私には一人前の女性が与えられたんだろう。 P: ああ、家には少女もいるのよ。でも、娶られていて、今戻ってきている子もいるのよ。 (チャリ、歌2 nariwa...の歌を歌う) C: だって、私、単にあなたの子供よって、与えられたのよ。その前にあなたの僚妻(夫の他の妻)を探してみたんだけど、全然、やって来ないの。 (チャリ、歌2 nariwa...の歌を歌う) C: さて、ご傾聴くださいと申しましょう。 P: ムルングの。 C: 頭痛、そして悪寒。あなたに(病人が)訴えてない? P: はい。
Chari(C): このあたりの寒けと目眩い。肺についても。そのことは聞いた? P: 言ってます。 C: (小声で聞き取れない)...身体がばらばらになる。もう人じゃないくらい。 P: そのとおりです。 C: (小声で聞き取れない) P: (それについては)彼女はまだ言っていません。 C: まだ言っていないのね。でも肺については、聞いているのね。 P: ええ。 C: その寒けについても一緒にね。そしてこの心臟が破れること。 P: そこが、まさにとても病気です。 C: そして不安。心臟が不安に満たされる。 P: まさにそのとおりなのよ。
Chari(C): たしかに病人ね。 P: そもそもね、あなた、まさにそこが病気なのよ。ご覧なさい、子供たちが心を痛めて、その母親(Pのこと)に、さあ(占いに)行きましょうって言ったほど。 (訪問者Pに同行してやってきた青年二人と少女が小屋の外で待っている。その少女を指して) C: 姉妹のことで悲しんだのね。そこにいる彼女、彼女も(病人の)姉妹なの? P: ええ。 C: それにしては小さいんじゃ? P: 本人が大きく育たなかっただけ、でもそれが彼女の背丈よ。ところで、問題を見てちょうだい。私がここに来たのは、問題があったから。とっても苦しんでるのよ。その問題、そちらを見てちょうだいよ。 C: 私の知ったことじゃないわ。私が彼女に妖術を掛けた張本人だとでも? P: 私が知っているとでも?もしかして妖術?私にはわかりません。 C: (「ガンダ語」を喋りだす。数分間続く)心臟が不安に満たされるのよ、あなた。 P: とってもタイレ48よ。
Chari(C): (心臟が)破れる。破れると、もう背中の方までンガッ61となる。そして不安よ、あなた。果ては、他人とまったく良好な関係がもてない、全然ね。さらに、分別だってかき乱されてしまうのよ。 P: まさに彼女自身がそう言ってます。 C: 分別も全く無くなってしまう。そしてこの心臟がドッスン、ドッスン動悸をうつ(yinaphondwa)62。ときにはこの肋骨もね、ここ、ここ、脇が苦しくなる。 P: そのとおりよ。 C: そして身体が燃える(突然熱くなる)こと、彼女は言ってない? P: その身体が燃えることは、これからも言わないでしょうね。だって痛みこそ、彼女が報告することだから。身体も燃えているのかもしれません。でもまずは身体の痛み、そここそ彼女が口にすることなのです。
Chari(C): さらに自分で起き上がることは、起き上がるわよね。 P: ええ。 C: 自分で歩くのは。 P: それが今は、この問題が起きてからというもの、できないのよ。というわけで、今日も病院に先に行かせたの。病院にはもう行ったのよ。 C: 身体が断ち割られること。あらゆる関節が断ち割られ、割られる。 P: どこにも良いところがないの。 C: 肺、背中の真ん中、背骨に沿ってつかまれている。腰は切り断たれている。両脚ときたら、全然思うようにならない。 P: タイレよ。 C: 両脚は断ち割られる。両脚はトゲで刺される。両脚に何かが這い回るように感じること、彼女はまだあなたに話していない? P: まだです。
Chari(C): 彼女、自分を特にひどく苦しめている問題だけを話したのね。でも身体じゅう、どうしようもない。 P: すっかり、だめだめ。病院にも私がいっしょに行くつもりだったんだけど、彼女が自分から行くって言ったの。 C: 身体はどうしようもない、でもその心臟がね、その。 P: それ(心臟)こそが、まさにひどいのよ63。 C: 不安、そして心臟が破れること、そして分別がぐちゃぐちゃになる。一番重い病気はこれね。もし、それ以上のことを私が言ったとしたら、私はあなたに嘘をついていることになるわ。 P: それね。 C: でもこの身体、痛むし、完全に折れ壊れる。果ては、自分で起き上がれないわと言うわね。彼女は自分で起き上がらない。さて、この身体、そしてこの心臟が細かく切れ切れになると、不安が。心は不安で満ち溢れる。知らない人たちは、彼女は気が触れるだろうって言うほどよ。
P: 本人は我慢強い子なのかも知れないわ。でも昨日の夜には彼女はそんなふうに話しているの。 Chari(C): で、今は病院にいるの、ねえ? P: (病院に)行きました。でも病院じゃだめだったのよ。この病気は、いったい何なの。私もわからない。 (チャリ、歌2 nariwa...の歌を歌う。) P: 彼女は、憑依霊たち(madzinyama64)の話は、そんなに好きじゃない子なのよ。ギッとしている子(じっと黙って我慢しているような子)なのよ。これって何なのかしら。私がそれを探しに行きます(それを究明するために占いを打ちに行きます)。だって、私も参ってるんだもの。私、食事をする気にもなれないのよ。 C: なに?彼女キリスト教にでも入ったの65? P: いいえ、入信してはいませんよ。だって... C: 彼女、赤ちゃんがいるの(字義通りには「背中に子供をもっている」)? P: ええ。
1221 (チャリ、歌4 lole ananguを歌う)
Chari(C): どこにいても、彼女、やかましいのを嫌がるのね。 P: そのとおりよ。 (ムリナ氏、入ってくる) Murina(Mu): プラスチックボトル、どこに行った? C: 私は施術中なのよ。話しかけるの? Mu: ああ、続けなさい。 (チャリ、「ガンダ語」を喋り出す) C: あなた異様なことを見ることになるわ。
