Benyiro: あいつら今風の連中は置いといてじゃ、お前が生まれたら、身体の中におる憑依霊(nyama1)たち。身体におるその憑依霊じゃが、ムルング(mulungu41)、憑依霊サンバラ人(ムサンバラ(musambala47))、それと憑依霊アラブ人(ムアラブ(mwarabu48))、それとキツィンバカジ(chitsimbakazi49)じゃ。キブリ(vivuri50)をとっていくあのライカ(laika52)もおるな。キツィンバカジは身体におるやつだよ、そいつは。それと他の憑依霊たちもおる。ンゴマを打たれるジネ(jine72)、ムボンデーニ(mubondeni73)。キズカ(chizuka74)もおる。ヒツジ(ng'onzi)を取り置かれるやつじゃ。そいつは真っ白な、目の周りが黒い(virongo matso)ヒツジを要求するんじゃ。そのヒツジの目は、まるで黛を引いた人みたいに真っ黒なんじゃ。そいつのヒツジじゃ。それからジム(zimu75)という名の憑依霊もいる。そいつもヒツジが取り置かれる。
Benyiro: そしてゴジャマ(gojama33)がおる。こいつも憑依霊(p'ep'o2)じゃが、子供が育たんのじゃ、あんた。妻が妊娠しても、流産。流産ばかりじゃ。ゴジャマのせいじゃとわかるんじゃ。そいつもヒツジ(ng'onzi)じゃ。ンゴマを打って(ンゴマ/カヤンバを開催して)、雄ヒツジ(t'urume)(仔ヒツジ)がそいつのためにとって置かれる。成獣になるまでじゃな。さて、除霊する(「閉め出す(kusindikwa)」)なら、除霊する。(そのヒツジの)毛で(問題の症状は)解除される(ku-taphulwa76)。その毛を使って(女性の)胸のところにつける護符(pingu)を縫ってやるんじゃ。彼女に、ヒツジの尻尾を食べさせる。それで解除じゃ。それと「薬(mihaso12)」。(その尻尾は)薬と一緒に煮るんじゃ。
Benyiro: ムキリマ(muchirima77)は、身体の(wa mwirini)霊じゃな。ジネ・ンゴンベ(jine ng'ombe81)は除去の(wa kuusa)霊じゃ。スディアニ(sudiani15)というのもおる。除去の霊じゃ。ロハニ(rohani82)もおる。それは身体の霊じゃ。ペンバ人(mupemba78)もおる。そいつも除去の霊じゃ。ペンバ人と言えば、それは妖術の(wa utsai83 妖術で仕掛けられた)霊と心得んとな。除去の(wa kuusa)霊と聞けば、妖術の(wa utsai)霊と思わんとな。でも身体のペンバ人もおるな。雌羊がそいつのためにとって置かれる85。それとその羊の仔も。そいつは馴れて、自分の仲間たちといっしょに放牧されるのが嫌で、飼い主について回わるんじゃ。このことはジム(zimu75)にも当てはまる。そうキズカ(chizuka74)といえば、妖術のじゃ。ジネ(jine72)といえば妖術の霊じゃ。ペンバ人といえば妖術の霊じゃ。そしてお前に惚れる、身体のペンバ人もおる。そいつこそ、お前が富を手に入れるようにしてくれる憑依霊じゃ。お前の農地に着けば、そいつが耕してくれるんじゃ。そんな具合で、そいつが身体の憑依霊だとわかるんじゃ。でも妖術のやつ(ペンバ人)もおる。
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Benyiro: キズカ(chizuka)には妖術の(キズカ)もおる。ジネ(jine)にも妖術のがおる。憑依霊ペンバ人(ムペンバ(mupemba))にも妖術のがおる。さらに、ペンバ人には人に惚れる(kutsunuka91)身体のペンバ人もおる。そいつこそ、お前が富を手に入れるようにしてくれる憑依霊じゃ。お前の農地に着けば、そいつが耕してくれるんじゃ。そんな具合で、そいつが身体の憑依霊だとわかるんじゃ。でも妖術のやつ(ペンバ人)もおる。
それにニョエ(nyoe92)という名の憑依霊もおる。大きいムルングじゃわい。ニョエと呼ばれとるが、そいつこそ憑依霊ドゥルマ人(ムドゥルマ(muduruma88)といっしょにおるやつじゃ。そいつらは獰猛な(achafu, 文字通りには「汚い」)憑依霊じゃ。そいつらが人を捕まえると、あんたすぐにもその人が気を失う場面にでくわすぞ。でも施術師が来たら、すぐに正気を取り戻すんじゃがな。