P: どんな異様なことを見ると言うの? Chari(C): 息ができなくなるのすら見ることになるわよ。今暮らしているところでね。病院がだめとは言わないわ。だって病院には知識があるからね。こちらでは、私たちは治療します。でも身体の内側にあるものについては、私たちは知りません。でもあの人たち(病院の医師たち)は、彼らの知っているそれらのものを測って、治療し、治します。私は人が病院に行くのを禁じたりしないわ。でも、こちらもね。病院には行けます。でも彼女は、こちらに戻ってくることになるでしょうね。 P: あの子は、こちらに戻ってくることになる? C: もし私があなたにフュラモヨだよと言ったとしたら、嘘になります。妖術を掛けられる薬のせいだと言ったとしたら、それも嘘です。でも、あなた自身が彼女を殺そうとしているんですよ。そう、あなたのもっている憑依霊のせいです。 P: あの子の現状のすべてが、この私のもっている憑依霊たちのせいなの? (チャリ、歌1 nasirima mimiを歌う)
Chari(C): そもそも、あなた彼女が痒くて掻きむしっているの、まだ気がついてない?ときには、とっても病気。ずっと以前から? P: いいえ。 C: 身体が痒くて掻いているの、まだ見たことない? P: 痒がっているのは、あの子の妹よ、まだ小さい。その子が突然、痒がるようになったの。夜通し痒くて眠れず、いつになったら夜が明けるんだろうって考えるほど。でも、あの子なら、まだこの問題については何も言ってません。 C: ええ、なるほど、病院にかかることは、だめとは言いませんよ。でも、私は、私のやり方でお話します。あなたに年長者の知恵をあげるわ。占い(mburuga)って、年長者の問題でしょ。 P: そうですとも。 C: 彼女にキザ(chiza27)を設置してあげて。屋内のキザ(chiza cha nyumbani)と屋外のキザ(chiza cha konze)よ。あなたもンガタ(ngata22)を結んでもらってね66。ンガタは彼女(病気の娘)にも結んであげてね。彼女、不安でいっぱいになるでしょうよ。あげくに、マジネ(majineイスラム系の魔物11)を疑うくらいに。彼女にキザを設置してあげて。ンガタも結んであげてね。
Chari(C): さらに、ライカ・ムズカ(laika muzuka67)のキザも浴びる。聞いてますか? P: ええ。 C: ライカ・ムズカ、憑依霊ディゴ人(mudigo71)、イキリク(ichiliku80)。なぜなら、こいつらはもうそう遠くない(すぐそこに迫っている)。あの子が暮らすだろう場所で、不安で一杯になり、「お母さん、私死んじゃう」って言うようになるわよ。 P: 今、もうその状態だわ。昨日も、もうそうだった。心臟がもぎちぎられるって言ってた。 C: そうよ、あの子、あの子は、あなた自身が殺しているのよ。あの子といっしょに屋内のキザと戸外のキザで、唱えごとをしてもらいなさい。あなたはンガタを結んでもらう。キザにはきれいに斑点模様を施して、カンエンガヤツリ草(mikangaga116)をそこここに、布切れ(videmu122)をこんなふうにして。(搗き臼には)しっかり斑点模様を施してね。あなた、そっち(屋内のキザ)で薬液を浴びたら、二人そろってあちら(戸外のキザ)で薬液をあびます。いっしょにね。あっちで薬液を浴びて、それで終わりよ。その後で、そこには憑依霊ドゥルマ人の薬液そのものが必要とされます。あの子といっしょにね。そして煎じる薬(mihaso ya kujita)ね。 でも、もし私があなたに(妖術の)「薬(muhaso)123」話をするとすれば、私はあなたに嘘をついていることになるわ。今は、まだおしっこの出始めよ(病気が始まったばかりだということ)。でも(放置しておくと)彼女は(ほんとうの)病人になるわ。
Chari(C): あなたとあの子に必要なンゴマ(ngoma124)をしっかり扇いでもらいます128。あなた方しっかり上々に扇いでもらって、憑依霊を分けて(ku-gaviwa nyama)もらわないと。わかった? P: ええ。 C: 私、(憑依霊によって)与えてもらったほんの少しのことを、あなたにお話しています。あなたそれをやってね。あなたが、私のことを(本物の)癒やし手だ、って称賛することになりますように。あなたがもし「ろくでもない。私は(他の)占いに行きます。この女(チャリのこと)は、思うに、私にいろいろ厄介なことばかり私に言うんだわ。」こんな風に言うなら、あなたはあの子をすごく発狂させてしまうことになるわ。あなたには、あの子の居場所もわからないほどにね。(夫との間にできた)子供を連れて出ていくわけではありません。あなたは子供を後に残されることになるわ。あの子、行った先で死んだりはしないでしょう。でも「私は死んじゃう」っていうあの心臟(の症状)がやって来ると、夜を徹して、昼間もずっとその状態で、あの子、お別れの言葉を言い続けるわ。だって心臟が、こんなふうで、ずっとブラブラしてるんだもの。心臟がこんな風に引っ張られ続けてるんだもの。 P: 昨日来、まさにそんな状態なのよ。
Chari(C): そんなわけで、その子をあなた自身が殺しているのよ。ムルング子神(mwanamulungu)のキザを設置してもらいなさいな。ムルング子神はムァムニィカ(mwamunyika)のことよ。あなたのためにシェラ(shera81)と憑依霊ディゴ人(mudigo71)の戸外のキザも設置してもらいなさい。聞いてますか?(戸外のキザは)誰のキザ?ライカ・ムズカ(laika muzuka67)のキザ(でもあるの)よ。ライカ・ムズカとはライカ・ヌフシ(laika nuhusi68)のこと。そいつはライカ・トゥヌシ(laika tunusi87)とも言われます。そいつが喋りたいと望めば、患者は口をききます。でも、そいつが喋るのを嫌がっていれば、あなたが患者といっしょにいても、彼女は人と口をきこうとはしません。わかるでしょ。さて、あなた方そのキザ(の薬液)を浴び、あなた方(ンガタを)結んでもらいます。まずあなたは、私と握手しにいらっしゃるでしょう(患者が回復したことで喜んでお礼を言いに来る)。あの子は治りますよ。でもね、彼女が治ったら、彼女にカヤンバを打ってあげて、彼女をクズザしてもらいましょうね。 P: 彼女自身をクズザするんですか? C: 彼女自身をクズザしてもらって。あなた方、クズザをし、それを終えたら、ンゴマを打ってもらいなさいな。あなた方、あいつら憑依霊たちを分けてもらわないと。あなたのもっているあれらの憑依霊たちは、誰のもの?量り売りできないわよね。そうなると分け合うしかないのよ。分け合うしかね。たとえば薪取りに行く場合でもね、あなたの子供たちだけで、別に薪取りをするってこともある。あなたはと言うと別の場所に行って薪をとってる。あるいは子供たちが賃仕事で(町に行って)暮らしている、そこでも(あなたの憑依霊たちのせいで)その子たちが困らされるのを見ることになるでしょう。
1227 (チャリ、歌1 nasirima mimiを歌う)
Chari(C): ええ、病気よ、あなた。身体が壊されているわ、あなた。身体が痛いわ、あなた。 P: そのとおりよ。 C: もし私が彼女にはどこか腫れたところがあると言ったとしたら、嘘ですよ。 P: 一箇所としてないよ。 C: でも身体が痛くて、ただれてしまっている。 P: そのとおりよ。 C: そしてときに目が「ガアア」(gaa 視界が暗くなる)。 P: それこそ直面している問題なのよ。そしたら、あの子、どこかにつかまろうとするの、だって... C: そしてときに頭のこの辺りが痛い。 P: それもすごく痛いのよ。
Chari(C): そう痛むこと痛むこと、ときには一箇所何かを搔き出すみたいに。ときには軽く悪寒も。と思うと身体が火にかけられる。その後はそいつ(その問題)は... P: すっといなくなる。 C: すでに立ち去っている。そこで、この心臟、こいつ、こいつがあなた(Pの病気の娘)をさまよい歩かせる。だって、突然、「お母さん、私死んじゃうわ」って不安でいっぱいになるんだもの。さらにあなた(相談者P)ご自身も、食事を食べなくなってしまうわね。 P: ああ。もう食事は難儀になってます。 C: ライカ・ムズカ(laika muzuka67)そのもの、それと憑依霊ディゴ人(mudigo71)、それとシェラ(shera81)ね。それに憑依霊ドゥルマ人(muduruma131)。私はあなたにたくさんの憑依霊を与えません。だって、あらゆる憑依霊が中にいるんだもの。もし私が身体の中にいる憑依霊についてあなたにお話していけば、あなたの思考を困らせてしまうことになるもの。でもあの人(憑依霊)たちについては、調えてくださいね。ライカとディゴ人とイキリク(ichiliku80)と、ドゥルマ人。今は、あいつら他のやつらは、名前をあげないでおきます。
P: でもね、先日、そいつらは調えに来てもらったのよ。(キザとして)アルミの大鍋に彩色してもらってね。なのに症状が重くなったのはどうしてでしょう?調えに来てもらったのよ。老人(の施術師)で、その人が言うことには... Chari(C): で、あなた方、あの憑依霊ドゥルマ人も調えてあげたの? P: いいえ! C: あなた方ご存知ないの、ドゥルマ人はカシディ(身勝手で無礼な行為)133の持ち主なのよ、あなた方。私は妖術についてはお話しません。全くね。私はたくさんの憑依霊についても言いません。全くね。おわかり? P: ええ。 C: まあ、あとでしてもらいたいことはあるけど。何かって言うと、「飲む大皿(kombe ra kunwa)」と「浴びる大皿(kombe ra koga)」30よ。スディアニ導師(mwalimu sudiani16)と憑依霊ペンバ人(mupemba136)、どちらもあなたがもっている憑依霊よ。 P: そいつらは昔の憑依霊よ。その問題のはじまりは、ずっと以前よ。
Chari(C): だって、あなた自身ときどき、この胸のあたりが破れて、血の臭いがすることがあるでしょ。さらに、もし(あなたの病気の娘に)しっかり尋ねてみたら、こんな答えが得られるかもよ。症状がおさまって、眠りたいと思っても、小さい子供みたいにビクッとして目を覚ますことがあるって。 P: まさに今もそんな感じよ。実際、あの子はそんな感じよ、とっても。 C: 私は妖術のことには触れません。さらに、このあと、もしあなたが妖術(という占い)をお求めなら、別のところに行って占いを打ってもらって、妖術だと言ってもらって、フュラモヨ(fyulamoyo47)をクブェンドゥラ(kuphendula2)してもらって、彼女にクツォザ(kutsodza)を施してもらって、彼女を発狂させればいいわよ138。 P: 私は別のところには行きません。だって、まず言われたことをして、するべきことを果たして、あの子の状態が変わらないと見て、そうして初めて妖術の問題を探求しないと。 C: だって、「私死んじゃうわ」と彼女が言う場面がやって来ます。私、死んじゃうわ。屋敷の誰もが眠れません。だってあなた。誰も眠れません。憑依霊ドゥルマ人のやり口ですよ。