Benyiro: 白人(muzungu)とは別に、ケヤの白人(muzungu wa keya93)がおる。そいつの(そいつが要求する)鶏は、白いやつじゃ。さて、この憑依霊はすごく悪いやつじゃ。そいつらの太鼓はあのでかい太鼓、ムキリマ(muchirima94)じゃ。そいつのつかまえ方じゃが、もしお前がつかまえられると、お前はトウモロコシの練粥(wari98)を食べなくなってしまうんじゃ。お前は卵ばかり食べる。卵とサトウキビ、そして蜂蜜、それと砂糖じゃ。さあ、それが白人じゃ。そのキリャンゴナ(chiryangona99)は、半ズボンをはいて靴を履くんじゃ。靴はあの革の靴で、歩くとンゲッ、ンゲッと鳴るやつじゃよ。あの革のな。それとジャケット(koti)を着る。半ズボンにソックスじゃ、それと野球帽。さて、ンゴマが打ち鳴らされ、白人は踊るんじゃ。
Benyiro: ドゥルマ固有の憑依霊といえば、ムルング(mulungu)にブルシ(bulushi100)、それに憑依霊アラブ人(ムアラブ(mwarabu48))とロハニ(rohani82)、キツィンバカジ(chitsimbakazi49)と憑依霊サンバラ人(ムサンバラ(musambala47))、憑依霊クァビ人(ムクァビ(mukpwaphi101))、それに憑依霊ドゥルマ人(ムドゥルマ(muduruma88))とカシディ(kasidi90)とキユガアガンガ(chiyuga aganga102)じゃな。それぞれの霊(p'ep'o)が自分の草木(muhi16)をもっとる。それぞれの霊が自分の草木をもっとる。さて、そのあとは(それらの草木は)一緒に混ぜ合わされる。あいつら、(ンゴマで)扇がれる(kupunga104)今風の連中(憑依霊たち)じゃが、憑依霊アラブ人(あるいは憑依霊一般か(p'ep'o2))の草木とムルングの草木があるんじゃが、ときにそれらが混ぜ合わされる。そして憑依霊アラブ人の草木も一緒に混ぜられ、ブルシの草木も一緒に混ぜ合わされる。でも各人が自分の草木をもっとるんじゃ。(浜本注: 何をおっしゃってるのか、よくわからんのじゃ)
Benyiro: さらにバニヤーニ(baniani, baniyani112)もな、女性がバニヤーニをもっとるとじゃな、牛乳も飲まんし、牛肉も食べんのじゃ。もしそれらに触ったら、重い病気になる。牛肉と牛乳のせいでな。なんでも、そのバニヤーニ、連中の祖先が死んで、後に子供を残したそうじゃ。その子は牛の乳で育てられた。その子は生きのび、その牛がその子の母親になったんじゃと。牛乳こそが母親の乳、じゃから飲まんのじゃ。
Benyiro: ムドエ(mudoe86)、そのピング(pingu)はここ胸のところにつける。ムドエ、その仕事としては犬が死ぬと、お前はその犬の長い歯をとって、さあ、それをここ胸のところのピングに突き刺すんじゃ。別のやり方としては、ピングを縫う際に、(犬の牙の)先端がこちらに出るように縫う。(牙の)根元のほうがこちら側から出るように。薬(mihaso)はここに包んで、ピングを縫って、子供に身に着けさせる。(ムドエの)ヤギ(mbuzi85)は、目に黒い縁取りのあるイヌじゃ。イヌが飼い置かれる。さあ、お前はそいつと一緒におるんじゃ。 (ムドエの症状は)子供は下痢、身体の血がどこかに引っ越ししてしまう、そして嘔吐じゃ。日中、お前がその子供の病気(の治療)に打ち負かされたら(=失敗したら)、その子は死に(意識をなくして?)、お前はその子がクゥエー、クゥエー、クゥエーと泣くのを聞くことになるじゃろう。まるで子犬のようにな。それが(ムドエの)症状じゃ。それを聞けば、お前はそれがムドエじゃとすぐにわかる。とっても激しく泣く。夜通し泣く。さて、それがムドエじゃ。さて、もし施術師がまだ手に入らない、たぶん遠方にいるのなら、お前は(イヌの)牙をもってきてそれを子供に身に着けさせるだけ。それで(泣くのが)収まるんじゃ。