P: この私がもっている憑依霊ドゥルマ人のせいなの? Chari(C): あなたがもっている憑依霊ドゥルマ人よ、あなた。 P: (占いの料金について尋ねる)「ウシ(ng'ombe)」139だけど、以前と同じですか? C: 昔の料金はとっくに放置されたわ。 P: で? C: 3シリングよ。 (これで占いはいったん終了なのだが、ここでクライアントの女性は、チャリにおまけの占い!を所望する) P: 私、おまけ140が欲しいんだけど。 C: 何の? P: おまけが欲しいのよ。私にちょっとおまけをくださらない? C: 何のおまけ? P: ああ、隠しはしないわ。今、私についておまけで見てほしいのよ。 C: 私はおまけの占いとかしたことがないわ。 P: 打ってちょうだいよ。今日だけ、私のために打ってちょうだい。だって荷物(気になる問題)は二つなんだもの。あなたはこの問題は済ませてくれたけど。
Chari(C): まあいいわ。あなたに話してあげることがあるわ。おまけの問題なら、あなた自身でやがてわかるでしょう。あなた、唱えごとをしてもらいなさいな。あの子といっしょに、しっかり唱えごとをしてもらって、最後までね。じゃないと、あなたはその子を困難な目にあわせるだけじゃなく、ほかの子たちも困らせることになるわよ。 P: 私が他の子たちも困難な目にあわせるって? C: そうよ。 P: いったい私がどうやって?(子供の)それぞれが自分勝手に歩いていってるのに?さあ、どうやって私が困らせるっていうの? C: 好き勝手に暮らしているからなんなの?あなたの腸なのよ(あなたの子供なのよ)。たとえヨーロッパで暮らしているとしても、誰の子供なの?(どこで暮らしていようとお前の子供だ)。 P: 私の子供よ! C: あなた、子供を産んだとしたら、その子に何をして欲しい?その子に、あなたを救ってもらいたいでしょ。その子を学校に行かせて、勉強させて、勉強の終わりは何でしょう。仕事でしょ。仕事が何の助けになるでしょう?あなたの助けになるんじゃない?どうして色々な問題が失敗しちゃうのかしら?
P: なんで失敗しちゃうんでしょう? Chari(C): 唱えごとをしてもらいなさいって言ったでしょ。唱えごとをしてもらうなら、子供一人の名前を挙げるだけじゃ駄目よ。ひとりひとりの子供のために、道を解きほどいてあげないと、(学校で)学んでいる子もね。だって、そいつらが癒やしの術の憑依霊なのか、何の憑依霊なのか、私にはわかりません。 P: ああ、憑依霊のことなのね... C: わかった? P: ええ、憑依霊ですね、それらは... C: 唱えごとをする人に、子供一人だけの名前を挙げさせないでね。勉強している子供のことまでも、唱えごとのなかで触れさせてね。だって学んでいる子こそ、仕事を求めている者。じゃないとあなた、仕事の場でも、価値あるものが得られないでしょうよ。 P: 毎日が皮算用ばかり。皮算用ばかり。物事がなにも好転しないのよ。
Chari(C): 物事がなにも好転しない。さて、唱えごとをしてもらいなさいな。私はフュラモヨの話は一切しません。 P: 私どもは、たぶん別の問題(妖術の関与)かもしれないと話しているんです。 C: 私は薬(muhaso123)については話さないでしょう。もう言ったでしょ。私は薬については言わないだろうと。でも、あなたが唱えごとをしてもらうとしたら、全員の名前を挙げて唱えてもらってね。全員よ141。でもイスラム教徒の連中は、跳ばしてね。 P: あいつらイスラム系の憑依霊たちね。 C: まだ学校で学んでいる者たちも、すでに学校を終えた者たちも。そうね、あなたは彼らが仕事を得られるように願っている。彼らが仕事を手に入れたら、その時こそあなた方が調えてもらえるとき(憑依霊についての十分な施術を受けられるとき)。あなたにも本当の好転が訪れるわ。でもそうなるまではね。ああ、本当にたくさんの日々ね。たくさんの年月ね。あなた方自身おわかり? P: ああ、どうか続けてくださいな。続けて、そこのところを良おく見てほしいわ。あなたがご覧になっているその筋道を、ずっと進んでくださいな。
P: だってあなたは、私たちが探していたその筋道を捉えていらっしゃるんですもの。病気の問題はもう終わりました。今は、(病気に劣らず)私たちを驚き当惑させているこの道を見てください。彼ら(彼女の子供たち)がすぐにでもあなたにウシ(占いの報酬)をもってきてくれますよ。全額(浜本注: といっても3シリングなのだが)。でも私はあなたが手にしている問題が欲しい。ああ、あなた、ねえ、それを見てくださいな。 Chari(C): 私としては薬液(vuo)の方がましだわ。でも屋敷のウシで、私は占いを打ったりしないわ。癒やしの術としては、最悪。でも私はあなたに手がかりはあげたわ。この先、あなた困難に見舞われるでしょう。問題は、まだ学校に通っている者にも及ぶわ。あなた、その子が前進するのを願っているのに、その子は後退させられるの。わかった? P: ええ。 C: その子は前に行きたいのに、ときに後退させられる。だから、早いうちに唱えごとしてもらいなさいな、あなた。すでに学業を終えた子も、今やいわば崖っぷち。そこを出たと思えば、もう元に戻ってる。そうよ、今、唱えごとしてもらいなさいな、この問題があなた方を悩ませないようにね。
Chari(C): でもそうするまでは、あなたはただ返事(求職の結果通知)が来るのを待っているばかり。問題は解決しない。で面倒事ばかり多いだけ。でも、どうすれば?まずその後で(憑依霊に対する唱えごとをしてもらった後で)、逆毛の鶏と、黒い雌鶏と、白い雄鶏をもっておいでなさいな。わかった?あなた、来て(施術を受けるために)座らされないとね。 P: 子供たちに座らされに(施術を受けに)来させないと? C: そうね。あなたと、あなたのご主人と、あなた方の子供たちもいっしょに来て、座らされるのもいいわね。だって、(過去に)大問題を経験したんじゃ? P: 過去に? C: でも、今住んでいるその屋敷じゃないわよ。あっちの方の、大通りがいっぱいあるところで。 P: タイレ48!まさしくその問題よ。 C: そもそも、あなたと彼(彼女の夫)が、別れてしまうよう願われていたのよ。そして困窮して、人から笑い者になることを、妖術にやられることを。 P: とってもタイレよ!
Chari(C): フュラモヨ(fyulamoyo47)を打たれたのね。あなたがうんざりして、去ってしまうようにと。この夫は貧乏だからといって。 P: 実は、出ていこうとしたこともありました。こんなんじゃよくならないと言って、出ていこうと。 C: まずは、これを脱いで(まとっていた布を脱いで)。子供を背負うためにね。 P: まさにそのとおりよ。 C: でも、昔のことね。 P: 昔のことよ。あの子たちはまだ生まれてなかったわ。 C: その子たち、苦しいなか生まれたのね。 P: ほんとうに。 C: 妖術をかけられたの? P: わからないわ。 C: だって、あなた薬(muhaso)と混ぜ合わされたのよ。薬は、真ん中に。薬が真ん中にくるように植え付けたのね。
P: そうね。 Chari(C): そこで、あなたは「生命力・豊穣性(rupha142)」をもって行かれたのよ。布の切れ端を通して。行方不明になったでしょ、布の切れ端。 P: タイレ。メバカリの布よ、それ。無地の黒い布。あの子たちはまだ小さかったわ。 C: 私がそこにいたとでも? P: あなたはそこにはいなかったわ。 C: さて、あなたはこの世にいながら、まるでいないかのようにと望まれていたのよ(妖術使いが、彼女を生きているのか死んでいるのかわからない状態にしようとしていた)。 P: いえ、すでにそんな風にされてました。すでにそうなってました。 C: じゃあ、生活も随分大変だったでしょ。たくさん賃労働の畑仕事(vipande143)したでしょ、あなた。 P: ああ、まあそこそこにね。賃労働の畑仕事で、あの子供たちを学校に行かせましたよ。あの子らの仲間たちのところからね。このままじゃ、子供たちは教育がないままだろうとわかっていたからね。 C: そうね、あなた(妖術使いによって)苦労させられたわね。みんなで金をかき集めるしかなかったわね。だって、あの子たちこそ、ゆくゆくはあなたを埋葬してくれる者たちなんだもの。あの子たちこそ、あなたをゆくゆくは養ってくれる者たちなんだものね。
Chari(C): でも、病気なのはあなたとあなたの夫よ。だって、あなたたちしたたかに射られてしまったもの。挙げ句に、あなた、私はこの人と結婚しなければよかったのにとか考えたでしょ。 P: そうよ、そうよ。 C: 彼の方でも、結婚しなければよかったと考えてた。 P: タイレ。 C: 「出てって、(住む場所を)探しに行った方がまし。私独りになるために。」 P: もう、まさにそのとおり。実際、私、そう言ったのよ。私、もういやっ、て言ったのよ。それで、そいつ(utu ura= 妖術(utsai))のためのあれこれを依頼しに行ったのね。で施術師がやって来た。ムベガさんよ。というわけでそいつ(=妖術)は消えました。私たちはそれがどこに行ったのか知らなかったけど。本当のことよ。昔のことよ。あの子たちはまだ生まれていなかったほど。 C: じゃあ、どうしてその問題が私には見えたんだろうかね。 P: それが戻ってきたからだってば。だから今も、こうしてあなたにそれを見てちょうだいって言ってるのよ。どうしてこんなことが....
Chari(C): さてさて、私には異常ばかり見えるわ。さて、稼業の方も、稼ぎを求めても前に進まない。モノ(utu: ここでは富)は、後戻りするばかり。その結果、お金を手に入れたとしても、全然残らない。 P: タイレ。 C: あなたが話している稼ぎ、これについて私は見てみました。だって、それをすごく渇望していたんだから。でも望んだ額にはたまらない。でも、いいでしょう。だってあなたには子供たちがいるもの。でもどうして途中で引っかかってしまいそうなの?途中で引っかかってしまいそう。さらにはこの子供...ところであなた、すでに仕事に就いている子供がいるわよね。 P: ええ、二人。 C: 二人ね。なんと、彼らすら途中で引っかかってしまうでしょうよ。 P: ねえ、それ(子供の問題)こそ、私が求めていた(占いで見てもらいたかった)問題じゃないの。その問題こそ、私がとっても求めていた問題よ。
P: いったいどうして家に顔を見せないの?以前だったらそんなことはなかった。みんな家にいつも来ていたのよ。 Chari(C): 彼らは締め出されたのよ(妖術によって)。それも昔(に仕掛けられた妖術)と新たな(に仕掛けられた妖術)やつと。 P: 混ざりあったのね。 C: うん、あなた治療してもらわないと。家全体がそんな状態になってしまいそうよ。そしてあなたと夫、あなたがた、あなた方の言い争いったら、もうこんな感じ。全然折り合いがつかないじゃない、あなた。だって、もしあなたが何か言うと、さあ、彼の方はご立腹、もう手が付けられないほど。子供が、彼のことを話題にすると、手が付けられないほど、激怒。そんなわけで、いまや子供たち誰一人として、父親にまともな分別があるとは見ていない。 P: 一人としてね。 C: (同行してきた青年たちを指して)この子たちじゃないでしょ、この子たち。それとも私は間違ってるかしら。 P: わたし、この子たちは、わざと占いに連れてきたのよ。
1242 (チャリ、相談者が連れてきた子供たちに向かって)
Chari(C): そこのあなたたち。あなたたちは、手酷く妖術にやられてるよ。あなたたちの父親が妖術にやられたんだよ。奥さんともどもにね。二人が別れるようにとね。物が不十分なようにとね。薬(muhaso123)があなたのお父さんをとらえていると、あなたもそれを引き継がざるをえないのよ(字義通りには「遺産を受け取るしかない」)。今や、あなたたちも捕らえられて、あなたたちも同じようになるようにとね。さて、彼(あなたたちの父親)にはさらなる攻撃が加えられて、すっかり覆われてしまった144。ついには、お母さんが言ったのよ。問題を見てもらいましょうよとね。でも(お父さんの方は)聞く耳をもたない。お母さんが言うと、お父さんは怒っちゃうのよ。お母さんが言うとね... P: それは、もう昔のことよ。 C: 子供たちのことに触れてこの人が話すと、彼は彼で言うには... P: それは、もう昔の話よ。この占いが10番目ってわけじゃないのよ(もっと多くの占いをすでに聞いている)。 C: 彼女は言う。彼女は言う。そうでしょ。だって彼女は心中、苦々しいんだもの。彼が子供たちのお金を使ってしまうなら、子供たちもすでに捕らえられてるってことじゃない。
Chari(C): さて、あんたは言う。「あなた(夫)は、モノ(utu: トラブルの原因になっていること)、あれらの諸問題の元になったモノ、それは子供たちの分別のなさ(kutsowa akili)ってことじゃないか、内輪の問題じゃないか、と言いそうになっている。でもここには何かモノがあるはず(単に子供たちの分別のなさの問題じゃない)」って。ああ、あんた、すでに「そのモノが薬(muhaso123)だって私は言っちゃうわよ」って。 P: (子供たちの)分別のなさのせいだと、でも薬(妖術)だと言いたいわ。 C: あなたがた、焼かれているのよ。さて、キリャンゴナ(viryangona146)を手に入れなさいな。だって、これらの問題は、(大もとが)古いからね。でも全部が一斉にやって来た。 P: とっても昔の問題よ。すごく昔の。まだ私たちに子供が生まれる前よ。でも、まだ私たちに子供ができていなかった頃、私たちはモノ(utu: ここでは収入)をいっぱい手に入れていました。そこで(妖術使いが)「こいつ、最近やって来たばかりなのに、どうしてだ(なぜこんなにあっという間に豊かになったんだ)?」と。(そんな企みがあったとは)私たちは知らなかったわ。 C: あんた、あんた、これ以上の他のことは、私はあなたに言うつもりはありません。
P: 私のためにあの子たちに話してあげてちょうだい。私自身は何も報告しないつもり。でもあの子たちが父親を座らせて、あの子たちにすべての問題を語らせましょう。満足するまで。あの子たちに父親に問題を説明させましょう。だって私があの子たちを連れてきたのは証人としてなんだもの。だって、私は占いで失敗はしません。私はさあ行きましょうと言って、まさにこの通り見ましたよ。それらこそが私をここに連れてきたものだったのよ。病人の問題は、終わったし、その問題が私をここに連れてきたものじゃ、なかったの。私は本当は、この問題のために来てたのよ。あの病人は、今は治療できないの。だって彼ら(外に働きに出ていて、屋敷に顔を見せなくなった息子たち)が、お金をもってきてくれる者たちなんだもの。月ごとに帰ってこない。もう3ヶ月になるわ。彼らが家にやって来るまでは、彼女は治療できないのよ。 Chari(C): (妖術使いが)その子たちを捕捉しちゃったのね。以前はまだ、しっかりと捕まえてはいなかった。でも今や、その子たちも(薬に)捕らえられたのね。 P: あの子たちが捕らえられた? C: そう、捕らえられちゃった。そいつ(妖術使い)が彼らを捕らえたのね。長老(相談者の夫)自身も捕まってます。今や、あなたの夫が今まで以上に怒りっぽくあるように、ってね。そしてあなたと、とことん仲が悪くなるように。さらに子供たちも全然寄り付かなくなるように。
P: つまり屋敷全体が離散するようにと? Chari(C): 屋敷そのものが壊れてしまうようにとね。 P: そう、あなた本当に見てるわね。 C: さて、昔のがこれ。こちらには新しいのが。 P: (新たな問題も)また入り込んだの? C: おなじく入り込んでるわ。この悪い星(kanyota kabaya 運の悪さ)が。 P: その持ち込まれた悪い星って、どんな? C: そのうち、あなたにもわかるでしょうよ。私の言葉じゃありません。 P: 新しいもの、それとも昔のもの? C: もし昔のものだったら、あなたと夫にだけ影響したでしょうにね。 P: それについて彼が話さなければ、それについて話しようもないでしょうね。でもね、もしあなたがご存知なら、私にもわかるわけだけど。
Chari(C): いやよ、私は争いごとの話しをするのはいや。 P: 悪口ね、でしょ。でも、彼がこの悪い星のことを話します。わたしどもにはわかりません。あなたの心のなかで選ぶんじゃないですか、あなたが。 C: さてね、それ(悪い星)が、あの子たちを塞いで、あの子たちが仕事を手に入れないようにするのよ。 P: もう一つのあれ(悪い星)、それは私の夫だけを駄目にするの? C: そいつはご主人本人を焼くね。 P: 夫本人自身を焼く? C: それは本人を焼く。というわけで、あなた方、それには施術は調えないようにね。問題は本人を焼くものだから。 P: あの主人本人を。 C: そうよ。だってそれは妖術をかけられたせいじゃないもの。 P: もって生まれたものなの?そうでしょ?もって生まれてきた運命。そう、根元(kolo: 「親」)から始まったもの。タイレよ。そう、その悪い星はベニャンジェさん(別の占いの施術師)にも見抜かれたのよ、その問題は。
P: そう、ベニャンジェさん、あそこにやって来たのよ。あの上の方に住みに来たの。あのベニャンジェよ、ダワのキョウダイの。彼が同じことを言ったわ。 Chari(C): だって、人っていっしょに進みあうものよね?で、一人が仲間をリードするものになる。わかる? P: わかるわ。 C: さあ、私はヒントはあげたわ。ここまでね。 P: 一人いる。 C: 仲間をリードする人がね。 P: そこで生まれた者たちのあいだで?それとも訪問者? C: そこで生まれた人たちのあいだよ。つまりあなた方ってこと。さて、彼らがどうやって星を悪くできるの?みんな、生まれつきあなたがたなんだから。 P: そこですでに生まれている。
Chari(C): 彼らに悪い星があるとしたら、それは妖術にかけられたからよ。だから治療すれば、彼は治ります。仕事を手に入れて、あなたを救う。ところで、もし彼がそこで罠に嵌ってしまったら、そうなったら普通あなたにお金は手に入る? P: お金はないです。 C: そう薬(妖術)のせいなのよ。言って施術を調えなさいな。もし調えなければ、あなた方はまた来て、私にお話しすることになるわ。さあ、施術師(候補)を頂戴な147。 P: 先に、キリャンゴナ(chiryangona146)を教えてよ。 C: すでに教えたわ。逆毛の鶏、雌雄を問わず。黒い鶏、雌。白い鶏、雄よ。そして、まずムズカ(muzukani10)に行くところから始めなさいね。だって、私が言ったように、(身につける)布の切れ端が(ムズカの)洞窟に(妖術使いによって)置いて来られちゃったんだから。昔にね。もしあなたが女の子を産んだら、夫を手に入れないようにと。夫を手に入れたとしても、結婚生活に破れて、ここ(実家)に戻ってくるようにと。 P: ああ、さらに、たぶん求婚者がやって来ても、(娘の方が)すっかり、拒否してしまうようにと。
Chari(C): やって来て耳当たりの良い話しをして、でも帰っていったら、二度と戻ってこない。 P: まさにそのとおりよ。 C: 求婚者が来て、心地よく語り、つまり来て男らしく振る舞ってくれますようにって。でも実際にやって来ると、笑いものにしたほうがましなほど(碌でもない男だ)。 P: タイレ。(子供たちに向かって)お前たち聞いたかい? Sons: はい。 P: もう私、泣きたいくらいだよ。 C: 泣いてはだめよ。あなた自身がそれらを辿ってきたんだから。私が言ったようにね。あなたの屋敷そのものを憎んでるのね。 P: そのとおり。 C: 逆毛の鶏、黒い雌鶏と白い雄鶏。 P: 三羽だけ? C: 三羽だけよ。
Chari(C): ムズカで、まずそこで語ることから始めてね。施術師を呼びさえする以前に、ムズカに行っておかないとね。「私は今日ここにやって参りました。(私たちの豊穣性を盗んで)ここにもってきた者が女性なのか男性なのかは、私はわかりません。その者は私の成就(pato)を、私の子供たちの成就を、ここに置きに来ました148。私の稼ぎ(tsumo)全ても、そいつはここに置きました。健康(uzima つつがなきこと)も。私にはもはや健康はありません。そいつがここに置いたのです。そいつは罪人でした。私はその者が誰かは知りません。私は今日、私の力(nguvu149)を取りに参りました。そして万事が良好とわかれば、私はまた参ります。支払いに参ります。」(ムズカのなかの)フフト(fufuto150)を採って、薬液(vuo29)に入れてね。子供たちといっしょに洗ってもらいなさい。市場の塵芥、墓場の土、あなたの親族じゃない人の墓ね。だって、あなたに妖術をかけた人は、ときにこれらの墓場の土で妖術をかけるのよ。死体が金を稼ぎますか? P: いいえ。 C: さて、あなたは遠からず(ムズカに対する負債を)返すでしょう、そして語られるでしょうね。さらにあなたはもう大人です。あの子たちこそ、手酷く焼かれてしまう。だって(あなたの夫は)すぐに、俺は誰も(婚資を用意して)結婚させてやる気はないと言いそうだものね。
P: ええ。もうほんの少しよ。 Chari(C): そもそも、まだ子供を結婚させたことがなかったりして。 P: いいえ、一人、妻を持っている子がいます。あっちで彼女といます。 C: ねえ、(昔は)人は父親のウシで娶ったわ。今は、父はウシを売って(その金で)子供を結婚させる。結婚させてもらえる者は、まだましだわね。 P: (息子たちに向かって)お前たち聞いたかい? Sons: 聞きました。 C: もしそういうことなら、そういうことね。だって人ってものは、仕事で自立できるのよね。袋よ。袋とはお金。そして今日び、生活はお金で成り立つ。で、こんな風に生きていて、英語を学び、ムグンディ(migundi152)の木のトゲに刺される。そして仕事は手に入らない。(手に入るのは)せいぜい、パフアダー(毒蛇の一種)を追い払う仕事くらいよ。同じようなキパンデ143賃仕事。いったい何の利益が得られるっていうの?
P: ああ、なんの儲けもないわ。(教育の恩恵といえば)なにかものを忘れそうになったら、それを書き留めておきましょう(程度のこと)。 Chari(C): さあ、ムンバさんの子供は泥棒よ。ムンバの子供は泥棒よ。たとえあなたが盗みを働いてなくても、もしあなたに仕事がなければ、あなたは泥棒って言われちゃう。 P: それこそ(妖術使いが)望んでいる状態よ。 C: さてさて、あなた(指示された施術を)おやりなさいな。施術師(候補)たちをちょうだいな147。私は立ち去りたいのよ。 P: ところで、私はあなたに施術師(候補)たちを与えませんよ(施術師はもう決めています)。キリャンゴナを調達しに行きます。 C: これで本当に終わりね。 P: けっこうなことです。(子供たちに向かって)さあ、家に帰りましょう。
クライアントによるおまけの要求以降を別とすると、この占いも、霊の助けを借りて行うとされるムブルガ(mburuga40)タイプの占いの典型的な流れを示している。クライアントは自分の相談内容や問題について一切自分からは明かさず、すべてを占いの施術師に言わせる。それが当たっているかどうかを、クライアントはイエスまたはノーで答える。占いは、問題が誰についてのどのような問題なのかを占い師が言い当てるところから始まり、それが屋敷に残してきた病気の既婚の娘であることを確定した後に、その病気の症状を当てるる作業に進んでいく。病状がほぼ明らかになったところで、占いの施術師は、その原因を示し、必要な施術を指示する。
この占いにおいては、激しい頭痛、悪寒、心肺の異常(これには不安に満たされる、激しい動悸、胸が締め付けられるなどのメンタルな要素も重視される)、目眩、身体中の痛みと歩行困難も付け加わる。発熱や、身体の火照り、痒みなどはクライアントに否定されている。
こうして病状が明らかになったところで、施術師は、この症状が病人の母親(クライアント当人)がもっている憑依霊によるもの、なかでもライカ、憑依霊ディゴ人、シェラ(別名イキリク)、憑依霊ドゥルマ人によるものであるとして、ライカ、ディゴ人、シェラのためのキザの設置を含む一連の施術(キザ、ンガタ22の装着、「嗅ぎ出し(kuzuza)」を処方する。母親のもつ霊が原因であるので、治療は母と娘が同時に行われるべきだとされる。さらに母と婚出した娘が別々の場所に居住していることから、母のもっている憑依霊を分けるンゴマの開催も指示している。それによって、婚出した娘は、自分の暮らす屋敷で、単独で憑依霊に対処する治療を受けることが可能になる。
占い師は、キザの設置と薬液の浴び方についても、かなり詳細な指示を与えている(指示1および指示2)。これは、憑依霊について詳しくない者でも、施術を担当する施術師(施術の担当者が占いの施術師自身である場合もあるが、多くは別の者になる)に適切な指示をあたえることができるためには、必要である。これによって、憑依霊についての知識もクライアント(憑依霊についてあまり詳しくない場合)に与えることができる。
屋内のキザがムルングに対する薬液で、戸外のキザがライカやシェラに対する薬液であること、ムルングの薬液を先に浴びて、その後戸外のキザを浴びるのだといった順序についての注意も述べられている。
この占いでは、しかし、上で指示された施術が患者に対して最近なされたばかりであることが明らかになる。そしてそれに効果がなかったと。しかしチャリは少しもあわてず、その失敗は、憑依霊ドゥルマ人に対する対処を怠ったせいだと説明する。ドゥルマ人は傲慢で、自分中心な霊であり、他の霊の施術が優先されることに我慢ができない困ったやつなのだ。ちゃんとドゥルマの薬液と煎じ薬を別個に用意し、ライカらのキザを先にやることを、聞き分けのないドゥルマ人にきちんと話して聞かせておかねばならない。占いの過程で明らかになったように、患者の女性は不安で心臟が「破れる」と、自分はもう死ぬと騒ぐという。周囲の人間は誰も眠れなくなる。チャリによると、これこそドゥルマ人のやり口なのである。
さて、通常であれば、これで占いは終了なのであるが、この占いに関しては、クライアントは「おまけ」の占いをしてくれるよう固執する。ここまでの占いで、チャリはクライアントの娘の病気を憑依霊によるものとし、妖術の可能性を繰り返し指摘していた。しかし、クライアントにとって娘の病気も事実ではあるが、より大きな問題で、この占いで見てほしかったのは、仕事をもっている二人の息子が屋敷に寄り付かなくなったことであった。
チャリはここでも、妖術フュラモヨについて語ることを拒んでいるが、やがて全開で妖術語りを展開している。明らかに初対面と思しきクライアントの家庭事情とかほとんど知らないくせに、家庭内の不和とかズバズバ当てていくのは、いかにもありがちなことだからだろうか。まあ、なんというか、こういうありがちな問題が、簡単に妖術のせいにされていくんだなぁ。妖術使いの正体探索に向かわないところが救い。
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tsovyaの別名とされる「内陸部のスディアニ」の絵 ↩
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